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聖女とステルの初夜の見届け役をした為に、ミランダが朝になっても俺の元に来ることはなかった。
侍女長としてだけではなく聖女専属の侍女にもなった為、ミランダと会える機会は驚くほど減っていた。



それも考えものなのでどうするか・・・。
ミランダとのことを考えながら重鎮議会が行われる部屋に今回も1番遅く入る。



「「「「ジルゴバート陛下、おはようございます。」」」」



重鎮達全員が俺に頭を下げている。
俺が贔屓にしている貴族達、あとは排除したくても排除することが出来なかった貴族達・・・。
他国との深い繋がりや国王陛下の仕事と直結した役割を任せている、古くからいる数人の貴族達までも俺のことを“ジルゴバート陛下”と呼ぶ。



それに気持ち良くなりながら、重鎮議会の国王陛下の椅子に座った。



それから“俺の側近達”の報告を次々に聞いていた時、扉がゆっくりと開いたのが分かった。



見てみると・・・



“国王陛下”が、いた・・・。



それには驚き過ぎて椅子に座りながらも腰を抜かした。



消え失せたはずの“国王陛下”がいたから。



“国王陛下”は重鎮議会の場にいつも誰よりも軽装で現れていた。
騎士団が持つよりももっと大きな剣を腰に差し、こんな風に・・・



こんな風に、扉を開けた瞬間に太陽を背にして立っていた・・・。



重鎮議会室の扉の前には大きな窓がある。
そこから朝の光りがいつも“国王陛下”を照らしていて、“国王陛下”はいつも光り輝いているように見えていた・・・。



俺の父も・・・



俺の兄も・・・



光り輝いているように見えていた・・・。



「申し訳ございません、新婚なもので一晩中盛り上がってしまい遅れてしまいました。」



その言葉を聞き、俺は止まっていた呼吸がやっと再開出来た。



よく見てみたらステルだった。



俺よりも後に入ってくる者が18年もの間ずっといなかった為、すっかり勘違いをしてしまった。



気付かれないように深呼吸を繰り返しながら、長いテーブルの1番端の席に座ったステルに言う。



「お前はこれまで通り騎士団の仕事だけをすればいいんだぞ?」



「そう思っておりましたが、妻があまりにも可愛かったもので。」



そんな訳の分からない返事をしてきて、俺は首を傾げる。



そしたら、ステルが砕けたように笑って・・・



「可愛い妻の為にも国をより安泰にしたく思いましたので、本日は第3皇太子として出席をすることにしました。」



そう言ってきた。
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