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第23話
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サリームが殺された事で、市民達の怒りは頂点に達した。
その動きを知ったスペインは密かに市民達に武器などを渡すなどの支援を行っていた。
同時に七千の兵が乗る艦隊の出撃準備をさせた。
オルチは密偵からの報告でその情報を知っていた。
そして、当初の予定通り市民の反乱を鎮圧し、後にスペインの艦隊を撃破する事にした。
アルジェの市民達が市内のある所で集まっていた。
其処は反乱を決起する者達の集会場であった。
ハサンはその集会場が良く見える場所を陣取っていた。
まだ、集会場にはそれなりの人物が集まっているが、反乱の首謀者は姿を見せていなかった。
(それなりに居るな。まぁ、それだけ俺達の支配に反対する者達が多いという事か」
ハサンの側には男が一人居た。
その者はオルチ達に市民が反乱を起こす事を密告した者だ。
同時にこの反乱の首謀者の顔も知っていた。
「おい。本当に来るのだろうな?」
ハサンが首謀者が来ない事を不審に思い男に訊ねた。
「ああ、間違いない。今日の集会で決起すると言っていたからな」
男が真剣な顔でそう告げるが、ハサンからしたら男が嘘を付いている事も考えられると思っていた。
(とはいえ、もう計画は始まっているからな)
集会場を囲むようにオルチの部下達が包囲していた。
今日、集会を行うという密告を聞いたオルチは直ぐに部下に兵を与え、その集会場を取り囲み、反乱に参加する者達を捕縛又は殺害する様に命じた。
同時にオルチはハサンに集会場で反乱の首謀者を確実に殺すように命じられた。
ハサンにそう命じるという時点で、確実に殺す方法は一つしかなかった。
そして、ハサンは密告した男と護衛の兵達と共に集会場が見える場所を陣取っていた。
そうして待つ事暫し。
「……あいつだっ」
密告した男が集会場に入る男を指差した。
ハサンはその指差した男を見た。
頭にはターバンを巻いておらず、金髪の男性であった。
服も汚れてはいるが、良い生地を使っていた。
姿と格好からこの都市の市民では無く、スペインから派遣された者かも知れないと予想するハサン。
「では、仕事を始めるか」
ハサンはそう言って、銃に弾込めを行い火縄に火を付けた。
縄に火が付き、余剰分の縄は縄通しに通して、狙いを定めた。
ハサン達が居る場所と集会場は距離にして二百メートル。
銃の射程範囲ギリギリであった。
ハサンは狙いをつけつつ、息を整える。
首謀者が集会場の中央に立ち、演説を始めた。
顏はハサン達の方を向いているが、目は集会場に集まった者達を見ているので、ハサンが狙っている事に気付いた様子はなかった。
「…………ふぅ~」
ハサンが十分に狙いをつけ、呼吸を整えた。そして引き金を引いた。
パンっという音と火花が立った。
少しして、首謀者の脳天に銃弾が撃ち込まれた。
首謀者は目を開けたままゆっくりと後ろに倒れた。
集会場は騒然となった。
皆、恐慌状態の中でオルチの部下達が突入して、抵抗する者は斬り捨てていき、抵抗しない者は捕縛していった。
集会場に居た者達の中には、オルチの部下達の手から逃れ逃げ出せた者もいたが、集会場を包囲している兵達により捕まっていった。
その様子を狙撃した所から見ているハサン。
「……特に問題ないな」
一応援護できる様に弾込めはしていたが、反乱に参加する者達が次々に捕まって行くのを見たハサンは大丈夫だと思い火縄の火を消した。
「親父の所に戻って報告するぞ」
「「はっ」」
ハサンは銃を担ぎ、オルチの元に報告に帰る事にした。
兵達はその命令に従い、密告した男と共にオルチの元に帰還した。
密告した男はオルチから褒美を貰い喜んでいたが、暫くすると姿が見えなくなった。
その話を聞いたハサンはオルチに、巷でそういう噂が流れていると話すと。
「一度密告した者は、何度もでも密告する。そういう奴は信用できん」
