転移したら研師になった。  この能力で全てを研ぎ澄ます

正海広竜

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第十六話

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『良いか。この世界の魔法は大まかに分けると、四種類ある』
 マールスは指を四本立ててそう言った。
『一つは紋章魔法。魔石又は魔獣の素材を使った顔料を己の身体に描くのだ。その使った材料の属性の魔法を使う事が出来る。この魔法の良い点は他の三つの魔法と違い、契約しなくて使えるという所だ。欠点は材料に使った素材の出来次第で発動できる魔法の威力が変わるという所だな』
 ふむ。要するに、身体に刺青を使った顔料次第で魔法が使えるという事か。
『師匠。ルーン魔法は紋章魔法に入るのですか?』
 向こうの世界で聞いた事がある魔法はどういう物なのか訊ねてみた。
『あれは、どちらかと言えば紋章魔法に入る。文字を刻む事で発動するからな。まぁ、魔力を込めて刻むから、会得するには難しいがな。まぁ、この大陸の西に行った大陸にある国では主流ではないが、一部ではあるらしい』
 そう言えば、あの女神はこの世界には大陸が幾つかあるとか言っていたな。
 
 機会があれば言ってみるのも良いかもな。もう、元の世界に帰るのは難しい様だしな。
『話を続けるぞ。二つ目は精霊魔法。これはこの世界にいる精霊という存在と契約する事で発動できる魔法だ』
 まぁ、言葉通りだな。
 精霊か。魔法使いだと見えるとかあるのかな。
『この魔法は契約した精霊の種類の分だけ多種多様な魔法を使う事が出来るという良い所がある。欠点は精霊と相性が悪ければ行使できないという所だな』
 成程。使えるのも使えないのも全ては精霊次第なのか。
 
『三つ目。白魔法だ。これは別名信仰魔法とも言う魔法だ。その名の通り、何かを信仰する事で使える魔法だ』
 信仰って事は、神様を信仰するという事だな。
「その信仰魔法って、神様を信仰する事を指すのか?」
 俺の疑問にマールスは違うと手を振る。
『別段、信仰するのは神でなくても構わん。竜を信仰する宗教も居れば、魔物と言われる魔力を持った動物を信仰する宗教もあるからな。魔法の素質がある者が信仰すれば会得する事が出来る。欠点は何らかの原因で教義が逸脱した行いをした場合、使えなくなるというのが欠点だな』
 成程。神様だけを信仰するという訳では無いという事か。そして、教義から外れた行いをしてはいけないと。

『最後は黒魔法だ。こちらは呪術といった相手を呪うか死霊を操る術と考えるが良い。この魔法を契約するには、悪魔と契約しなければならないからな』
「あのさ、この世界の魔族と悪魔の違いを教えてくれるかな」
 今の話を聞いて、悪魔が居る事よりも、魔族と悪魔の違いが分からなくなったので訊ねた。
『簡単に言えば、魔族は人間以外の種族の総称だ。悪魔はその魔族の中の一種だ。実体が無い悪霊みたいなものだ」
「すると、この世界ではエルフもドワーフも精霊も魔族に分類されるという事になるな」
『そうだ。しかし、お主、良くエルフとかドワーフの存在を知っていたな』
 それはあれだ。元の世界で呼んだファンタジー系の漫画によく出て来る種族だからな知っていても可笑しくない。
『この魔法の良い所は、契約した悪魔の力を行使する事が出来るという事だな。契約した悪魔が強力であればあるほど、強い魔法を行使できる。欠点は契約時に交わした約束を守らなければならない。破れば、どんな目に遭うか分からんぞ』
 それを聞いて俺は、黒魔法は習うのは止めようと思った。
『さて、貴様に教えるのは信仰魔法だ。我を信仰すれば使えるのだからな』
 ああ、やっぱりそうですか。
 魔法の説明をしたので、何となくそうなのではと思っていた。
『我の加護を授けよう。受け取れ』
 そう言ってマールスは手を掲げると、俺に光が降り注いだ。

 マールスの加護がスキルに加わりました。
 そんな声が頭の中に響いた。
 俺は『ステータス』と呟いて、自分のステータスがどうなっているのか調べた。
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