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第1章 ◆ はじまりと出会いと
45. 校外学習②
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みんながクロードお兄ちゃんを囲んでいる間に、先生達に保護者としてクロードお兄ちゃんが来ることを言わなかったことを謝って、理由を簡単に説明しました。
先生達はちょっとだけ疲れた顔をしましたが、こうなってしまっては仕方がないと言って許してくれました。
「次はありませんからね。きちんと報告をするように」
ギル先生に強く念を押されて、大きく頷きます。
クロードお兄ちゃんも先生達にあとで怒られていました。
うう、本当にごめんなさい。もう内緒になんてしません。
第二のお兄ちゃんパニックは、そう時間もかからずに鎮まりました。
理由は、森を管理する職員さん達が迎えに来たからです。
「時間になっても皆さんがお見えになりませんでしたので、私達が日にちを間違えたのかと思いました」
管理職員さんの一人が真顔で言ったので、その場にいたみんなはこれは本当に悪いことをしたと感じたようでした。
だって、待たされた挙句にこんなところで大騒ぎしてたら相手に失礼です。本当にすみません。
「お待たせした上にこんなに大騒ぎをしてしまって、申し訳ない。今日はよろしくお願いします」
丁寧に頭を下げたリスト先生に続いて、他の先生も頭を下げます。
私達もそれに釣られるようにして謝りました。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。では、ご案内します。荷物は施設に置けるように手配してあります」
職員の人達はとても丁寧に対応してくれて、私達はフィールドワークの準備を難無くすませることができました。
制服から動きやすい作業服に着替えて、その上にフード付きケープと森の許可証をつけます。
探索地の一つになっているバンデの森は、許可を得た人間しか入れないようになっているようです。
フィールドワークは、例え管理された森であっても何が起きるかわかりません。
森には野生の動物もいるし、危険な植物だっていっぱいあります。
備えを万全にしておくことに越したことはないのです。
「それでは、各グループは地図を持ってそれぞれ思い思いに探索してください。古代遺跡群には入れますが、立ち入り禁止の区域までは入らないようにしてくださいね」
みんなの準備が終わったところを見計らって、エヴァン先生が説明してくれました。
その後、続くように管理職員さん達からの注意事項を聴き、みんなそれぞれ行きたい場所へと散りました。
森の方に行くグループもいれば、さっきいた丘の方に行くグループ、施設回りを探索するグループなど、やることは本当に自由です。
私達も準備を済ませると、どこへ行こうか相談です。
「午後は植物園の見学だから、古代遺跡群に行ってみる?」
そう提案したのはリィちゃんでした。
カイト君はそのつもりだったようで、当然のように頷きます。
しおりの予定表によると午後は植物園を貸し切りにして、植物観察することになっています。
それならわざわざ植物園に行かなくてもいいし、なかなか見られない遺跡を探索する方がいいかもしれないと思いました。
私も特に反対する理由はなかったので、古代遺跡群に行くのに賛成しました。
「じゃあ、遺跡群に行く前に…」
私達の会話を黙って聞いていたクロードお兄ちゃんが腰のサイドポーチから何かを取り出しました。
取り出したものは、小さな包みに入ったキャンディでした。それを私達に配ります。
いきなりキャンディを渡された私達は、不思議に思うしかありませんでした。
「お兄ちゃん、これなあに?」
「これは精霊酔いを防ぐ飴だ。こういう森や古い遺跡には精霊がたくさんいる。街中とは違って、姿が見える力の強い精霊もいる。滅多に会うことはないが一応な」
さすが、クロードお兄ちゃん。
自警団で深霧の森を見まわっているだけあります!
深霧の森の精霊に会ったことはありませんが、とても縄張り意識が強いとお父さん達から聞いています。
敵に対して全く手加減しないそうですが、仲間と認識されるととても情が深いそうです。
このバンデの森の精霊さん達はどんな精霊なのでしょうか?
姿を見ることはできないけど、森や遺跡にいると思うとすごくわくわくしちゃいます!
