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化粧落としというやつで、奇抜な顔面からいつもの顔面に戻った妙子を玄関の所で見送っていると・・・
玄関の扉の鍵が外側から開き、扉が開いた。
帰って来たのは理子ではなく、母ちゃんだった。
母ちゃんは少し下を向いていた顔をパッと上げ、玄関に立っている妙子のことを見て嬉しそうに笑った。
「妙子!よかった、間に合った~!!
光一から妙子が来てるってメッセージが来たから、今日は早めに上がってきちゃった!!」
「サメのお姉さん、お帰りなさい!!」
「・・・私は、この悪ガキのお母さんだよ?」
さっきあの話をしてしまったからか、妙子は母ちゃんのことを“サメのお姉さん”と呼んだ。
それに母ちゃんは困った顔で笑いながら、妙子に小さめの紙袋を渡そうとする。
「これ、差し入れで貰ったお煎餅なんだけど妙子お煎餅とか食べないよね?
お菓子全然食べられないもんね?」
「ん~・・・お煎餅だったら1つくらいは食べられる!!
今食べちゃっていい?」
妙子が母ちゃんから紙袋を受け取り、その中から煎餅を1袋取り出した。
そして、俺に紙袋をポンッと渡してきたので、俺は無言でその紙袋に入っている小分けの煎餅を何気なく見下ろし・・・
見下ろして・・・
“あっ”と思い、顔を上げて口を開いた・・・。
開いた・・・。
開いたけど・・・
その瞬間、妙子は煎餅を・・・
食べた・・・。
食べた・・・。
そして・・・
そして・・・
ニッと、笑って・・・
「このお煎餅だったら美味しい~!!」
と、言って・・・
言って・・・
俺は、爆笑した。
失くなったから・・・。
また、妙子の前歯が失くなったから・・・。
玄関の扉の鍵が外側から開き、扉が開いた。
帰って来たのは理子ではなく、母ちゃんだった。
母ちゃんは少し下を向いていた顔をパッと上げ、玄関に立っている妙子のことを見て嬉しそうに笑った。
「妙子!よかった、間に合った~!!
光一から妙子が来てるってメッセージが来たから、今日は早めに上がってきちゃった!!」
「サメのお姉さん、お帰りなさい!!」
「・・・私は、この悪ガキのお母さんだよ?」
さっきあの話をしてしまったからか、妙子は母ちゃんのことを“サメのお姉さん”と呼んだ。
それに母ちゃんは困った顔で笑いながら、妙子に小さめの紙袋を渡そうとする。
「これ、差し入れで貰ったお煎餅なんだけど妙子お煎餅とか食べないよね?
お菓子全然食べられないもんね?」
「ん~・・・お煎餅だったら1つくらいは食べられる!!
今食べちゃっていい?」
妙子が母ちゃんから紙袋を受け取り、その中から煎餅を1袋取り出した。
そして、俺に紙袋をポンッと渡してきたので、俺は無言でその紙袋に入っている小分けの煎餅を何気なく見下ろし・・・
見下ろして・・・
“あっ”と思い、顔を上げて口を開いた・・・。
開いた・・・。
開いたけど・・・
その瞬間、妙子は煎餅を・・・
食べた・・・。
食べた・・・。
そして・・・
そして・・・
ニッと、笑って・・・
「このお煎餅だったら美味しい~!!」
と、言って・・・
言って・・・
俺は、爆笑した。
失くなったから・・・。
また、妙子の前歯が失くなったから・・・。
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