しっかり者で、泣き虫で、甘えん坊のユメ。

西友

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番外編③

23

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「それじゃあ、夜には帰るから」

 翌週の日曜日の、朝。
 玄関で見送る璃空を振り返り、優斗が笑う。

 あれから優斗の家族で話し合いが行われた。全てを両親に打ち明け──強引に童貞を奪われたことは除き──二度と佳菜子には関わりたくないと言い切った優斗を除いて。

 結局、博斗は佳菜子とは別れず。怒った両親に勘当されたらしい。

 もう佳菜子には敷居を跨がせない。だから帰ってきなさいと連絡を受けた優斗が、今日帰省する。

「大学に入学してから、はじめての帰省だろ? 泊まってくればいいのに」

「明日はバイトもあるし。それに璃空と何日も逢えないのは嫌だから」

「それはまあ……おれだってそうだけど」

 ふふ。
 優斗は目を細め「行ってきます」と璃空に口付けた。



 璃空は朝ご飯の後片付け。洗濯。部屋の掃除を黙々とこなしていく。無心に、と言いたいところだが、とある考えが頭から離れない。おまけに優斗がこまめに掃除をしているおかげで、昼前にはやることがなくなってしまい、余計に考えが脳裏を巡る。

 ──あの一件以来。
 何となく、思っていることがある。

(……優斗は佳菜子さんのせいで、女の人が苦手になってしまったんじゃないかな)

 それと気付かず、異性を好きになろうと付き合ってみたけど、続かない。だからといって、恋愛対象を同性にすることなど想像もできなかっただろう。

(もし佳菜子さんとのことがなければ、優斗は普通に女の人を好きになれていたかもしれない。──例えば小瀬野の妹さんや、雪野さんのことを)

 そして璃空は、叶わない想いをずっと秘めながら、優斗を遠くから見つめることしかできなかっただろう。

 もしもの話しに意味はないのかもしれない。でも、考えてしまう。

「おれは幸せだけど……優斗はこれで良かったのかな」

 いつか後悔する日は来ないのだろうか。
 だっておれたちは、もう──。


「──え? もう夕方?」

 はたと気付けば、午後五時半をまわる時刻。することがなくなり、ぼんやりテレビを見ていたのだが、恐ろしいほど早く時間が過ぎ去っていた。

 同じことを何度もぐるぐる考えていたせいだろうか。

 ぐう。
 お腹がなった。

 そういえば、お昼を食べていない。少し早いが、晩御飯にすることにした。優斗は実家で食べてくると行っていたので、一人だ。

「晩御飯、何かあったかな」

 立ち上がり、冷蔵庫を漁る。材料は色々あったが何だか面倒くさくなり、インスタントラーメンで済ませた。

「ごちそうさまでした」

 ぱん。
 手を合わせる。

 時刻は午後六時。

「……夜って何時だろう」

 優斗の実家は、ここから大体二時間ほどかかると言っていた。夕飯を済ませてくるなら、早くても午後十時ぐらいだろう。

「……お風呂入ろ」

 誰にともなく呟く。

 ドライヤーの音が部屋に響き、髪を乾かし終えたので、スイッチを切る。すると。

 ぽつん。
 一人の音がした気がした。

(……寂しい)

 テーブルに突っ伏し、目を閉じる。

 ──早く帰ってこないかな。

 泊まってくればいいのに。そんなことを言ったことも忘れ、璃空は胸中でぼやいた。
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