転移したら研師になった。  この能力で全てを研ぎ澄ます

正海広竜

文字の大きさ
10 / 31

第十話

しおりを挟む
『ほぅ、あの女神はお前を呼び出したが、お前の天職が使えないものだと言って、何処かに飛ばしたら、此処に来たのか』
 俺は此処に来た経緯を、このマールスという神様に話した。
 すると、マールスは関心深そうな顔をしていた。
『お前、運が良かったな。あの女神が使ったと思われる魔法は何処かに飛ばされるか分からない魔法だぞ。下手したら、魔物の巣や溶岩の中に飛ばされたかも知れなかったのだからな』
 マールスがそう言うのを聞いて、背筋がゾッとした。

 そう訊くと、俺は運が良いな。
「ところで、此処は何処なんだ?」
『此処はマルスパゴス。あの堅物女が我を封印した土地だ。我を奸計に嵌めて、壺に封印しただけに飽き足らず、この地に封印したのだっ』
 壺に封印して、この岩山に封印するとか。手が込みすぎだな。
「其処までする所を見ると、あんた、何かしたのか?」
『・・・・・・いや、ちょっとあいつを馬鹿にして、それに怒って壺に封印したのだ』
 それだけ、壺に封印するとか、どんな事を言ったんだ?
『まぁ、そんな事よりも、お前の事だが。マゴイチとか言ったな。我はマゴイチと呼ばせてもらうぞ』
「ああ、俺はあんたを何て呼べばいい?」
『ふん。そんな決まりきっている事を訊ねてどうする。マールス様に決まっているだろうがっ』
 幻体のマールスは胸を張って答えた。
「はいはい。分かりました。マールス様」
『うむ。素直で宜しい』

 言われた通りに呼ぶと、マールスは喜んでいた。
 この男神。チョロイ感じがする。
 おだてたら、色々な事を教えてくれる気がした。
『それで、マゴイチよ。お主は、これからどうするのだ。此処は封印された土地。此処から出るのも至難。その上、お前はもう元の世界に帰れないのだから、行く宛ても無かろう』
「まぁ、とりあえず、此処を抜け出してから考える・・・・・・今なんて、言った?」
 今、凄い重要な事を言った気がしたので俺は聞き返した。
『うん? 此処から出るのも至難と言っただけだが』
「その後っ、元の世界がどうとか言っていただろうっ」
 嘘であってくれと思いつつ訊ねた。
 だが、現実は無情であった。
『お前達は元の世界に帰れないと言ったのだ。異世界から人を召喚するという事は、世界に穴を開けるという事だからな。出来た穴を塞がなければ、亀裂が生まれて世界が崩壊してしまう。だから、異世界人の召喚は滅多に行われないのだ』
 ・・・・・・あんの、女神っ。本当にクソだなっ。
 そんな大事な事を隠すとかっ。
「じゃあ、その穴を塞いで時間を置けば、俺達は帰る事は出来るのか?」
『亀裂が入らない様に時間を置けば出来るが、その時間は数百年は掛かるぞ。世界は広いようで、脆いからな』
「そんな・・・・・・」
 世界の壁の修復に数百年掛かるとか、どう考えても無理と言えた。
 元の世界に変える事は実質不可能と分かった俺は、その場で膝をついた。
 元の世界ではやりたい事が沢山あったと言うのに。
『・・・・・・まぁ、暫くは此処に居るのだ。これからの事はじっくり考えるのが良かろう。幸い、此処は時が止まった大地。どれだけ、思考に時間を使っても、外の世界では一分も満たぬであろうな』
 そう言ってマールスは壺の中に引っ込んだ。
 ・・・・・・此処から、出たとしても、俺はどうするべきだろうか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

とある中年男性の転生冒険記

うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

処理中です...