桜の木の下でイケメンとモブは何をするか。

本編

12.

　中々にしぶといなこやつ。実力をみ見誤ったか。
　
　第二ラウンドに持ち込んできたりんによってゴングがなり響く。
　私も負けてはいられない。再三いうようだが、これは私の学校生活がかかっているのだ。
　私もそう息巻いて、りんと同じく立ち上がる。ガタンと椅子が床に落ちた音が教室に響いた。

　それを聞いた瞬間、一気に熱が引いていく。
　まてまて、今から私は何をやろうとした？りんに思いっきり論破しようとしてたよな。なんて、バカなことをしようとしていたなんだ。それって、めちゃくちゃ目立つことだよね。
　額に手を当て、己がしようとしていたことを振り返り愕然とした。

　指先からちらりとりんをみると、多少がっかりしていながら、一矢報いてやった感が否めない。
　
　うゎ、さすが皐月家の一人娘。可愛い顔していながら、頭の中で策略を巡らせている。
　
　ここは、いったん落ち着こう。感情戦に持ち込んだら、相手の思う壺だ。落ち着いて、冷静に、相手を自分を客観的に見て。

　りんの罠に半分突こっんだでしまった私は、苦い顔をしながらも、いそいそと椅子を立て直し、座った。

　「あー、きづいちゃったか。あと、もう少しだったのに」

　ちぇ、と拗ねたように口を尖らした。こんな表情が似合うのはりんぐらいだよ。
　いつもは苛つかないのに、今日に限って少しイラッときた。

　…あぁ、もう一人居た奴のせいか。昨日の先輩が、すごくムカつくテヘをお見舞いしてきたな。顔が整っていて、中性的だったから、全然おかしくはなかった。それでも凄くイラッときたがな。

　「でも、まだまだ負けてないよー」
　今度はりんが息巻いて、再戦をしようとする。
　だけど、私はその声に返答しない。
　なぜなら、、

　キーンコーンカーンコーン

　タイムアップだからだ。
　
　ホームルームが始まることを知らせるチャイムが鳴り始め、今まで各自お喋りをしたり、私らの話に耳を傾けていたクラスメート達も自分の席に座り始める。

　自分のペースで試合を一旦中止したのだから、ますますの結果かな。
　そう思っていたのが顔に出ていたのだろう。りんが悔しそうな表情を見せて、ズカズカと自分の席に向かっていく。
　それも美少女のせいかフィルターがかかっていて、しおしおと歩いているように見えるのだろうね。周りの男子生徒たちの顔が緩んでる、緩んでる。

　それを横目に半笑いで、先生がチャイムの音が鳴り終わったすぐに教室に入ってきたのを確認した。

　先生が始めたホームルームの内容を半分聞きなして、どうしようか、とこれからのことを考える。