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第7話 美少女と入浴。そして、パフパフ二人目!!!
しおりを挟む「キュイ……」
「ん、いいお湯」
お湯に浸かりながら、ヘリヤが心地良さそうに息を吐く。
その膝にはまるで定位置のように琥珀が座っており、放心状態となっている。
(やってしまった……大人になってしまった……)
大袈裟である。
別に大人にはなっていない。
あれから、琥珀はヘリヤの全身を洗うことになった。
豊満な両胸に始まり、腹や首。腕、脚、背中……ありとあらゆる柔肌を愛でるようにして撫でた。ペンギンの全身を使ってくまなく。
自分をスポンジ代わりにしてヘリヤの身体を綺麗にしたころには、琥珀の精神力はゼロになっていた。
(本当にもう終わりかもしれない……水島琥珀先生の次回作にご期待ください……)
琥珀は完全に脱力中。
北欧系のロリ巨乳美少女の身体を洗うという行為は、チェリーボーイには刺激が強すぎたようだ。
魂が今にも抜け落ちそうになっており、浴槽でヘリヤに抱え込まれているというのにノーリアクションである。
ちなみに、広々とした浴室にいるのはヘリヤと琥珀だけではない。
おそらく女性用の浴室であるそこには、二人以外にもクラスの女子が勢ぞろいしていた。
二十人もの裸身が広がる姿はパラダイスのようであったが……自分をスポンジにして美少女の身体を洗うという経験をしたおかげで、それ以上は取り乱すことはなかった。
「ああ。やっぱりその子、可愛いな」
「…………?」
琥珀に……というよりも、ヘリヤにクラスメイトの女子の一人が声をかけてきた。
「アゲハ」
ヘリヤが話しかけてきたクラスメイトを見上げる。
浴槽に入ってきたのは村上揚羽という名前の女子生徒だった。
揚羽は女子にしては背が高く、身長は百七十センチほどもある。
普段は長い黒髪をポニーテールにまとめているのだが、入浴中ということもあって下ろしていた。
胸もそれなりに育っており、さらに一回り大きなヘリヤのそれを目にした後でなければ、見入ってしまったことだろう。
「あとで私にも抱っこさせてもらえないかい? 実は、私もペンギンが好きだったんだ」
「Ja。かまわない」
ヘリヤがコクリと頷く。
揚羽はそのままヘリヤの隣に座って、浴槽に身体を浸ける。
「フウ……気持ち良い。やっぱり、身体を動かした後の入浴は格別だな」
「Ja」
「異世界に召喚されて今日で一週間か……今頃、日本はどうなっているんだろうな?」
揚羽が物憂げに言葉をこぼす。
(ん……一週間?)
茫然自失となっていた琥珀であったが、その言葉にふと違和感を抱いて意識が呼び戻される。
(みんなが行方不明になったのは三日前だって刑事さんが言ってたよな? それなのに、一週間って……)
もしかすると、この世界と日本では時間の流れが違うのだろうか?
「みんな、こっちでの生活には慣れてきたけど……そろそろ、ホームシックにかかる者が増えてくるだろうな。」
「ja……あせらなくてもダイジョブ、きっと見つかる」
「そうだな……すまない、弱気になってしまったようだ」
揚羽がバシャリと自分の顔に湯をかける。
不安そうな顔から一転して、明るい笑顔になってヘリヤに微笑みかけた。
「頑張らないとな。みんなで一緒に元の世界に帰ろう」
「ん……がんばる。この子も」
「キュッ!」
ヘリヤが琥珀の身体を持ち上げて、揚羽の膝に移す。
ヘリヤと比べると小ぶりだが、十分なサイズのある揚羽の胸が身体に押しつけられる。
「この子もおうえんしてる。だから、元気出す」
「ああ、ありがとう! あなたも……ええっと、ペンちゃんだったか?」
「Nej。アンバー」
「ああ、そうだったか。アンバーちゃんもありがとう」
「キュウ~」
揚羽が琥珀をギュッと抱擁してきた。
柔らかな乳肉に顔が埋まり、石鹸と体温の混じった匂いに包まれる。
「キュイ、キュイ」
(……しょうがないなあ。もう少しだけ、このままでいてやるか)
揚羽はクラスの中では数少ない、イジメをやめさせようとしていた側の人間である。
クラス委員をしていた揚羽は正義感が強く、琥珀が虐げられている場面を見つけると、決まって注意をしてくれた。
その際、「貴方がガッツリ言わないから、相手が調子に乗るのよ!」などと琥珀に対しても厳しい言葉をぶつけてきていたが。
(厳しいことは言われたけど、村上さんにも恨みはないからな……抱きしめられるくらいは良いか)
裸の女子に抱き着かれるというとんでもない状況であったが、先ほど、奇跡体験をしたばかりなので堪えることができた。
柔らかな双丘に顔を埋めながら、琥珀はそっと目を閉じたのである。
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