エキゾチックアニマル【本編完結】

霧京

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第八十五話【【展示】】前

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 今日この場にいるSランクのDomは王華学校の関係者ばかりだ。むろん、探せばこの国にも王華学校とは関係ないSランクもいるかもしれない。
 しかし、少なくともSランク同士のつながりを持つ、強力な所謂組織めいた人々は王華学校の関係者だけだ。
 その為、これほど多くの高ランクが集まっていたとしても、Sub達は恐怖を感じる必要はない。大きな力を持っていたとしても彼らがSubを悲しませる事などないからだ。

「お仕置きって?」
「最後グレア使うまでわかんなかったSubは一応失敗扱いになるんだよ。だからご主人様にお仕置きしてもらうんだ」
「頑張ったのに?」
「もちろん、頑張ったのはわかってるし、誰も怒ってない。でも、力也もわかるだろ?」

 力也が心配そうに見ているのは、ご主人様捜索でグレアを使って呼ぶまでたどり着くことができなかった数人のSub達だ。彼らは自責の涙を浮かべ、所在なさげな様子で己のご主人様の隣にいる。
 特に一番、最後までどのカーテンの前にも行くことができず、ウロウロと立ち尽くしてしまっていた結衣は体を震わせ、もう立つこともできなくなっている。

「お仕置きしてあげないと可哀想だ」
「うん」

 失敗してしまった彼らは、罰して欲しいと訴えるような表情をしていた。言われたことができなかった彼らは、今自分を責めていた。このままだと、いくらパートナーが怒っていないといってもサブドロップを起こしてしまうかも知れない。

「そんなに心配しなくても酷いことなんか絶対しないし、させないから見守ってあげよう」
「うん」
「では、皆様の前でお仕置きをしたいと思われているご主人様はこちらへ」

 その言葉に、神月は結衣を連れステージへ近づいた。同じく他のDomもSubを連れて近づく。

「では、お仕置き内容をお願いします」
「スパンキング10回」
「道具は使われますか?」
「いえ、手でいきます」

 一人目のDomはそう言うと、己のパートナーの下半身を露出させ椅子に座った膝の上にうつむきに乗せた。

「ごめんなさいだ。できるよね?」
「はい」

 優しく微笑みかけると、カウントと共に、その尻を平手打ちした。
 パン、パンと大きな音が響き、それと同時に謝罪を述べるSubの姿を皆真剣な様子で見つめた。
 嗚咽混じりに叩かれる度に、謝罪を繰り返したSubは最後の一回を打ち終わると、耐えきれず泣き出してしまった。そんなSubをパートナーは優しく褒めると、何度も頭を撫でしっかりと抱きしめた。

「許すよ。お前は十分頑張った。いい子だ」
「お仕置きを頑張った彼に暖かい拍手をお願いします」

 その瞬間いままで静かに見つめていた観客から暖かい拍手が降り注がれた。
まだ泣き止むことができず泣き続けるSubの肩を抱きしめ、ご主人様であるDomがその場を離れると、結衣の番となった。

「結衣、こい」
「はい」

 まともに立つこともできなくなってしまった結衣は、這いずるようにして、神月についてステージに上がる。

「では、お仕置きの内容をお願いします」
「お仕置き内容は公開SEXだ」
「かしこまりました」

 その内容に羞恥心の為かガタガタと震える結衣を、神月は見下ろし、“Strip”脱げと命じた。
 サブドロップ寸前になっているのか震える手で、服を必死に脱いだ結衣を神月は抱えるようにして椅子へ座ると自分の膝へ乗せた。

「結衣、Presentだ。できるな」【晒せ】
「は、はい」

 観客からも見えるように大きく足を広げた結衣に、“Good Boy”と優しくキスをすると、神月はそり立つ自分の性器を取り出し、秘部へあてがった。

「ヒッ!」

 軽い悲鳴を上げる結衣をしっかりと抱きしめながら、一気に中へ突き刺した。ボロボロと涙を流し、呼吸まで乱れている結衣を優しく揺らすと、愛情を込めたグレアで包み込む。
 体は未だ小刻みに震え、前を見るどころか視点さえも落ち着かない様子の結衣を大丈夫だと安心させるように、もう一度唇を塞ぎ呼吸をコントロールする。

「冬真・・・・・・」

 心配そうに見ていた力也も、その憐れな姿に、冬真へと体を寄せた。信用していても、仲間のそんな状態をみるのは辛いのだろう。そんな力也の肩を抱き寄せ、冬真は結衣の様子を真剣に見つめた。

(大丈夫だ。もう少しで多分・・・・・・)

