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第8話 学校に行こう。おっぱいが柔らかかったから!
しおりを挟む「よし……行くか!」
クラスの女子と一緒に入浴するという稀有な体験をした翌日。
琥珀は家から出て、高校に通学することにした。
制服のブレザーを着てダイニングに下りてきた琥珀を見て、母親は涙を流して喜んでくれる。
父親はそこまで過剰な反応はしなかったが、こちらはこちらで胸を撫で下ろしたような顔になっていた。
琥珀が学校に行く決意を決めた理由はシンプルである。
(女の子の胸が柔らかかったから……!)
昨晩、異世界に召喚された琥珀はクラスメイトであるヘリヤ・アールヴェント、ついでに村上揚羽の胸を触っていた。
ヘリヤに至っては、触るどころか自分の身体をスポンジにして洗ってあげるという奇跡体験をしてしまっている。
こんな体験をしてしまえば、もはや学校に対する恐怖など吹き飛んでしまうというものだ。
(……っていうか、もう自分が不幸だとか嘆けないよ)
イジメを受けたことは災難だったと今でも思うが……もはや琥珀は自分で自分を可哀そうな人間だなんて思えなかった。
クラスの女子二人の胸を堪能して、さらに他の女子の入浴姿も見てしまっているのだから。
ちゃんとした理屈があるわけではないのだが、琥珀が学校を休んで引きこもることができていたのはイジメられていた自分が不幸であり、逃げ出す権利があると信じていたからである。
しかし、もはやそんな言い訳は通用しない。
琥珀は世の高校生の誰よりも幸福な経験をしてしまったのだから。
「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい……気をつけてね!」
涙ぐむ母親を大袈裟だと思いながらも、琥珀は学校に通学するために駅に向かった。
すでに電話で今日から通学する旨を報告している。
学年主任の教員は驚きながらも受け入れてくれて、本日のところは自習室を使うように指示をくれた。
クラスメイトがごっそりいなくなってしまったため、いずれは他のクラスに編入することになるのだが、まだ準備ができていないそうだ。
琥珀が通っている高校は自宅から三駅ほど離れた場所にある。
以前は毎日のように使っていた駅から電車に乗り、吊革にぶら下がって揺られながらふと思う。
(そういえば……ステータスはどうなったんだっけ?)
浴室に召喚されたショックで忘れていたが、ステータスはどうなっているのだろう。
戦闘したわけじゃないから変わっていないと思うが、念のために確認しておこう。
琥珀は電車に揺られながら小さく「ステータス」とつぶやいて、ウィンドウを呼び出した。
―――――――――――――――
水島 琥珀(アンバー)
年齢:16
種族:人間(フロストフェニックス幼体)
職業:ヘリヤ・アールヴェントの召喚獣
召喚回数:2
レベル 4 UP!
体力 F→E
魔力 F
攻撃 F→E
防御 F
速度 F→E
器用 F
知力 F
魅力 A
スキル
・異世界言語
・フロストバースト(弱) NEW
―――――――――――――――
(上がってる? レベルが3つも?)
琥珀は目を瞬かせた。
何かしたわけではない。敵を倒したわけでもないし、特別なアイテムを使用したわけでもない。
それなのに……何故かレベルが3つも上昇している。
レベル上昇に伴う変化なのか、『体力』と『器用』の項目も成長しており、『フロストバースト』という新しいスキルを入手していた。
(どういうことだ? 何もしていないのにレベルが上がるだなんて……)
確かに、貴重な経験は積んだ。
それこそ、普通に生きていたら一生できなかったであろう経験を。
だが、それでレベルが上がるは違うような気がする。何か特別な条件でもあるのだろうか?
(そういえば……あのメガネの女の人が言っていたっけか?)
昨日、ヘリヤ達が受けていた魔法の授業を思い出す。
『召喚獣というのはこの世界とは別次元の異界からやってくる存在なのだが、召喚者の願いを叶えることによって成長することができる。ミス・アールヴェントがこれから先もその名もなき召喚獣を呼び出していけば、いずれは大きく逞しく育つことだろう』
名前も知らない指導役の女性の言葉を信じるのであれば、召喚獣が強くなるための条件は『召喚者の願いを叶えること』。
必ずしも敵を倒したりする必要はないのだ。
(つまり、召喚者であるヘリヤさんの願いを叶えたからレベルが上がったってことか……彼女の願いって……)
身体を洗ってあげること。
ヘリヤが琥珀のことを愛玩動物だとみなしているのであれば、膝に乗って撫でられたりモフられたりしたことも『願い』に含まれているのかもしれない。
(つまり……俺は可愛がられたら可愛がられた分だけ強くなるってことか? ヘリヤさんに?)
美少女に愛でられるだけで強くなれるとは、何という役得だろうか。
「ペンギンに生まれて良かった……!」
「…………?」
思わずつぶやいてしまったここからの言葉に、同じ電車に乗っていた見知らぬOLが怪訝そうな顔をしているのであった。
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