異世界から来た妾とヘタレ陛下と優しい悪役令嬢

プラントキング

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第三十話:帰還

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勇者様の魔法であっという間に王宮へ帰ってきた。私の部屋は本当に家出してたのかな? って思うほど何も変わってない。家出した時のままだ。てっきり部屋を替わるって言われてたから、元の部屋は物がなくなってるかと思ってた。

「まだ部屋がそのままなのね」

私は部屋を見回しながら呟く。

「マホ様がいないのに移動しませんよ」

ドアからの声に振り向くと侍女のメリーが笑顔で迎えてくれた。

「お帰りなさい、マホ様」
「ただいまです。メリーに会えて嬉しいです」

変わらないメリーの姿に涙が溢れそう。家出して数ヶ月。メリーの笑顔も、私を見る優しい瞳も変わってない。

「マホ様、それは何ですか?」

メリーは私の抱えてる物に首を傾げてる。そうだった。これ結構重いのよね。マリーが持ってくれるって言ったけど、どうしても自分で渡したかった。

「これはスイカです。冷やしておいて下さい。夕食の時に食べましょう」

メリーに渡すと腕が軽くなった。かなり重かった。

「それはマホ様が収穫したんですよ。まだ食べたことはないけど、とても甘いそうです」

勇者様にどうするか聞かれて、スイカができたら王宮に帰ることを伝えた。それからスイカができるまでに色々な体験をした。王宮に戻ったらできないから勇者様に頼んで色々な所に連れて行ってもらった。あのウォータースライダーはすごかった! 是非また行きたい。イラス様はどんな顔をするのかしら。

「陛下は執務中で来られません。夕食を一緒にと言うことです」

イラス様に会うまでに少し時間がもらえるようで、良かったです。久しぶりのイラス様はきっとキラキラしてると思うので心臓に悪いです。

「犯人が解った聞いたけど、本当にクリスティーナ様の侍女だったのですか?」
「はい。ただ、今は突然姿を消したとか。ノーク侯爵家が本当に関与してなかったのかは分かってません。これ以上何かするとは思えませんが、これからも気をつけた方がいいでしょう」

ノーク侯爵といえばクリスティーナ様のお父様。見かけたことはあるけど挨拶さえしたことがない。私なんて相手にしないと思うけどな。

「勇者様は一緒に夕飯食べますか? 」
「ああ、あのヘタレがどうするか見たいから食べていくよ」

ヘタレ?何のことかな? まあ、勇者様がいるなら少しだけ安心だね。これからの事を今度はきちんと話し合わないと前に進めない。イラス様に何をしたいのか言わないとね。
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