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第6話 び、美少女とお風呂で洗いっこだと!?
しおりを挟む「キュウ……」
(な、なんだなんだなんだ! 何なんだ、この状況はっ!?)
琥珀は内心で荒れ狂う感情を必死になって処理しながら、自分が置かれている状況を把握しようとする。
まず、琥珀は再び異世界に召喚されてしまったらしい。
それは良い。いずれまた召喚されるであろうことは予想していたことである。
だが……問題なのはこの場所。この状況だ。
ペンギンの姿になった琥珀は全裸のヘリヤに抱えられており、膝に乗せられて石鹸で身体を洗われていたのである。
(どうして、ヘリヤさんは全裸なんだ!? どうして、僕はヘリヤさんに身体を洗われているんだ!?)
考えるまでもない。
ヘリヤは入浴中に琥珀のことを召喚して、こうやってペットの身体を洗うような感覚で琥珀のことを洗っているのだ。
ヘリヤはスポンジなどを使うことなく、石鹸を泡立てた両手で優しく撫でるようにして琥珀を洗っている。
その手つきはどこまでも優しく、慈愛に満ちている。
「キュウ……」
そして、背後で揺れている気配がする。
小柄で小動物のようなヘリヤの身体つきには似合わない、巨大な二つの果実が琥珀の後頭部の後ろで揺れているのがわかった。
もしもヘリヤの膝に乗せられた琥珀が彼女の側を向いていたのであれば、とんでもない光景を目にしていたことだろう。
「アンバー、きもちいい?」
ヘリヤが片言の日本語で訊ねてくる。
「キュイ、キュイ」
(気持ち良いです。とんでもなく、凄まじいほどに……)
間違いなく、人生で最高に気持ちが良い。
美少女の細い指で身体を洗われるのがこんなに心地良いものだとは思わなかった。
もしも明日、命を落とすことになったとしても……この思い出があれば、一片の悔いもなく果てることができるはず。
(いやいやいや! ダメだ、死んでる場合じゃねえ!)
時間が経って、ようやく理解が追いついてきた。
琥珀は荒ぶる感情の中に垂れてきた、か細い理性の糸を必死になって掴む。
(また召喚されたのはわかったが……どうして、わざわざ浴室なんだ? 入浴中に召喚獣を呼び出すメリットがあるのか?)
戦闘中であるならばまだわかる。
琥珀を……召喚獣アンバーを呼び出して、敵と戦わせるつもりだったのであれば呼び出された理由は明白だ。
だけど、風呂に入っている時に召喚する意味がわからない。
(もしかして、ただ身体を洗うためにだけ呼び出したのか……ヘリヤさんが僕のことをペット扱いしているのであれば、わからなくもないのか?)
ヘリヤは明らかに琥珀のことを召喚獣としてではなく、小動物として扱っている。
ただペットを連れて入浴がしてみたいという、それだけの理由で召喚したのではないだろうか。
「ん、終わった」
「キュイッ!?」
考え込んでいるうちに、身体を洗うのが終わったらしい。
ヘリヤが満足そうに琥珀の短い両手の下に手を入れて、身体を反対向きにする。
湯気に濡れてしっとりとしたヘリヤの身体が琥珀の目にさらされた。端正に整った顔と銀色の髪、そして……たわわに実った二つの果実も。
「キュウ……」
(終わった……我が人生にもはや悔いはない)
高くそびえ立った山の上に君臨するサクランボを目にして、琥珀は人生の絶頂を悟る。
こんな素晴らしいものを目に焼き付けてしまったのだ。全ての運を使い果たして、これから死ぬとしか思えない。
命と引き換えにでもしなければ、全裸のヘリヤを鑑賞することと釣り合わなかった。
「ん、今度はアンバーの番」
昇天する覚悟を決める琥珀であったが、ヘリヤの攻撃はまだ終わってはいなかった。
「洗って、わたしのからだ」
「ギュイッ!?」
ヘリヤが両手を広げて、今度は自分を洗うように求めてくる。
もちろん、琥珀はスポンジなどを持っていない。
この状況で洗う手段といえば、ヘリヤによって洗われたばかりで泡を落としていない己の身体だけである。
「キュウ~」
(まさか……身体で洗えというのか、ヘリヤさんの裸を……!)
何という素敵な……否、恐るべきことだろう。
全裸の美少女。ロリ巨乳体型な北欧系美少女の身体を自分の身体でこすって綺麗にしろというのだから。
(い、いくら何でもそれは不味いんじゃ……)
「キュウ!?」
「んっ!」
無垢な少女を汚すわけにはいかないという意思とは裏腹に、ペンギンの姿をした琥珀の身体がヘリヤの胸に飛びついてしまう。
大きな乳房に嘴がついた顔が埋まる。モニモニムニムニとマシュマロのような感触が顔面を包み込んだ。
「キュイイッ!?」
(嘘だろ!? 僕ってばこんなに誘惑に弱かったのか!?)
目の前で揺れているおっぱいが素敵すぎることは誰しも認めることだろう。
だからといって……どこかの大泥棒のように飛びついてしまうとは。
ショックを受けているうちにも、琥珀の両手が意思とは無関係に動いてヘリヤの肌に泡を擦りつけていく。
(もしかして……ヘリヤの命令に逆らえないのか!?)
必死に両手を止めようとするが、琥珀の身体が勝手に動いており、玉のようなヘリヤの肌を撫でつけて洗っている。
美少女の誘惑に負けてしまったのではない。本当に身体の自由が利かないのだ。
推察するに、召喚獣は自分を召喚した人間の命令を拒むことができないのだろう。
「身体を洗え」と命令されたからには、それを実行するしかない。
「んんっ……じょうず。良い子ね、アンバー」
両胸と腹部を洗い終わると、ヘリヤが愛おしそうに微笑みながら褒めてくれる。
褒められたことへの喜びが胸に満ちていくが、琥珀はそれどころではない。
(は、鼻血が出る……)
初めて目にする家族以外の裸を見て、頭がクラクラして失神してしまいそうだった。
「こんど、こっちね」
「キュウッ!?」
だが……召喚者への奉仕はまだ終わってはいない。
ヘリヤが両脚を開いて、女性にとってもっとも重要な場所を指で示してきたのである。
「キュウ、キュイイ……」
琥珀は自動的に動く謎の力に身体をゆだねて、生まれて初めて目の当たりにする『そこ』へと手を伸ばすのであった。
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