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璃空は大学から自転車で5分ほどの、8階建てのマンションに暮らしている。
大学から家までの帰り道には、おしゃれなカフェや、ファミリーレストランがある。
そこを通り抜け、住宅街に入ると、まもなく璃空が住んでいるマンションが見えてくる。
璃空は自転車から降りると、マンション入り口の右側にある駐輪場に入った。
縦4列に並ぶ、複数の自転車。璃空はいつものように、右から2番目の列に足を向けた。
手前が空いていたので、そこに自転車を止める。
少し視線を動かすと、同じ列に見覚えのある黒の自転車を見つけた。
思わず、頬が緩む。
璃空のテンションが静かに上がった。
マンションに入り、ホールに待機していたエレベーターに飛び乗った。
上昇し、3階に着く。
そわそわしながら、一番端にある307号室を目指す。
足音で判断しているかのようなタイミングで、璃空がリュックから取り出した鍵を使用する前に、玄関のドアがそっと開いた。
「おかえり、璃空」
長身の男が、笑顔で出迎える。
18センチの身長差がある男の首に、璃空は無言で抱きついた。
男の名は、佐伯優斗。璃空と同じ年で、学部は違うが同じ大学に通っている。
元々ここは優斗の部屋だったが、3ヶ月前に付き合いだしてすぐ、とある理由から璃空も一緒に住むようになった。
優斗は慣れたように、そのまま抱きついて離れない璃空を片手で少し持ち上げ、ドアを閉めた。
璃空は空に浮いた足をもぞもぞと動かし、靴を脱いだ。ボトッという音をたて、靴が玄関の床に落ちる。
その音を確認すると、優斗は璃空を持ち上げたまま、歩き出した。
「璃空が作っておいてくれたカレー。温めたから、後はよそうだけだよ」
優斗の肩に顔を埋めたまま、璃空が「うん」と答える。
縦長タイプのこの部屋は、玄関から見て右側にシステムキッチンがあり、玄関と合わせて2畳ある。
左側にはトイレ、バス、洗面所が並び、奥には8畳の洋室が一部屋。
男2人が住むには少し狭いが、白を基調とした、清潔感溢れるこの1Kの部屋に、2人は現在暮らしていた。
優斗はキッチンの真ん中まで移動すると、璃空の身体をそっと床に下ろした。
「その前に、手洗いとうがいかな」
うん、と返事はする。でも、璃空はますます力を込め抱きついた。
これまでの人生が、不幸だったとは思っていない。それなりに充実していたし、人に頼りにされることは素直に嬉しかった。
それは今でも変わらない。
けれど、優斗と付き合いだして、一緒に住むようになって、思い知った。
泣き虫で甘えん坊の自分は、ずっと見えないところに潜んでいたのだと。
甘えること。甘やかされること。
それは、ひどく心地が良いものだと。優斗に出逢ってから、思い出してしまった。
そして、心が。
身体が。
求めるようになってしまった。
たった1人。優斗だけを。
依存とすらいえるこの想い。
けれど、ちゃんと分かっている。
だから、大丈夫。
大学から家までの帰り道には、おしゃれなカフェや、ファミリーレストランがある。
そこを通り抜け、住宅街に入ると、まもなく璃空が住んでいるマンションが見えてくる。
璃空は自転車から降りると、マンション入り口の右側にある駐輪場に入った。
縦4列に並ぶ、複数の自転車。璃空はいつものように、右から2番目の列に足を向けた。
手前が空いていたので、そこに自転車を止める。
少し視線を動かすと、同じ列に見覚えのある黒の自転車を見つけた。
思わず、頬が緩む。
璃空のテンションが静かに上がった。
マンションに入り、ホールに待機していたエレベーターに飛び乗った。
上昇し、3階に着く。
そわそわしながら、一番端にある307号室を目指す。
足音で判断しているかのようなタイミングで、璃空がリュックから取り出した鍵を使用する前に、玄関のドアがそっと開いた。
「おかえり、璃空」
長身の男が、笑顔で出迎える。
18センチの身長差がある男の首に、璃空は無言で抱きついた。
男の名は、佐伯優斗。璃空と同じ年で、学部は違うが同じ大学に通っている。
元々ここは優斗の部屋だったが、3ヶ月前に付き合いだしてすぐ、とある理由から璃空も一緒に住むようになった。
優斗は慣れたように、そのまま抱きついて離れない璃空を片手で少し持ち上げ、ドアを閉めた。
璃空は空に浮いた足をもぞもぞと動かし、靴を脱いだ。ボトッという音をたて、靴が玄関の床に落ちる。
その音を確認すると、優斗は璃空を持ち上げたまま、歩き出した。
「璃空が作っておいてくれたカレー。温めたから、後はよそうだけだよ」
優斗の肩に顔を埋めたまま、璃空が「うん」と答える。
縦長タイプのこの部屋は、玄関から見て右側にシステムキッチンがあり、玄関と合わせて2畳ある。
左側にはトイレ、バス、洗面所が並び、奥には8畳の洋室が一部屋。
男2人が住むには少し狭いが、白を基調とした、清潔感溢れるこの1Kの部屋に、2人は現在暮らしていた。
優斗はキッチンの真ん中まで移動すると、璃空の身体をそっと床に下ろした。
「その前に、手洗いとうがいかな」
うん、と返事はする。でも、璃空はますます力を込め抱きついた。
これまでの人生が、不幸だったとは思っていない。それなりに充実していたし、人に頼りにされることは素直に嬉しかった。
それは今でも変わらない。
けれど、優斗と付き合いだして、一緒に住むようになって、思い知った。
泣き虫で甘えん坊の自分は、ずっと見えないところに潜んでいたのだと。
甘えること。甘やかされること。
それは、ひどく心地が良いものだと。優斗に出逢ってから、思い出してしまった。
そして、心が。
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たった1人。優斗だけを。
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けれど、ちゃんと分かっている。
だから、大丈夫。
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