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第八話:侍女マリー

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昨夜は眠れなかったから馬車で寝ようと思ってたのに全然眠れない。これは拷問ですね。油断してると舌を噛みそうです。

ガタガタ、ゴットン

「マホ様…。マホ様。」

目を閉じていると隣から声が聞こえてきます。誰なの?知っている人の声だ。誰だっけ?

「マ、マリー!」

慌てて眼を開けると侍女のマリーがいます。どういうことなんでしょう。

「マホ様、クッションですよ。そのままだと腰を痛めてしまいます」
「どうしてここにいるの?」
「私はマホ様の侍女ですから」

よく見るとマリーは私と同じように粗末な服を着ている。いつから気づいてたんだろう。

「どうてわかったの?」
「わかりますよ。私はマホ様の侍女ですから」
「わ、私帰りませんよ」
「マホ様のお望みのままに。でも私はマホ様の侍女ですから一緒について行きますよ」
「給金出ませんよ」
「たくさん稼いでますから大丈夫です」

ここで騒ぐ訳にはいきませんね。それでなくても目立ってるようだし。馬車に乗ってる人たちの視線を感じます。

「わかったわ。一緒に来てもいいけど絶対にイラス様には居場所を教えないでね」
「わかりました。お約束します。ですがマホ様も私から逃げないでくださいね。もしいなくなったらその時はイラス様に連絡しますよ」

どうして逃げようと思ってたのわかったのかな? こんなに簡単に見つかるようじゃ『かくれんぼ』使った意味がないよ。

「どうやって脱走したのか聞かないの?」

疑問に思ったので聞いてみる。

「いつも、私達にわからないようにいなくなる時があるでしょう? 何か魔法を使ってるって思ったんです。そういう魔法があるのですね?」
「ばれてたんだね。イラス様に言ってはいけないって言われてたの」
「そうね。姿が消せる魔法なんて知られない方がいいと思います」

『かくれんぼ』はやっぱり知られてはいけない魔法なんだね。
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