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第三十話
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一夜明けて。
目を開けると、見知らぬ天井であった。
まぁ、直ぐに此処はアマゾネスの集落という事を思い出したがな。
「しかし、久しぶりにテントで寝たな。絨毯を一枚敷いているだけで、温かさが全然違うな」
高校に入る前は、一人でキャンプを何度もした事があった。
なので、火の焚き方もやろうと思えばできる。
まぁ、流石に縄文時代みたいに、木を擦り合わせて火種を作る方法は無理だがな。
この世界だと魔法が存在するので、火種の心配がないのは良いよな。
掛けている布団も羽毛なので全然寒さを感じなかった。
中に入っている羽毛は見てないが、グリフォンなのだろうか?
そうだとしたら、かなり贅沢な気分だな。
「おい。朝飯が出来たぞ」
そう言ってイヴァリンは垂れ幕を退けて、顔を覗かせて来た。
「あのさ、入る前に声掛けぐらいはして欲しいんだけど」
此処にはプライバシーが存在しないのかよ。
せめて、礼儀としてそれぐらいしろよ。
「・・・・・・はっ、何でお前にそんな事をしないといけないんだ?」
イヴァリンは侮蔑の表情を浮かべて鼻で笑った。
こいつ、何時か泣かせてやる。
俺はこの時に心にそう決めた。
とりあえず、今は怒りを抑えて朝飯を食べるとするか。
でも、アマゾネスが作る料理だから、多分、何かの魔物の丸焼きだろうな。
もしくは、生の肉の刺身かも知れないな。
パンはどう考えても出ないだろうし、米も同じだろうな。
豆は出るかなと思いながら、テントを出てイヴァリンの後に付いて行く。
朝飯は外で食べるかと思われたが、大きなテントに案内された。
中に入ると、テントの中には多くのアマゾネスがおり、皆座布団に座っていた。
俺が入ってくるのを見るなり、好奇心に満ちた目で見て来た。
その視線の多さと圧力にたじろいでしまった。
「何をしている。入れ」
後ろにいるイヴァリンがそう促してきた。
仕方がなく、俺は中に入り、何処に座るのか分からず首を動かした。
「お前はこっちだ」
イヴァリンがそう言って、俺の服の裾を掴んで引き摺った。
案内された席に座ると、当然なのかイヴァリンも俺の隣の席に座った。
上座に居るおババ様が手を掲げると、給仕役の人達がお盆を持って、一人一人の前に皿を置いて行く。
皿には細長い麺が茶色のタレのような物が掛かっていた。
タレの中には細かくされた物も入っていた。
木で作られたフォークも渡された。
これで、巻いて食べろという事か。しかし、驚いたな。
正直、もっと文明的ではない料理が出てくると思ったが、思ったよりも手が込んでいた。
「では、今日も糧を得られた事に、祖神に感謝を」
おババ様がそう言って黙して祈っていた。
他の者達も同じように祈っていた。
祖神って、あれだよな。マールスだよな。あいつに感謝か。
まぁ、向こうの世界でする「頂きます」みたいな感覚で祈っていれば良いのか。
目を瞑り、マールスに感謝を込める。
そして、おババ様がフォークを手に取り食べだした。
それを機に他の者達も食べ始めた。
俺もフォークを手に取り、この麺を巻きつけて食べた。
「・・・・・・うん。ジャージャー麺みたいな味だな」
茶色のタレの様な物に入っているのは、何かの肉を細かく切った物であった。
どうやら、挽き肉の様だ。
それに、これは甜麺醤みたいに甘辛い味付けだな。
麺もモチモチとしていて、一定の長さで切られた様な形をしていた。
これはあれか、刀削麵みたいな物か。
中々美味いな。
何と言う料理なのか知らないが味わっていると、おババ様が話しかけて来た。
「今日はお主には聖地に向かってもらう。少し遠いが、たっぷり食べておくのじゃぞ」
「その聖地って、此処からどのくらいの距離にあるんだ」
「そうじゃな。ここからであれば、馬の足で数時間ほど北に駆けていた先にあるぞ」
「そうかい。其処に『ジュピテル・ラブラウンデウス』があるのか」
俺の問いかけに、おババ様は頷いた。
「道案内は誰が」
「お主の隣に居るイヴァリンが適任であろう」
おババ様がそう言うので、俺は食事の手を止めて隣に座っているイヴァリンを見る。
ずるずるっと音を立てて豪快に食べて行く。
「・・・・・・お代わりっ」
食べ終わるなり、皿を給仕役の人に渡す。
そして、お代わりが来るのを待ち遠しそうな顔でしていた。
まぁ、道案内ぐらいはできるか。
そう思い、俺も食事を再開した。
目を開けると、見知らぬ天井であった。
まぁ、直ぐに此処はアマゾネスの集落という事を思い出したがな。
「しかし、久しぶりにテントで寝たな。絨毯を一枚敷いているだけで、温かさが全然違うな」
高校に入る前は、一人でキャンプを何度もした事があった。
なので、火の焚き方もやろうと思えばできる。
まぁ、流石に縄文時代みたいに、木を擦り合わせて火種を作る方法は無理だがな。
この世界だと魔法が存在するので、火種の心配がないのは良いよな。
掛けている布団も羽毛なので全然寒さを感じなかった。
中に入っている羽毛は見てないが、グリフォンなのだろうか?
