異世界から来た妾とヘタレ陛下と優しい悪役令嬢

プラントキング

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第二話:かくれんぼ

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 あのかくれんぼ事件から5年後、私はまだ家に帰れてない。
 
 彼はこの国の王子さまだった。連れて帰るって言うのが彼の家だったのは、彼にしてみれば当たり前のことで、当時は泣いてばかりで相当困らせたので今は恨んでない。
当時私は王宮にある彼の宮に住んでいた。妾として。別に彼が幼児愛好家だった訳ではない。

異世界人は珍しい黒目黒髪を持っていると言われている。もちろん全然いないわけじゃない。彼らの子孫がいるから。でもこの国には数人しか存在しない。そして私は本当に異世界から現れた迷い子。

――彼の父である国王はとにかく珍しいものに目がないそうで、保護者のいない私は見つかれば側室にされる可能性があったのです。

そこで彼が私を妾にすると先に宣言したそうです。さすがに息子の妾にまで手は出せませんからね。

私を引き取ってくれた王子の名前はイラス・トリア。そして2年前にこのトリア王国の王様になったのです。

 彼のお父様とお母様とは5年前に紹介されてからの付き合いですが、仲良くやってます。特にお母様は王宮にいるからにはマナーは大事と言ってマナーを1から教えてくれました。お父様も

「本当に黒髪は綺麗だ。それにこのように黒い瞳は見たことがない」

と言って娘のように可愛いがってくれます。2人のことを故郷の両親の代わりだと思ってお母様、お父様と呼ばさせていただいてます。勝手に呼んでるわけではないですよ。おふたりの方から提案されたのです。この夫婦にはイラス様しかお子様がいらっしゃないので、是非呼んで欲しいとお願いされたんです。

 私はこの5年何の不自由もなく暮らしてきたけど、そろそろ身の振り方を考えないといけないようです。イラス様も27歳。王に即位してからずっと結婚の話は出てるのです。
そしてこの秋に1番の王妃有力候補だったノーク侯爵の娘クリスティーナ様がルチアーノ学院を卒業されたので結婚の発表も秒読みと言われてる。

クリスティーナ様は白銀の髪をしたとても美しい女性です。王宮で開かれたパーティーで何回かお見かけしたのですが、イラス様と並ぶととても目を引くカップルです。

 ところで王宮で開くパーティーに妾である私は出席できません。当たり前のことです。今ならわかるのですが、数年前の私にはわからなかったのです。幼いから出れないと思ってたのです。

どうしてもパーティーにでてるイラス様を見たかった私は『かくれんぼ』を使って会場に忍び込んだのです。
そう、『かくれんぼ』が異世界トリップした私に唯一与えられたもの。魔法も少しだけ使えるけど、すごーく使えるわけでもない。異世界から来た人はいろいろこの世界に役立つことをしてるって話だけど、私にはこの『かくれんぼ』しか特別なことはなかった。

『かくれんぼ』は字のごとく隠れることが出来ます。まあ、透明人間になれるって言った方がわかりやすいかな。

『かくれんぼ』の事を知ってるのはイラス様だけ。絶対に誰にも言ってはダメだって怖い顔で言われた。使ってもいけないって言われたけどあの時はどうしても行きたかったから使ってしまった。
一緒にいる時とは全く違うイラス様の姿。使ってはいけないって言われてたのに使ったからばちがあたったんだね。
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