エキゾチックアニマル【本編完結】

霧京

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第八十五話【【展示】】中

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 冬真と力也が出る展示はこの中でも比較的時間が長めの物だ。他の催しは競技に近い物ばかりだが、展示は展示と言うだけあり鑑賞時間が含まれる。
 展示の間にローター鬼ごっこと、ローション競争などもある事からして、長時間そのままになってしまう。だからこそDomの拘束の腕前と、観察眼、さらにSubとの信頼関係が物を言う。

「じゃあ、力也こっちへ」
「うん」

 時間がかかっても大丈夫なように、トイレを済ませると力也は指定された下着へ着替えた。前と後ろをかろうじて隠すタイプの所謂Tバックの下着を着用し、ポールダンスで使われたポールの傍に立つ。

「キツイかなって思ったらすぐに言えよ? 間違っても耐えようとすんな」
「はい」

 そう言いながらも冬真は手際よく、力也の体に縄を巻き付けていく。台の上や、テーブル、椅子など色々な物を使ってSubを縛り付けていくDom達の中、冬真が選んだのは体力や体制的にもきつい、ポールを使った吊りだった。
 椅子や机や台などは体を支える部分が広く、Subの体への負担も少ない、だからこそ体力や体を心配するDom達はその方法をとることが多い。
しかし、それではどうしても隠れて見えない部分が出てしまう。せっかく整った体格をしている力也相手にそれではもったいない。
無論吊りでも、床に接する面が広ければ負担は少なくなるのだが、冬真はそれを選ばず、両手を頭上で交差し固定し、片足を折り曲げ腰の高さまで上げるという方法を選んだ。

「どうだ?」
「大丈夫」
「ちょっとでも違和感感じてきたらすぐに合図しろ、外すから。もう欲しい物は貰ったんだから無理する必要ないだろ」

 少しでも油断すれば、限界を超え不調が出ても耐えてしまいそうな力也に何度も念を押す。

「でも、これ結構いい商品券貰えるよな」
「力也。ご主人様のいうことは?」
「絶対」
「よし」

 案の定、耐えようとしていたらしい様子にため息をつき、縄の位置を調整する。この展示はご主人様であるDomがSubの横に立ち、ずっと付き添うため他の内容とは違い、異変があればすぐに対処ができる。しかし、力也の場合自ら抑えこみ外に出ない場合がある。

(コイツの場合絶対油断できないからな)

 何度も強さと位置を確認し、整った体格が映えるように固定すると、最後にもう一度確認する。

「気になるとこはあるか?」
「うーん、あえて言うなら股のとこと尻、凄い食い込むんだけど」
「そこはわざと」
「だと思った」

 下着の上から膨らむ部分をあえて強調するように挟み込むように縄を通し、秘部の部分には結び目を作ることで食い込み刺激されている。
 
「他は?」
「他は大丈夫、平気」

 そこを緩めてくれる気はないらしいと、諦め他の部分で気になるところを探るが特にはなかった。いや、その場所が気になってしまいわからないのもあるが、今のところ問題はない。

「これもリタイヤしたらお仕置き?」
「さっきみたいのはないから安心しろ」

 もう一つ気になったことを尋ねれば、はっきりしない返事を返された。わざわざそれをだしたということはそれ以外の物があるのかもしれない。
それでも我慢し続けた場合の罰の方が辛いことを知っている力也は、リタイヤの末のお仕置きを選んだ方がいいと思った。

(無理すると冬真悲しがるし)

 そう思っている力也は知らない、お仕置きと言うのがSubに対する物ではなくDomに対する物なのだとは。我慢できなかったSubではなく、Subが合図するまで限界を見極められなかったDomが責められるのが展示の特徴だ。

「よし、じゃああとはこれとこれな」
「アイマスクとボールギャグ?」
「そう、因みにボールギャグはいつでも外していいけど、アイマスクはダメ」
「じゃあ、残りの二つ俺、みれないじゃん」
「見るつもりだったのかよ」
「一応」

 それほど興味があったわけではないが、今後冬真が参加させる可能性を考えてどんなものか見ておこうと思ったのだがそれは無理らしい。

「そんな余裕どうせなくなるから、諦めろ」

 拘束された状態で見ようとしていた力也に若干呆れつつ、そう返すとその視界をアイマスクで目をボールギャグで口を塞いだ。そうしていつものように力也の手にセーフワード代わりの鈴を握らせる。

「いつも通り、無理だと思ったらすぐにこれを落とせ。違和感感じたり、喉渇いたら、このまま俺の名前を呼べばいい、調整するから」

 
 真っ暗になってしまった視界の中、力也は耳を澄ませる。開始の合図は先ほど聞こえ、今はいくつかの視線を感じているだけだった。

「触っても?」
「どうぞ」

知らない男性の声に冬真が答えるのが聞こえ、次の瞬間足を上げていた縄が引かれた。

「んっ」

更に足が上がった所為で、その衝撃で股を通る縄が締まり、力也は短い声をあげた。ボールギャグの隙間から漏れた涎が頬を伝うのがわかる。

「うん、丁度いいキツさのようだ」
「ありがとうございます」
「彼の体も素晴らしい、引き締まった体とはりのある肌に赤い縄がよく似合っている。まるで血管のようだ」
「よかったな、力也褒められたぞ」

