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第23話 ペンギンになったら初めてデートできた
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クラスメイトが滞在している城は小高い丘の上にあるようで、城を出て正面にあるなだらかな坂を下りていくと、そこに城下町があった。
事前に渡されていたらしい身分証を提示すると、町の入口に立っていた兵士がすぐさま四人を通してくれる。
彼らと一緒にペタペタと歩いているペンギンには怪訝な顔をしていたが……それでも、入口で止められたりすることはなかった。
「いやー、昨日も思ったけど、こうやってみるとマジでゲームの世界だよねー。写真撮ってSNSあげたらバズんじゃね?」
城下町に足を踏み入れた柊木が愉快そうに周囲を見回す。
気持ちは琥珀にも分かった。
その街並みはまさにゲームの世界に飛び込んだようである。
基本的な町並みは中世ヨーロッパ。レンガで建てられた家が並んでいた。
石畳で舗装された通りを、剣や槍を下げた戦士や騎士、ローブを身にまとった魔法使いとしか思えない人間が歩いている。
さらに、ガタガタと音を鳴らして走る馬車を引っ張っているのは大きな鳥のような生き物である。
某有名RPGに登場するチョ〇ボとよく似ているが、羽の色は黄色ではなく白色だった。
鷹や鷲のような猛禽類とは違って愛嬌のある顔をしており、琥珀に気がつくとクリクリとした目で見つめてくる。
「クアッ」
「キュイ」
挨拶をされたので、とりあえず琥珀も鳴き声を返しておいた。
何を言っているのかはさっぱりわからないが……何となく歓迎されている空気を感じる。
「さあ、まずは服屋に行きましょう。場所は聞いているわ。こっちよ」
町についた矢先、急に甘井が仕切りだしてきた。
「一日で全部の店に行きたいから、効率よく回りましょう。大丈夫、ちゃんと場所はリサーチしてあるわ。こっちよ、はぐれないように私についてきて」
甘井が紙の束を取り出し、先頭を立って歩きだす。
顔は相変わらずの無表情であるのだが、目はいつもより溌溂としていた。
昨日のダンジョンでは最後列を歩いていたというのに、まるで別人のようである。
「……甘井っちでこういう性格だったんだね。別人じゃん」
「ああ……プライベートで付き合いが無かったから知らなかったが、ショッピング好きらしいな。勝手にオシャレとかには興味がないと思っていた。人をイメージで判断してはいけないな」
柊木と揚羽がしみじみとした様子で会話をしながら、甘井の後を歩いていく。
その後ろを、ヘリヤに手を引かれて琥珀もペタペタと付いていった。
「アンバー、まいごになったらダメ」
「キュイ」
「おねえちゃんについてくる。ね?
「キュイ」
もちろん、迷子にならないようにしっかりとヘリヤの手を握りしめる。まあ、ペンギンなのでそんなに強く握る指の機能は付いていないのだが。
「わっ、何アレ。モンスター?」
「従魔かそれとも召喚獣か? どちらにしても愛らしいな」
「ママー、アレ欲しい。ペットにするー」
そんな琥珀達に道行く人々が物珍しそうに目を向けてくる。
やはりファンタジーな世界でもペンギンという生き物は珍しいようだ。
北欧系の美少女であるヘリヤは中世ヨーロッパっぽい雰囲気の町を歩いていても違和感がないのだが、琥珀と手をつないでいることで妙な目で見られるようになっていた。
「~~~~♪」
そんな周りの視線をまるで気にした様子もなく、ヘリヤが琥珀の手を掴んでウキウキルンルンと友人達についていく。
(昨日のことはもう引きずってないみたいだな。うん、安心した)
ヘリヤも柊木ほどではないが、ダンジョンで危険な目に遭っている。
落ち込んではいないかと心配していたが……この様子を見る限り、大丈夫そうである。
(それにしても……手をつないで町をショッピングって、これはもうデートなんじゃないのかな?)