そうだとしたら、かなり贅沢な気分だな。
「おい。朝飯が出来たぞ」
そう言ってイヴァリンは垂れ幕を退けて、顔を覗かせて来た。
「あのさ、入る前に声掛けぐらいはして欲しいんだけど」
此処にはプライバシーが存在しないのかよ。
せめて、礼儀としてそれぐらいしろよ。
「・・・・・・はっ、何でお前にそんな事をしないといけないんだ?」
イヴァリンは侮蔑の表情を浮かべて鼻で笑った。
こいつ、何時か泣かせてやる。
俺はこの時に心にそう決めた。
とりあえず、今は怒りを抑えて朝飯を食べるとするか。
でも、アマゾネスが作る料理だから、多分、何かの魔物の丸焼きだろうな。
もしくは、生の肉の刺身かも知れないな。
パンはどう考えても出ないだろうし、米も同じだろうな。
豆は出るかなと思いながら、テントを出てイヴァリンの後に付いて行く。
朝飯は外で食べるかと思われたが、大きなテントに案内された。
中に入ると、テントの中には多くのアマゾネスがおり、皆座布団に座っていた。
俺が入ってくるのを見るなり、好奇心に満ちた目で見て来た。
その視線の多さと圧力にたじろいでしまった。
「何をしている。入れ」
後ろにいるイヴァリンがそう促してきた。
仕方がなく、俺は中に入り、何処に座るのか分からず首を動かした。
「お前はこっちだ」
イヴァリンがそう言って、俺の服の裾を掴んで引き摺った。
案内された席に座ると、当然なのかイヴァリンも俺の隣の席に座った。
上座に居るおババ様が手を掲げると、給仕役の人達がお盆を持って、一人一人の前に皿を置いて行く。
皿には細長い麺が茶色のタレのような物が掛かっていた。
タレの中には細かくされた物も入っていた。
木で作られたフォークも渡された。
これで、巻いて食べろという事か。しかし、驚いたな。
正直、もっと文明的ではない料理が出てくると思ったが、思ったよりも手が込んでいた。
「では、今日も糧を得られた事に、祖神に感謝を」
おババ様がそう言って黙して祈っていた。
他の者達も同じように祈っていた。
祖神って、あれだよな。マールスだよな。あいつに感謝か。
まぁ、向こうの世界でする「頂きます」みたいな感覚で祈っていれば良いのか。
目を瞑り、マールスに感謝を込める。
そして、おババ様がフォークを手に取り食べだした。
それを機に他の者達も食べ始めた。
俺もフォークを手に取り、この麺を巻きつけて食べた。
「・・・・・・うん。ジャージャー麺みたいな味だな」
茶色のタレの様な物に入っているのは、何かの肉を細かく切った物であった。
どうやら、挽き肉の様だ。
それに、これは甜麺醤みたいに甘辛い味付けだな。
麺もモチモチとしていて、一定の長さで切られた様な形をしていた。
これはあれか、刀削麵みたいな物か。
中々美味いな。
何と言う料理なのか知らないが味わっていると、おババ様が話しかけて来た。
「今日はお主には聖地に向かってもらう。少し遠いが、たっぷり食べておくのじゃぞ」
「その聖地って、此処からどのくらいの距離にあるんだ」
「そうじゃな。ここからであれば、馬の足で数時間ほど北に駆けていた先にあるぞ」
「そうかい。其処に『ジュピテル・ラブラウンデウス』があるのか」
俺の問いかけに、おババ様は頷いた。
「道案内は誰が」
「お主の隣に居るイヴァリンが適任であろう」
おババ様がそう言うので、俺は食事の手を止めて隣に座っているイヴァリンを見る。
ずるずるっと音を立てて豪快に食べて行く。
「・・・・・・お代わりっ」
食べ終わるなり、皿を給仕役の人に渡す。
そして、お代わりが来るのを待ち遠しそうな顔でしていた。
まぁ、道案内ぐらいはできるか。
そう思い、俺も食事を再開した。
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