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「ありがとうございます、クロード様」
「…ありがとな、兄ちゃん」
受け取った私達は、口々にお兄ちゃんにお礼を言います。
言われたお兄ちゃんは、笑いながら私達の頭を撫でてくれました。
撫でられたリィちゃんは声にならない喜びで、カイト君は照れているのかちょっと不機嫌そうな顔でされるがままになっていました。
「よし、じゃあ、行くか!」
『おー!』
お兄ちゃんの掛け声に応えて、私達は古代遺跡群へと向かいました。
古代遺跡は、世界各地にあります。
その形は様々で、街のように大きな遺跡群だったり、大きな何かの施設のような建物だったり、山一つが遺跡そのものだったり、本当に多種多様です。
遺跡は主に旧暦時代のものが多く、いまだに解明されていない謎のものがたくさんあります。
今日行くバンデの森の遺跡群は、元々神殿か何かだったのではないかと言われている遺跡です。
遠い昔、この辺りまでアレニア皇国の領土だったらしく、神殿がちょこちょこあるのだとか。
今は無きそのアレニア皇国は精霊信仰が厚い国だったので、こういった神殿がたくさんあったそうです。
「へぇ。よく知ってるな、カイト君。アレニア皇国なんて教科書の年表にしか出てこないだろ?」
「…歴史は得意なんだ。古代語も少しだけな」
お兄ちゃんの感心する言葉にそっけなくカイト君が答えます。
森の中を歩きながら、古代遺跡群のことをカイト君に訊いたら、さっきの説明をしてくれたのです。
言葉はそっけないけど、顔を見ればそれが照れ隠しなんだということがわかります。ふふふっ。
他にもいろいろと神殿のことについて教えてくれて、お兄ちゃんと私はときどき頷きながら、始終聴き入ってしまいました。
本当、カイト君は物知りです。尊敬します!
「見えてきたわよ」
森の中をしばらく歩けば、リィちゃんが遠くを指差します。
そこには石造りの建物が見えました。
どうやら、あれが古代遺跡群のようです。
外から見れば森の中に遺跡があるように見えますが、実は地上に見えているのはほんの一部なのだそうです。
管理職員さんによると、ここの古代遺跡群はほとんど土に埋まっていて、バンデの森自体が遺跡群の中にあるそうです。
この森よりも大きな遺跡が地中に埋まってるなんて、想像できないです。
そんな遺跡が一部ではありますが、私達の目の前にあります。
遺跡は、大きな石が何個も積み上がったもので、天辺に行くほど崩れていました。
それでも、立派な石造りに目を輝かせるばかりです。
「よし。念のため、さっきの飴舐めておこうな」
お兄ちゃんが飴を取り出して、私達に食べるように促します。
言うとおりに飴をぱくりと食べると、なんとも表現できない味が口いっぱいに広がりました。
なんだろう…不味くもないけど、おいしくもない…。
味がしなくなったガムを口の中で転がしているような味に似ているかもしれません。
そんな微妙な顔で飴を舐めている私達を見て、お兄ちゃんは笑いながら言いました。
「ははっ。おいしくないかもな。でも、おいしかったらすぐに舐めきっちゃうだろ?不味ければ苦痛だしな。この飴は舐めている間だけ精霊酔いを防ぐんだ」
なるほど。確かにそうかもしれない。
この飴を作った人は、料理上手なのかも。
いろんな種類のおいしいも不味いもわかってる人じゃなきゃ、こんな微妙な味を作り出せないと思います。
飴を舐めながら、早速探索をします。
それぞれ手分けをして、好きなところを調べることにしました。
リィちゃんは遺跡周辺の植物、カイト君は石柱の高さや太さを測定、お兄ちゃんは私達の近くで目についたものを観察することにしたようです。
私はというと、遺跡の石造りを観察しながら、その形をスケッチしていくことにしました。
この遺跡の石は、長年の風化もありますが全体的に白っぽい色で、赤煉瓦や瀝青とは違う色合いです。
オルデンは赤煉瓦の建物が多いので、なかなか見ない白さにじっと見つめてしまいます。
きっとアレニア皇国の建物の色は、文化的に白が多かったんだろうなと思います。
「ん?なんだろう、これ?」
白い石を下から順に見ていくと、私の腰の高さくらいのところで模様がうっすらと描きこまれているのに気がつきました。
その模様を追って視線を上げていくと、石造りの天辺まで続いているようでした。
絡み合う蔦ように無数に伸びていくそれは、まるでバンデの森と同化するように描かれているみたいでおもしろく感じました。
なので、スケッチの中の遺跡にも下手ながらもその模様を付け足しました。
むむむ。形が難しいよ。
ときどき移動しながらスケッチブックの中の遺跡と目の前の遺跡を交互に見て、ふと気がつきました。
「この模様、魔法紋章術に使われてる模様に似てる…」
そう思って、積み石に鼻がくっつくくらい近くまで顔を寄せると、後ろからお兄ちゃんの声がしました。
「おーい、こっちに中に入れそうな穴があるぞー」
「えっ!?」
中に入れる…!?
