転移したら研師になった。  この能力で全てを研ぎ澄ます

正海広竜

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第三話

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 朝から嫌な思いしながら廊下を歩く。
 廊下を歩いていると、同級生達が俺を見てヒソヒソと話しているが気にしない。
 と言うか、正直に言って相手が面倒であった。
 声がした方に目を向けると。
「「「っ⁉」」」
 話していた奴らは、俺の視線を浴びるなり、ビクッと身体を震わせて何処かに行った。

 別段、睨んでいないのにこの始末だ。
 その癖、俺に睨まれたとかで担任に苦情を言っていると聞いている。
 面倒なので視線すら向けない様にしていた。
 ったく、面倒な事この上ないな。
 そう思いながら、俺は教室のドアを開けた。
 教室にはクラスメートの殆どが居た。
 そのクラスメート達は仲が良い奴らと話しているのを横目に俺は教室内を見回した。
 ・・・・・・あいつら・・・・は居ないな。
 
 寝坊したのか? まぁ、良いか。
 そう思いながら、俺は自分の席に座る。
 席に座っても、誰にも声を掛けられない。いつもの事なので、気にしなかった。
 制服の胸ポケットに入れている携帯にイヤホンを繋げて、ホームルームが始まるまで時間を潰す事にした。
 イヤホンから流れる歌は、ある有名な声優が歌っている歌だ。
 
 深夜のアニメで別の声優が今流れている歌を歌った時は、結構衝撃を受けた。
 それぐらい気に入っていたし、歌う人が違うと、こうまで違うのだと知る事が出来た歌であった。
 歌を聞きながらホームルームが始まるのを待っていた。


 そうして、時間が過ぎて行くと、クラスメートたちが次々に入って来た。
 やがて、予鈴が鳴りだした。
 今日も遅刻かなと思っていると、教室のドアが開いた。
「せ、セーフっ」
「間に合ったぁ・・・・・・」
 聞き覚えがある声が聞こえて来たので、俺はドアの方に目を向けた。
 其処に居たのは二人の女子であった。
 二人共同じ顔立ちで百六十五ぐらいはありそうであった。
 走って来たのか、少し制服が崩れていた。
 整った可愛らしい顔立ちで、二人共黒い髪を持っていた。
 違うのは、右側に居るのはハーフアップにしており、左側に居るのは右側頭部をサイドテールにしていた。
 大きな目に鳶色の瞳を持っていた。
 胸も夏みかんぐらいの大きさで、腰も細かった。
 だが、二人共、尻だけは大きかった。言うなれば、デカい尻であった。
 どのくらいデカいのかと言うと、メロンか西瓜ぐらいはあるんじゃないかと思えるぐらいだ。

 この二人が似た顔立ちなのは、双子だからだ。
 右側に居るのは姉の伊月亜美で、左側に居るのは伊月由美と言う俺の幼馴染だ。
 家が隣の上に、小中高と同じ学校の上に互いの両親の仲が良いので、自然と子供頃から仲良くさせられた。
 こいつらの家は土木業者なのだが、噂では反社のフロント企業という噂があるが、真実は分からない。
 亜美は息を整えると、亜美が俺を睨みながら近づいて来た。
「~~~~‼」
 大声を上げている様だが、イヤホンの音で何を言っているのか分からなかった。
 このまま無視しようかなと思っていると、イヤホンが無理矢理取られた。
「ちょっと、聞いているのっ」
「ああ。聞いている」
「じゃあ、どうして起こさなかったのよっ!」
 
 亜美がそう言って来たので、溜め息を吐いた。
「いい加減、一人で起きれる様になれよ」
 二人共、低血圧とかで朝が途轍もなく弱いと言っているが、夜遅くまで起きているからだろうが。
 自業自得なので、偶に起こしに行かないでそのまま登校している。
「良いでしょう。別にっ」
「良くないから言ってるんだ」
 
