ペンギン転生 異世界でペンギンになったが美少女に飼われたので別に良い

レオナール D

文字の大きさ
23 / 41

第23話 ペンギンになったら初めてデートできた

しおりを挟む
 クラスメイトが滞在している城は小高い丘の上にあるようで、城を出て正面にあるなだらかな坂を下りていくと、そこに城下町があった。
 事前に渡されていたらしい身分証を提示すると、町の入口に立っていた兵士がすぐさま四人を通してくれる。
 彼らと一緒にペタペタと歩いているペンギンには怪訝な顔をしていたが……それでも、入口で止められたりすることはなかった。

「いやー、昨日も思ったけど、こうやってみるとマジでゲームの世界だよねー。写真撮ってSNSあげたらバズんじゃね?」

 城下町に足を踏み入れた柊木が愉快そうに周囲を見回す。

 気持ちは琥珀にも分かった。
 その街並みはまさにゲームの世界に飛び込んだようである。
 基本的な町並みは中世ヨーロッパ。レンガで建てられた家が並んでいた。
 石畳で舗装された通りを、剣や槍を下げた戦士や騎士、ローブを身にまとった魔法使いとしか思えない人間が歩いている。
 さらに、ガタガタと音を鳴らして走る馬車を引っ張っているのは大きな鳥のような生き物である。
 某有名RPGに登場するチョ〇ボとよく似ているが、羽の色は黄色ではなく白色だった。
 鷹や鷲のような猛禽類とは違って愛嬌のある顔をしており、琥珀に気がつくとクリクリとした目で見つめてくる。

「クアッ」

「キュイ」

 挨拶をされたので、とりあえず琥珀も鳴き声を返しておいた。
 何を言っているのかはさっぱりわからないが……何となく歓迎されている空気を感じる。

「さあ、まずは服屋に行きましょう。場所は聞いているわ。こっちよ」

 町についた矢先、急に甘井が仕切りだしてきた。

「一日で全部の店に行きたいから、効率よく回りましょう。大丈夫、ちゃんと場所はリサーチしてあるわ。こっちよ、はぐれないように私についてきて」

 甘井が紙の束を取り出し、先頭を立って歩きだす。
 顔は相変わらずの無表情であるのだが、目はいつもより溌溂としていた。
 昨日のダンジョンでは最後列を歩いていたというのに、まるで別人のようである。

「……甘井っちでこういう性格だったんだね。別人じゃん」

「ああ……プライベートで付き合いが無かったから知らなかったが、ショッピング好きらしいな。勝手にオシャレとかには興味がないと思っていた。人をイメージで判断してはいけないな」

 柊木と揚羽がしみじみとした様子で会話をしながら、甘井の後を歩いていく。
 その後ろを、ヘリヤに手を引かれて琥珀もペタペタと付いていった。

「アンバー、まいごになったらダメ」

「キュイ」

「おねえちゃんについてくる。ね?

「キュイ」

 もちろん、迷子にならないようにしっかりとヘリヤの手を握りしめる。まあ、ペンギンなのでそんなに強く握る指の機能は付いていないのだが。

「わっ、何アレ。モンスター?」

「従魔かそれとも召喚獣か? どちらにしても愛らしいな」

「ママー、アレ欲しい。ペットにするー」

 そんな琥珀達に道行く人々が物珍しそうに目を向けてくる。
 やはりファンタジーな世界でもペンギンという生き物は珍しいようだ。
 北欧系の美少女であるヘリヤは中世ヨーロッパっぽい雰囲気の町を歩いていても違和感がないのだが、琥珀と手をつないでいることで妙な目で見られるようになっていた。

「~~~~♪」

 そんな周りの視線をまるで気にした様子もなく、ヘリヤが琥珀の手を掴んでウキウキルンルンと友人達についていく。

(昨日のことはもう引きずってないみたいだな。うん、安心した)

 ヘリヤも柊木ほどではないが、ダンジョンで危険な目に遭っている。
 落ち込んではいないかと心配していたが……この様子を見る限り、大丈夫そうである。

(それにしても……手をつないで町をショッピングって、これはもうデートなんじゃないのかな?)

 一緒に風呂に入ったり同衾したり、もっとすごいことをしているというのに……何故かドギマギとしてしまい、琥珀は気恥ずかしい気持ちになるのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...