一緒に風呂に入ったり同衾したり、もっとすごいことをしているというのに……何故かドギマギとしてしまい、琥珀は気恥ずかしい気持ちになるのであった。
事前に渡されていたらしい身分証を提示すると、町の入口に立っていた兵士がすぐさま四人を通してくれる。
彼らと一緒にペタペタと歩いているペンギンには怪訝な顔をしていたが……それでも、入口で止められたりすることはなかった。
「いやー、昨日も思ったけど、こうやってみるとマジでゲームの世界だよねー。写真撮ってSNSあげたらバズんじゃね?」
城下町に足を踏み入れた柊木が愉快そうに周囲を見回す。
気持ちは琥珀にも分かった。
その街並みはまさにゲームの世界に飛び込んだようである。
基本的な町並みは中世ヨーロッパ。レンガで建てられた家が並んでいた。
石畳で舗装された通りを、剣や槍を下げた戦士や騎士、ローブを身にまとった魔法使いとしか思えない人間が歩いている。
さらに、ガタガタと音を鳴らして走る馬車を引っ張っているのは大きな鳥のような生き物である。
某有名RPGに登場するチョ〇ボとよく似ているが、羽の色は黄色ではなく白色だった。
鷹や鷲のような猛禽類とは違って愛嬌のある顔をしており、琥珀に気がつくとクリクリとした目で見つめてくる。
「クアッ」
「キュイ」
挨拶をされたので、とりあえず琥珀も鳴き声を返しておいた。
何を言っているのかはさっぱりわからないが……何となく歓迎されている空気を感じる。
「さあ、まずは服屋に行きましょう。場所は聞いているわ。こっちよ」
町についた矢先、急に甘井が仕切りだしてきた。
「一日で全部の店に行きたいから、効率よく回りましょう。大丈夫、ちゃんと場所はリサーチしてあるわ。こっちよ、はぐれないように私についてきて」
甘井が紙の束を取り出し、先頭を立って歩きだす。
顔は相変わらずの無表情であるのだが、目はいつもより溌溂としていた。
昨日のダンジョンでは最後列を歩いていたというのに、まるで別人のようである。
「……甘井っちでこういう性格だったんだね。別人じゃん」
「ああ……プライベートで付き合いが無かったから知らなかったが、ショッピング好きらしいな。勝手にオシャレとかには興味がないと思っていた。人をイメージで判断してはいけないな」
柊木と揚羽がしみじみとした様子で会話をしながら、甘井の後を歩いていく。
その後ろを、ヘリヤに手を引かれて琥珀もペタペタと付いていった。
「アンバー、まいごになったらダメ」
「キュイ」
「おねえちゃんについてくる。ね?
「キュイ」
もちろん、迷子にならないようにしっかりとヘリヤの手を握りしめる。まあ、ペンギンなのでそんなに強く握る指の機能は付いていないのだが。
「わっ、何アレ。モンスター?」
「従魔かそれとも召喚獣か? どちらにしても愛らしいな」
「ママー、アレ欲しい。ペットにするー」
そんな琥珀達に道行く人々が物珍しそうに目を向けてくる。
やはりファンタジーな世界でもペンギンという生き物は珍しいようだ。
北欧系の美少女であるヘリヤは中世ヨーロッパっぽい雰囲気の町を歩いていても違和感がないのだが、琥珀と手をつないでいることで妙な目で見られるようになっていた。
「~~~~♪」
そんな周りの視線をまるで気にした様子もなく、ヘリヤが琥珀の手を掴んでウキウキルンルンと友人達についていく。
(昨日のことはもう引きずってないみたいだな。うん、安心した)
ヘリヤも柊木ほどではないが、ダンジョンで危険な目に遭っている。
落ち込んではいないかと心配していたが……この様子を見る限り、大丈夫そうである。
(それにしても……手をつないで町をショッピングって、これはもうデートなんじゃないのかな?)
一緒に風呂に入ったり同衾したり、もっとすごいことをしているというのに……何故かドギマギとしてしまい、琥珀は気恥ずかしい気持ちになるのであった。
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