声がした方に振り返ってみると、お兄ちゃんは大きな柱の向こうにいました。
柱の向こうには、さらに大きな石造りの建物が見えます。
お兄ちゃんは、私を見つけると手招きをしました。
それに応えるように急いでスケッチブックと鉛筆を鞄に仕舞って、その場へ走ります。
リィちゃんとカイト君は、もうすでにお兄ちゃんの傍にいて、その場所を見つめていました。
遺跡の穴は、お兄ちゃんがちょっと屈めば入れるくらいの大きさでした。
お兄ちゃんがランプを持って穴の中を覗きこむと、ランプの光でも奥が見えないほど真っ暗でした。
「立ち入り禁止ではないみたいだな…。どうする?中に入ってみるか?」
お兄ちゃんが私達を振り返って確認してきます。
私達は顔を見合わせてから、『もちろん!』と声を揃えて答えました。
その勢いにお兄ちゃんは笑って頷きました。
先生達はちょっとだけ疲れた顔をしましたが、こうなってしまっては仕方がないと言って許してくれました。
「次はありませんからね。きちんと報告をするように」
ギル先生に強く念を押されて、大きく頷きます。
クロードお兄ちゃんも先生達にあとで怒られていました。
うう、本当にごめんなさい。もう内緒になんてしません。
第二のお兄ちゃんパニックは、そう時間もかからずに鎮まりました。
理由は、森を管理する職員さん達が迎えに来たからです。
「時間になっても皆さんがお見えになりませんでしたので、私達が日にちを間違えたのかと思いました」
管理職員さんの一人が真顔で言ったので、その場にいたみんなはこれは本当に悪いことをしたと感じたようでした。
だって、待たされた挙句にこんなところで大騒ぎしてたら相手に失礼です。本当にすみません。
「お待たせした上にこんなに大騒ぎをしてしまって、申し訳ない。今日はよろしくお願いします」
丁寧に頭を下げたリスト先生に続いて、他の先生も頭を下げます。
私達もそれに釣られるようにして謝りました。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。では、ご案内します。荷物は施設に置けるように手配してあります」
職員の人達はとても丁寧に対応してくれて、私達はフィールドワークの準備を難無くすませることができました。
制服から動きやすい作業服に着替えて、その上にフード付きケープと森の許可証をつけます。
探索地の一つになっているバンデの森は、許可を得た人間しか入れないようになっているようです。
フィールドワークは、例え管理された森であっても何が起きるかわかりません。
森には野生の動物もいるし、危険な植物だっていっぱいあります。
備えを万全にしておくことに越したことはないのです。
「それでは、各グループは地図を持ってそれぞれ思い思いに探索してください。古代遺跡群には入れますが、立ち入り禁止の区域までは入らないようにしてくださいね」
みんなの準備が終わったところを見計らって、エヴァン先生が説明してくれました。
その後、続くように管理職員さん達からの注意事項を聴き、みんなそれぞれ行きたい場所へと散りました。
森の方に行くグループもいれば、さっきいた丘の方に行くグループ、施設回りを探索するグループなど、やることは本当に自由です。
私達も準備を済ませると、どこへ行こうか相談です。
「午後は植物園の見学だから、古代遺跡群に行ってみる?」
