【R18】政略結婚した夫が、妃の私に求めるのは世継ぎを産むことだけ……のはずだった。あれ? なんだか夫の様子がおかしいのですが?

すめらぎかなめ

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第3章

第8話【※】

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 初夜のときのような義務的な言葉じゃない。ただ、強い気持ちがあふれたような声。

 そのせいで、アンジーの胸が歓喜に震える。自分の結婚相手がイライアスでよかったと、心から思った。

「変な顔、していないでしょうか?」

 目を伏せて問う。イライアスは首を横に振った。

「いや、俺は、可愛いと思う」

 思うよりずっと真剣に返されて、つい笑ってしまいそうになる。

 だが、余裕はイライアスの手のひらが内ももに触れたときに、霧散した。

 指先でツーっと肌を撫でられるだけで、ぞくぞくしたものがこみあげてくる。

 声を漏らすまいと唇を噛むが、決意はあっけなく崩れ落ちていく。

「ぁっ」

 指先が秘所に触れて、アンジーの身体がぶるりと震えた。

 イライアスの指が蜜口に触れると、奥から蜜がさらにあふれてきた。

 ただでさえ、ぐしょぐしょになっていたはずなのに――。

「ここまで濡れていたら、大丈夫だろう。痛くないはずだ」

 深い意味はないはずだが、遠回しに「淫らだ」と指摘された気になってしまった。

「慣らすために指を挿れるからな」

 言葉にうなずくと、蜜壺に指が一本挿入されたのがわかった。

 軽く内側をこすったあと、指が増やされる。二本の指が内側を刺激してくると、腰が震えた。

「違和感はあるか?」

 視線を合わせて問いかけられると、羞恥心がぶわっと身体を包み込んだ。

 彼は平常なのに、自分はこんなにも感じて、乱れて……。

(イライアスさまは全然脱いでないのに、私だけこんな、こんな格好――!)

 恥ずかしくてたまらないはずなのに、どうしてだろう。身体がもっと熱くなる。

「アンジー?」

 名前を呼ばれて、はっとする。慌てて首を横に振った。

「違和感がないのならいい。……あぁ、でも。そろそろ一度気持ちよくなったほうがいいかもしれない」
「は、え?」

 快楽で惚けた頭では、イライアスの言葉をすぐに理解できなかった。

 だから、不意打ちで花芯に触れられて、身体が大きく跳ねる。

「一緒に弄るから、イきたいのなら好きなときにイケばいい」
「え――ぁ、ひゃっ」

 何度か瞬きをしている間に、イライアスの指の動きが大胆になる。

 内側と外側から強引に快楽を送り込まれていく。強すぎる快楽から逃れたくて、自然と身をよじる。

 しかし、イライアスが寝台に押さえつけてくるから、快楽を受け入れることしかできない。

 逃げることは許されず、無理やり快楽を身体に教え込まれる。アンジーが感じるのはここなのだと、刻み付けられているみたいだった。

「やっ、だめ、もうだめっ! くる、きもちいの、きちゃ」
「それに身をゆだねたらいい。経験したのだから、怖くないはずだ」

 彼の言葉は間違いないけど――怖いものは怖い。経験したからと言って、絶対に大丈夫とは言えない。

「むりっ、こわい。こわい……こわいっ」

 むしろ、この先にある感覚を知っているから、余計に怖いのかもしれない。

 知る前には戻れなくなる――と、わかっているから。

「怖くなる必要が、どうしてあるんだ。ただ気持ちよくなるだけだろう」
「ちがっ、だって、戻れなくなる……」

 たぶん、アンジーはイライアスから離れられなくなってしまう。彼に執着してしまう。それが怖かった。

「あなたさまに嵌ってしまう。戻れなく、なる」

 自分たちは政略結婚なのだから、執着や恋慕が迷惑なことくらい想像できる。

 彼はアンジー以外に妃を迎えるつもりはないというが、それもいつまでもつだろうか。

(義務的に抱いてくださったほうが、ずっとよかった。これは子供を作るためでしかないと――わからせてほしかった)

 初夜のときはあれだけ言葉を求めておいて、なんて勝手なのだろう。

 自分の矛盾する心に、あきれてしまう。身勝手で、自己中心的で。

 ――だからこそ、イライアスに執着してしまいそうになる。

(抱かれただけで執着するなんて、私って単純)

 浮かんだ笑みは、自分に対する当てつけだったのかもしれない。

 閨での言葉を本気にしようとしている自分が、滑稽に思えて仕方がなかった。
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