 何度目かのキスと神月の呼びかけで結衣の呼吸と震えは収まってきた。定まっていなかった視点もようやく定まり、涙を流すだけになった。

「結衣、前を向け」
「は、はいっ・・・・・・」
「いま自分が何をされているか言ってみろ」

顎を上げさせられ、改めて観客を見た結衣はこぼれ落ちる涙を止めることもできぬまま、必死に前を向き命令に従おうとする。

「は、はい。わ、私結衣は、傑様がグレアで呼んでくださるまで見つけられ・・・・・・見つけられ・・・・・・ヒックッ・・・・・・なかった罰を・・・・・・ッツ・・・・・・うけて・・・・・・ます・・・・・・」
「泣かなくてもいい。お前は十分頑張った。いいこだ」

 泣きながらでも自分の口でそう言った結衣に、神月は優しく微笑み、耳へと口を寄せた。

「結衣、ごめんなさいは?」
「ごめん・・・・・・なさい、ごめんなさい・・・・・・」
「いいこだ。ちゃんとごめんなさいできたから、これでお仕置きは終わりだ」

 泣いて謝る結衣にもう一度優しくキスをすると、神月は司会に視線を送った。それを見た司会の男性は頷くと、大きめの布を片手に近づくと、今まで観客によく見えるようになっていた接合部分を隠すようにかけた。

「ここからは頑張ったご褒美だ。受け取れ結衣」

神月はそう言うと愛情を込めたグレアを発し、一気に突き動かすスピードを上げ、結衣の中へ白濁を吐き出した。

「お疲れ様でした。お仕置きを頑張った彼に大きな拍手をお願いします」

 強すぎる刺激に気を失ってしまった結衣へ暖かい拍手が注がれた。

「結衣、Good Boy」【よくやった】

 そんな結衣の中から役目を終えたそれを抜き取りしまうと、神月は布で包み抱きしめた。そうして愛情をこめたグレアで包みこみながら、ステージを降りた。

「傑さん」
「結衣を休ませてくる」

 駆け寄った冬真と力也に微笑み返し、大丈夫だからと言うように結衣の顔をみせる。気を失っているものの、結衣は呼吸も震えも既に落ち着いており、表情からも悲壮感は感じられなかった。

「後で、起きれるようだったらまた連れてくる」
「わかりました」

 心配そうに結衣を覗き込む力也に笑みを返すと、冬真へと視線を移した。

「お前達はこの後の、展示も出るんだろう? あれはDomの腕前と信頼関係がものをいうからな。頑張れよ」
「はい」
「改めて力也、優勝おめでとう。多分歴代最速だ」
「ありがとうございます」
「この後も頑張れ」
「はい」

 そう言って神月は大事そうに結衣を抱き上げたまま、会場から一度引き上げた。二人がその場を離れるともう一組、公開お仕置きを希望する二人が壇上に上がった。
 やはり先の二組と同じように自責の念にとらわれ泣いて謝るSubを優しく罰し、沢山褒め、たっぷりと愛を伝えた。
 誰もがSubを責めず、優しく労るその様子はお仕置きと言うより暖かく見守っている状態だった。

(全然嫌な感じしない)

 沢山のDom達の前でお仕置きを受けていたが、恐怖を感じるような嫌な空気などなにもなかった。あんなに自分を責めていたSub達も、誰一人としてサブドロップに落ちることなく、精神の安定を取り戻していた。
 Subから罪の意識を取り除き、代わりに愛情で満たし包み込む、その手腕はさすがと言うしかない。
 しかも、この中の誰もが特別な物とは考えず、当たり前の事として受け止めていた。
 “お仕置きは時に許しであれ”それがいま、まさに力也の目の前で行われていた。

「俺が失敗したら冬真もやっぱり、人前でお仕置きした?」
「うーん、どうだろう。俺はお前が失敗とか考えてなかったからな」
「でも、もしもってのもあるだろ」
「確かに、ないとは限らないよな。俺だってちゃんと無理そうだったら待ってた間に考えたと思うけど、お前凄い早く見つけただろ? しっかり考える暇なんかなかった」

 無論、失敗に備えて候補ぐらいは考えていたが、力也の事を考えれば考えるほど必要ないように思えたのだ。力也は必ず自分を見つけ出す、そんな自信が冬真には常にあった。
 その通り、力也は迷うことなく冬真の元へとたどり着いた。
カーテンが引かれ、お座りした力也がいるのを見たとき、考えていたお仕置き候補などどっかに吹っ飛んでしまった。その姿は愛おしく、ただ、ただ、褒めたくて仕方がなかった。

「俺そんなに早かった?」
「早かった、早かった。やっぱりお前は最高にイケメンだよ。かっこいい、最高!」
「大げさ」

 そう言いながらも沢山褒められ照れくさそうに笑う、力也の首筋へ冬真はそっと口づけた。
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