そう提案したのはリィちゃんでした。
カイト君はそのつもりだったようで、当然のように頷きます。
しおりの予定表によると午後は植物園を貸し切りにして、植物観察することになっています。
それならわざわざ植物園に行かなくてもいいし、なかなか見られない遺跡を探索する方がいいかもしれないと思いました。
私も特に反対する理由はなかったので、古代遺跡群に行くのに賛成しました。
「じゃあ、遺跡群に行く前に…」
私達の会話を黙って聞いていたクロードお兄ちゃんが腰のサイドポーチから何かを取り出しました。
取り出したものは、小さな包みに入ったキャンディでした。それを私達に配ります。
いきなりキャンディを渡された私達は、不思議に思うしかありませんでした。
「お兄ちゃん、これなあに?」
「これは精霊酔いを防ぐ飴だ。こういう森や古い遺跡には精霊がたくさんいる。街中とは違って、姿が見える力の強い精霊もいる。滅多に会うことはないが一応な」
さすが、クロードお兄ちゃん。
自警団で深霧の森を見まわっているだけあります!
深霧の森の精霊に会ったことはありませんが、とても縄張り意識が強いとお父さん達から聞いています。
敵に対して全く手加減しないそうですが、仲間と認識されるととても情が深いそうです。
このバンデの森の精霊さん達はどんな精霊なのでしょうか?
姿を見ることはできないけど、森や遺跡にいると思うとすごくわくわくしちゃいます!
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「ありがとうございます、クロード様」
「…ありがとな、兄ちゃん」
受け取った私達は、口々にお兄ちゃんにお礼を言います。
言われたお兄ちゃんは、笑いながら私達の頭を撫でてくれました。
撫でられたリィちゃんは声にならない喜びで、カイト君は照れているのかちょっと不機嫌そうな顔でされるがままになっていました。
「よし、じゃあ、行くか!」
『おー!』
お兄ちゃんの掛け声に応えて、私達は古代遺跡群へと向かいました。
古代遺跡は、世界各地にあります。
その形は様々で、街のように大きな遺跡群だったり、大きな何かの施設のような建物だったり、山一つが遺跡そのものだったり、本当に多種多様です。
遺跡は主に旧暦時代のものが多く、いまだに解明されていない謎のものがたくさんあります。
今日行くバンデの森の遺跡群は、元々神殿か何かだったのではないかと言われている遺跡です。
遠い昔、この辺りまでアレニア皇国の領土だったらしく、神殿がちょこちょこあるのだとか。
今は無きそのアレニア皇国は精霊信仰が厚い国だったので、こういった神殿がたくさんあったそうです。
「へぇ。よく知ってるな、カイト君。アレニア皇国なんて教科書の年表にしか出てこないだろ?」
「…歴史は得意なんだ。古代語も少しだけな」
お兄ちゃんの感心する言葉にそっけなくカイト君が答えます。
森の中を歩きながら、古代遺跡群のことをカイト君に訊いたら、さっきの説明をしてくれたのです。
言葉はそっけないけど、顔を見ればそれが照れ隠しなんだということがわかります。ふふふっ。
他にもいろいろと神殿のことについて教えてくれて、お兄ちゃんと私はときどき頷きながら、始終聴き入ってしまいました。
本当、カイト君は物知りです。尊敬します!
