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理子の叫びにババア達は驚いた顔で理子の方を向いた。



「ババアなんて口の聞き方!!
信じられない!!」



「・・・ほら、お兄ちゃんも確か粗暴な子だって噂よ?」



「ちゃんと教育出来ないんだから、お母さんごっこなんてやめなさい!!」



最後のババアがそう言って、お母さんの方を向いた。
それにお母さんは初めて口を開こうとした。



開こうとしたけど・・・



それよりも早く、理子が口を開いた。



大きく大きく、開いた。



「お母さんごっこなんかじゃない!!
お母さんは理子のお母さんなの!!
この現実世界に生きてる、理子のたった1人のお母さんなの!!!」



去年は思っていることを上手く口に出来なくて、大暴れをしたり噛み付いたりしただけだったけど。



でも、理子は去年より大人になった。



一段と、大人になった。



「理子のことならどんなに悪口を言ってもいいけど!!!
お母さんの悪口を言わないでよ!!!
お母さんの悪口だけは言わないでよ!!!」



去年は理子の悪口を言われたのがムカついたけど、今はお母さんの悪口を言われたことの方にムカついた。



めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、ムカついた・・・!!



だって、お母さんは・・・



だって、お母さんは・・・



凄い人なの・・・。



お母さんは、凄い人なの・・・。



そう何度も思いながら、また口を開く・・・。



自分から攻撃をしてきたくせに、少し怯んでいるババア達に口を開く・・・。



「理子がお願いをしたの!!!!
理子が“お母さんになって”ってお願いしたの!!!
桃子は理子よりも大人だったから・・・!!!
桃子はもう働いてもいい年齢だったから・・・!!!
桃子はもう家を出てもいい年齢だったから・・・!!!」



そう叫びながら、号泣する。



「それまでは“お母さんごっこ”だったけど・・・!!!
でも、本当のお母さんになってもらったの!!!
理子がお願いをして、本当のお母さんになってもらったの!!!」



そう叫び・・・



ババア達を睨み付ける・・・。



怯みまくっているババア達を睨み付ける・・・。



そして、口を大きく開く・・・。



「お母さんは、会社で働きながら!!!
夜は高校に行きながら!!!
それでも理子のお母さんでいてくれてるの!!!
理子のお母さんをやってくれてるの!!!
血も繋がらない、戸籍っていうのも関係ないはずの、理子のお母さんをやってくれてるの!!!」
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