とだけ言って、何も言わなかった。
ハサンはオルチが教えてくれない以上、聞いても無駄と思い何も訊かなかった。
結局、男はどうなったのかは真相は闇の中であった。
その動きを知ったスペインは密かに市民達に武器などを渡すなどの支援を行っていた。
同時に七千の兵が乗る艦隊の出撃準備をさせた。
オルチは密偵からの報告でその情報を知っていた。
そして、当初の予定通り市民の反乱を鎮圧し、後にスペインの艦隊を撃破する事にした。
アルジェの市民達が市内のある所で集まっていた。
其処は反乱を決起する者達の集会場であった。
ハサンはその集会場が良く見える場所を陣取っていた。
まだ、集会場にはそれなりの人物が集まっているが、反乱の首謀者は姿を見せていなかった。
(それなりに居るな。まぁ、それだけ俺達の支配に反対する者達が多いという事か」
ハサンの側には男が一人居た。
その者はオルチ達に市民が反乱を起こす事を密告した者だ。
同時にこの反乱の首謀者の顔も知っていた。
「おい。本当に来るのだろうな?」
ハサンが首謀者が来ない事を不審に思い男に訊ねた。
「ああ、間違いない。今日の集会で決起すると言っていたからな」
男が真剣な顔でそう告げるが、ハサンからしたら男が嘘を付いている事も考えられると思っていた。
(とはいえ、もう計画は始まっているからな)
集会場を囲むようにオルチの部下達が包囲していた。
今日、集会を行うという密告を聞いたオルチは直ぐに部下に兵を与え、その集会場を取り囲み、反乱に参加する者達を捕縛又は殺害する様に命じた。
同時にオルチはハサンに集会場で反乱の首謀者を確実に殺すように命じられた。
ハサンにそう命じるという時点で、確実に殺す方法は一つしかなかった。
そして、ハサンは密告した男と護衛の兵達と共に集会場が見える場所を陣取っていた。
そうして待つ事暫し。
「……あいつだっ」
密告した男が集会場に入る男を指差した。
ハサンはその指差した男を見た。
頭にはターバンを巻いておらず、金髪の男性であった。
服も汚れてはいるが、良い生地を使っていた。
姿と格好からこの都市の市民では無く、スペインから派遣された者かも知れないと予想するハサン。
「では、仕事を始めるか」
ハサンはそう言って、銃に弾込めを行い火縄に火を付けた。
縄に火が付き、余剰分の縄は縄通しに通して、狙いを定めた。
ハサン達が居る場所と集会場は距離にして二百メートル。
銃の射程範囲ギリギリであった。
ハサンは狙いをつけつつ、息を整える。
首謀者が集会場の中央に立ち、演説を始めた。
顏はハサン達の方を向いているが、目は集会場に集まった者達を見ているので、ハサンが狙っている事に気付いた様子はなかった。
「…………ふぅ~」
ハサンが十分に狙いをつけ、呼吸を整えた。そして引き金を引いた。
パンっという音と火花が立った。
少しして、首謀者の脳天に銃弾が撃ち込まれた。
首謀者は目を開けたままゆっくりと後ろに倒れた。
集会場は騒然となった。
皆、恐慌状態の中でオルチの部下達が突入して、抵抗する者は斬り捨てていき、抵抗しない者は捕縛していった。
集会場に居た者達の中には、オルチの部下達の手から逃れ逃げ出せた者もいたが、集会場を包囲している兵達により捕まっていった。
その様子を狙撃した所から見ているハサン。
「……特に問題ないな」
一応援護できる様に弾込めはしていたが、反乱に参加する者達が次々に捕まって行くのを見たハサンは大丈夫だと思い火縄の火を消した。
「親父の所に戻って報告するぞ」
「「はっ」」
ハサンは銃を担ぎ、オルチの元に報告に帰る事にした。
兵達はその命令に従い、密告した男と共にオルチの元に帰還した。
密告した男はオルチから褒美を貰い喜んでいたが、暫くすると姿が見えなくなった。
その話を聞いたハサンはオルチに、巷でそういう噂が流れていると話すと。
「一度密告した者は、何度もでも密告する。そういう奴は信用できん」
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