 知らないDomからの視線と会話に体が自然と緊張するが、冬真の声と共に、いつものように頭を撫でられるそれだけで安心する。

(怖くない)

 どちらかと言えば苦手だと自分でも自覚している。不特定多数からの逃れようのない状況だが、すぐ傍にある冬真の気配と声、それにいつも通りの感触で恐怖を感じることはない。

(ちょっと恥ずかしいけど、それだけ)

 先ほどから次々に人が来ては、縄を引いたり肌の傷口を労るように撫でたり、肌を撫でたりしているが、怖くはない。むしろ快感さえ感じる。

「ふっ・・・・・・」
「いいこだ。沢山頑張っているね」
「力也はいつも頑張り屋さんなんです」

 褒められる度に肯定する冬真は誇らしそうに、まるで宝物を自慢するかのようだ。
 そうしているうちに、残りの催しが始まったらしく、周りが騒がしくなってきた。力也の傍にいた人達も、そちらの方へ行ったらしく、冬真の気配しか感じなくなる。

「力也、水飲むか?」

 その声と共にボールギャグを外され、力也は深呼吸するように大きく息を吸った。

「飲む」

 そう答えればすぐに口が冬真の口に寄って塞がれ、水が流し込まれた。その水はただの水の筈なのに、凄くおいしく感じた。

「うまい、もっと」
「これ以上飲んだらトイレ行きたくなるから我慢」
「チェッ。じゃあ代わりに口の周り拭いて」

 確かにその通りだったため、それ以上強請ることもできずに、諦め代わりに涎が垂れていたところを拭いて貰う。

「いまなにやってる?」
「いまはローション競争」
「ぬるぬる?」
「ぬるぬる」

 ちょっと面白そうな内容に、見学できなくて残念と思っているとCollar店の店長とそのパートナーの声が聞こえた。

「触ってもいい?」
「はい、どうぞ」
「ありがとう、力也君この体勢は辛くない?」

 口が自由になっているからか、直接尋ねられ力也は頷いた。

「辛くないです」
「そう、とても美しい体ね。よく鍛えられていて、貴方らしさがある」
「・・・・・・あっ・・・・・・」

 そう言いながら、彼女は力也の体に張り巡らされた縄を指先でたどっていく。
 下着に沿わされた縄にまで手を触れられ、力也はピクリと震えた。

「ふふっ、本当に美しいわね。どう貴女もやってみたくなった?」

 彼女は自分のパートナーにそう尋ねた。尋ねられたパートナーは、真っ赤な顔をしながらも肯定も否定もできずに、力也の体を見つめていた。

「きっと彼女にも似合うと思いますよ」
「あら、ありがとう。じゃあ、しつれいするわね。力也君触らせてくれてありがとう、頑張ってね」

 そう優しく声をかけると彼女はパートナーを連れ、その場を離れた。やっと手を離してくれたと思えば、また誰かが来た。気配を探る必要もないぐらいに

「冬真、ボールギャグ返して」
「はいはい」

 このままでは一々尋ねられ、遊ばれる可能性があるとわかった力也にそう言われてしまい、冬真は苦笑しながらボールギャグを装着し直した。

(熱い)

 ほとんど裸に近いのに、体が熱い。体中から湧き出た、汗が流れ落ちるのを感じる。
 薄着のSubが多いので、会場は薄着でも快適な温度に保たれていたが、徐々に強くなる熱気に少しだけ温度を下げていた。それでも、力也は熱いと感じていた。
 喉が渇いてくると冬真が水を飲ませてくれるが、それでも足りないと思える。なんなら冷たい水をかけて欲しい。

(絶対ベタベタしてるのに)

 汗をかき肌などベタつき、縄も濡れているだろうに、見に来たDomたちは必ずと言っていいほど縄や肌に触れる。その度に縄で縛られたところや、敏感な部分が更に熱を持つ。

「冬真・・・・・・」
「おかわり?」
「水ぶっかけて」

 ボールギャグを外し、口移しで水を飲ませた冬真は、その予想外の願いに一瞬思考が固まった。水のおかわりならわかるが、水をかけろというのはどういうことだろうか。

「熱くてぼーっとするから頭から水ぶっかけて」

 詳しく説明してくれたことで、力也の望みは理解できたが、だからといってやれる訳がない。この状況のSubに水をかけるなど、前代未聞だろう。他の参加者からどんな目でみられるかわからない。
 力也が熱いのは、体中が性的に刺激され熱くなっているからだろう。それではあまり意味もない。

「・・・・・・却下」
「えー」

 扇ぐならいいが、いくら力也の望みでも水をかけたくない。しかし、部屋の温度も上がっている気がするので、近くにいるスタッフに頼んで、濡らしたタオルをもって来て貰った。

「これで我慢しろ」
「あ、気持ちいい」

 汗を拭かれ嬉しそうな力也に、苦笑しつつ、同じく借りた団扇で風をおくった。
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