 その内、こいつらの面倒を母親に押し付けられそうであった。
 何時だったか、亜美立を起こしに行った際、母親から。
『二人の内、どっちかを正妻で、もう一人を愛人にしてくれると嬉しいわね~』
 とそう言ってきた事があった。その時は苦笑いして誤魔化した。
 冗談なのか本気なのか分からなかったが、こいつらのどちらかを妻にしたら、苦労しそうな気がして嫌であった。
 本人達はどうも俺の事は体のいい小間使いみたいに思っている節がある。
 
「お姉ちゃん。起きなかったわたし達も悪いんだから、孫くんに当たったら駄目だよ」
 妹の由美が亜美を宥めだした。
「その呼び方、止めろと言っているだろう」
「あっ、ごめん。孫くん」
 注意しても、そう呼んでいた。溜め息が出そうであった。
 何だ、その孫くんって、思いっきり嫌であった。
 ちなみに、亜美は俺の事はイチと呼ぶ。
 孫市って呼べねえのかと思うぜ。まぁ、この名前で呼ばれると、あるゲームに出て来る傭兵を連想するから、好きではないのだけどな。
 
 この名前の由来も、刀工の孫六から取ったと聞いている。
 亜美は言い足りないのか、ガミガミと文句を言ってくるが、俺は聞き流していた。
 由美は亜美を宥めるが、訊く耳を持っていなかった。
「伊月さん。そろそろ本鈴が鳴るから席に座りなさい」
 そう言うのは璃子であった。
「あら、超めんどくさい風紀委員をやっている月山さんじゃない。この時間まご苦労様ね」
 亜美がわざとなのか嫌味たらしい口調でそう言うと、璃子も目を細めた。
「遅刻ギリギリまで寝ている貴方とは違って、わたしは真面目なだけよ」
 暗に不真面目だと言うと、今度は亜美の眉毛が動いた。
 二人は無言で睨み合った。由美は二人を宥めようとして、声を掛けようとしたが、二人の迫力に負けておろおろしていた。
 喧嘩するのは結構だが、別な所でしてくれよと思う。

 やがて、本鈴が鳴りだした。ほぼ同時に教室のドアが開いた。
「席について、ホームルームを始めるわよ」
 そう言って入って来たのは、大人の女性であった。
 年齢は二十代ぐらいで、身長は百七十はありそうだ。
 前に隣に立った時、百七十五はあった俺と五センチぐらい高かった。中ヒールを履いていて、その位の身長差であった。
 それに比例して、足も長くモデルかと言えるぐらいに、細く長かった。
 スリットが入った短い黒いスカートを穿いている所為か余計に長く見えた。
 尻も大きく巨尻と言っても良い。キュッと引き締まった腰。胸も尻に負けない位にデカい。西瓜ぐらいはありそうだ。その身体を包む白いシャツのボタンがはじけ飛びそうであった。正にグラマラスと言っても良い身体であった。
 金髪のロングヘアで、瞳が緑色で吊り上がった目をしていた。
 目鼻立ちのきりっとした美しい顔を持っていた。
 この抜群のプロポーションを持っている女性は俺のクラスの担任で、名前を霧島律子と言う女性だ。
 新任ではなく、この学園に赴任して三年は経っているそうだ。
 担当科目は英語。瞳が緑色なのは、父親が帰化したドイツ人だとかで、その血を引いているそうだ。

 俺の場合はクオーターだが、それでも日本人とは違い目の色が違うだけで色々と言われていただろうなと思い、親近感を持っていた。
 向こうはどう思っているかは知らないが。
「はい。月山も伊月姉妹も席に着きなさい。ホームルームを始めるから」
 霧島先生はそう言って三人に席に座る様に促した。
 由美は大人しく席に座ったが、亜美と璃子だけは互いを睨んだ後、鼻を鳴らして自分の席に着いた。
「じゃあ、ホームルームを始め前に、朝礼をするわね。日直」
「はい」
 霧島先生にそう言われて日直が声を掛けようとしたら。
「何だ?」
「おい。何か足元に模様が浮かんでないか?」
 教室の床が突然、青白く光り出した。
 俺は足元を見ると、何かの幾何学模様が浮かんでいた。
「こいつはいったい」
 言葉を続けようとしたら、その模様の光が強くなって目を開ける事が出来なくなった。
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