「見えてきたわよ」
森の中をしばらく歩けば、リィちゃんが遠くを指差します。
そこには石造りの建物が見えました。
どうやら、あれが古代遺跡群のようです。
外から見れば森の中に遺跡があるように見えますが、実は地上に見えているのはほんの一部なのだそうです。
管理職員さんによると、ここの古代遺跡群はほとんど土に埋まっていて、バンデの森自体が遺跡群の中にあるそうです。
この森よりも大きな遺跡が地中に埋まってるなんて、想像できないです。
そんな遺跡が一部ではありますが、私達の目の前にあります。
遺跡は、大きな石が何個も積み上がったもので、天辺に行くほど崩れていました。
それでも、立派な石造りに目を輝かせるばかりです。
「よし。念のため、さっきの飴舐めておこうな」
お兄ちゃんが飴を取り出して、私達に食べるように促します。
言うとおりに飴をぱくりと食べると、なんとも表現できない味が口いっぱいに広がりました。
なんだろう…不味くもないけど、おいしくもない…。
味がしなくなったガムを口の中で転がしているような味に似ているかもしれません。
そんな微妙な顔で飴を舐めている私達を見て、お兄ちゃんは笑いながら言いました。
「ははっ。おいしくないかもな。でも、おいしかったらすぐに舐めきっちゃうだろ?不味ければ苦痛だしな。この飴は舐めている間だけ精霊酔いを防ぐんだ」
なるほど。確かにそうかもしれない。
この飴を作った人は、料理上手なのかも。
いろんな種類のおいしいも不味いもわかってる人じゃなきゃ、こんな微妙な味を作り出せないと思います。
飴を舐めながら、早速探索をします。
それぞれ手分けをして、好きなところを調べることにしました。
リィちゃんは遺跡周辺の植物、カイト君は石柱の高さや太さを測定、お兄ちゃんは私達の近くで目についたものを観察することにしたようです。
私はというと、遺跡の石造りを観察しながら、その形をスケッチしていくことにしました。
この遺跡の石は、長年の風化もありますが全体的に白っぽい色で、赤煉瓦や瀝青とは違う色合いです。
オルデンは赤煉瓦の建物が多いので、なかなか見ない白さにじっと見つめてしまいます。
きっとアレニア皇国の建物の色は、文化的に白が多かったんだろうなと思います。
「ん?なんだろう、これ?」
白い石を下から順に見ていくと、私の腰の高さくらいのところで模様がうっすらと描きこまれているのに気がつきました。
その模様を追って視線を上げていくと、石造りの天辺まで続いているようでした。
絡み合う蔦ように無数に伸びていくそれは、まるでバンデの森と同化するように描かれているみたいでおもしろく感じました。
なので、スケッチの中の遺跡にも下手ながらもその模様を付け足しました。
むむむ。形が難しいよ。
ときどき移動しながらスケッチブックの中の遺跡と目の前の遺跡を交互に見て、ふと気がつきました。
「この模様、魔法紋章術に使われてる模様に似てる…」
そう思って、積み石に鼻がくっつくくらい近くまで顔を寄せると、後ろからお兄ちゃんの声がしました。
「おーい、こっちに中に入れそうな穴があるぞー」
「えっ!?」
中に入れる…!?
声がした方に振り返ってみると、お兄ちゃんは大きな柱の向こうにいました。
柱の向こうには、さらに大きな石造りの建物が見えます。
お兄ちゃんは、私を見つけると手招きをしました。
それに応えるように急いでスケッチブックと鉛筆を鞄に仕舞って、その場へ走ります。
リィちゃんとカイト君は、もうすでにお兄ちゃんの傍にいて、その場所を見つめていました。
遺跡の穴は、お兄ちゃんがちょっと屈めば入れるくらいの大きさでした。
お兄ちゃんがランプを持って穴の中を覗きこむと、ランプの光でも奥が見えないほど真っ暗でした。
「立ち入り禁止ではないみたいだな…。どうする?中に入ってみるか?」
お兄ちゃんが私達を振り返って確認してきます。
私達は顔を見合わせてから、『もちろん!』と声を揃えて答えました。
その勢いにお兄ちゃんは笑って頷きました。
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