転移したら研師になった。  この能力で全てを研ぎ澄ます

正海広竜

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第九話

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 輝いた魔法陣が消えたが、その輝きで目が眩んでしまい、少しの間目を開ける事が出来なかった。
 ようやく、目が開ける事が出来たので、周りを見ると、どうやら、此処は山の様だ。
 しかも、岩肌がむき出しで、木が一本も生えていない岩山であった。
 空を見上げると、夜なのか黒く星すら見えなかった。
 
 あのクソ女神の話しぶりから、何処かに飛ばされる様であったが、何も無い岩山に飛ばされたと見た方が良いな。
 しかし、此処は何処だ?
 この世界に来て、まだ数時間しか経っていない。なので、地図も見ていないので、今、自分が何処に居るのかすら分からない。
 このまま、此処に居れば、餓死してしまうかもしれないな。
 かと言って、此処が何処に居るのか分からないのに、歩き回れば体力を減らすだけであった。

 何かないかと思い見てみると、上に上がる階段を見つけた。
 岩を削って作り上げた階段の様だ。長い間、整備されていない所為か、段には砂埃が積もっており所々にヒビが入っていた。
 足を乗せた瞬間、段が壊れたりしないよなと思いつつ、足を段にそっと乗せた。
 乗せて、直ぐに壊れたりはしなかったが、何度も踏んでみると、何ともない分かった。
 階段が上がった先に、何があるのか気になり、俺は登っていく。

 岩の階段は長い間使われなかっら割りに、思ったよりもしっかりとした造りであった。
 風化した事でヒビが入っているが、足を乗せても壊れるという事は無かった。
 階段を上って行き、周りを見てみた。
 相変わらず黒い空間があるだけだった。
 此処は何処なのか余計に分からなくなったが、とりあえず、他に行く所が無いので俺は階段を上がっていく。
 そうして、階段を上がっていくと、ようやく終着点が見えた。
 最後の段を上がると、其処は少し広い空間があった。
 岩を削っただけの空間の奥に、蓋で閉められた壺があった。
 蓋が取れない為にか、紙みたいなものが貼りつけられていた。
 
「何だ。これは?」
 思わず、そう呟く程変わった物であった。
 もっと近くで見ようと思い近付く。
 それで、壺がどういう物なのか分かった。
 材質は銅の様だな。青っぽい色だから、青銅か?
 蓋と壺に張り付けられている紙は札の様だ、札には何かの文字が刻まれていた。
「ええっと・・・・・・『此処に封ずる。マールス』」
 見た事も無い文字なのだが、異世界に来た事で得られたスキルで読む事が出来た。
 それだけは有り難いなと思った。
「封じているって事は、この壺の中には、何か居るという事か・・・・・・」
 誰が何を封印したが知らないが、この札を剥がせば封印が解かれるという事か。

 どんなモノが封印されているのか気になった事と、このまま此処に居ても餓死するだけなので、封印を解いた事で、此処から抜け出すようにして貰える様に頼もうと思い、札に手を伸ばした。
 バチっという大きな音を立てて、札が俺に触れるのを拒んだ。
「った~、何だ、こりゃあ」
 札にも何かの力で守られている様であった。
 これはどうにも出来ないな。そう思っていたら。

『うん? 何だ、其処に誰か居るのか?』
 何処から声が聞こえて来た。
 誰か居るのかと思い、周りを見たが俺以外の姿は無かった。
 幻聴か?と思ったが、直ぐに違うと分かった。
『貴様、何者だ?』
 驚いた事に、壺から声が聞こえて来た。
「つ、壺から、声がっ・・・・・・」
 驚いて尻餅ついてしまった。

『ふん。誰か知らぬが、貴様、此処で何をしている?』
「お、俺は・・・・・・」
 一瞬女神に飛ばされてきたと言おうとしたが、言っても良い物か?
 この壺に封印されているのが、何なのか分からないので、言っても良いのか分からなくなった。
「・・・・・・俺は笹山孫市。異世界から来た男だ」
『異世界? ふむ、異世界人か』
 壺の中に居る奴が、そう呟くと同時に、壺から炎の様な物が出て来た。
 熱気を感じないので、幻炎という奴だろう。
 その幻炎が徐々に人の姿となった。

 そして、表したのは、美しい顔立ちであった。
 目の位置。鼻の形。口元。どれをとっても完璧としか言えない程に整った顔立ち。
 刃の様に鋭い切れ目を持ち炎の様に赤い瞳を持っていた。
 瞳と同じ赤い髪はウルフカットにしていた。逞しく立派な体格を持っていた。
 実体ではなく幻なのか、身体が揺らめいていた。
『・・・・・・ふむ。本当に異世界人の様だな』
 男の幻は俺をジッと見るなり、そう呟いた。
『むっ、お前はあの堅物が呼んだのかっ。しかし、どうして此処に?』
 堅物って、もしかしてあのクソミネ女神ルヴァの事か?
「ミネルヴァの事は知っているのか?」
『無論だ。我をこの壺に封印したのは、あの堅物女だからなっ。この恨み、いつか必ず晴らしてくれるっ』
 男の幻は忌々しそうに呟いた。
「あの、それで、あんたは?」
『我か? 我こそは、この世界の創造神の血に連なる神の一柱。戦神にして軍神にして武神であるマールスよっ』
 男の幻はそう自分を指差しながら名乗った。
「マールス。ああ、壺の封印している札に書かれていたな」
 という事は、この男も神様なのか?
 これが、俺の師匠というべき存在となるマールスとの最初の出会いであった。
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