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第1章 女騎士から聖女にジョブチェンジ!?
巡った運命 2
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そのまま騎士団の本部、建物の中にある応接間に向かう。
応接間の前に立つと、不意にアッシュがセレーナを止めた。
「先に俺が入ってきます。俺が呼んでから、来てください」
「は、はい」
アッシュの言葉にセレーナはこくんと首を縦に振る。
その後、アッシュは扉をノックして応接間の中に入っていく。それとほぼ同時に、室内から数人の声が聞こえてきた。どうやら、応接間の中にいるのはほとんどが男性のようだ。
(……アッシュ隊長は王国の重鎮とおっしゃっていたけれど……そんな人が、私に一体どういう用事?)
少なくともセレーナには用事がない。もしかしたら、この間の事件のことを聞かれるのかも――と思ったが、一人の女性が襲われたくらいで重鎮は動かないはずである。
そう思ってセレーナが思案していると、扉が開いてアッシュが顔を出す。
「セレーナ嬢」
彼が手招きをしたので、セレーナはもう一度首をこくんと縦に振って応接間に足を踏み入れる。
室内にいたのは、男性が三人。それから――中年くらいの年齢に見える女性が一人。
男性のほうは完全に見知らぬ顔であるものの、女性の顔はセレーナも知っていた。……ただ一方的に、だが。
「あなたが、セレーナ・ビーズリーさんね」
女性がそう問いかけてくる。なので、セレーナは上ずるような声で「は、はい」と返事をした。その返事を聞いて、女性は「初めまして」とにこやかな笑みを浮かべて挨拶をしてくれる。が、セレーナからすれば緊張のあまり挨拶の言葉が出てこない。
「……セレーナ嬢」
耳元でアッシュに名前を呼ばれて、ようやくハッとする。
「は、はじめ、まして……」
緊張のあまり、また上ずった声になっているのは自覚している。だって、まさか――。
(大聖女さまが、こんなところにいらっしゃるなんて……!)
聖女の衣装に身を包んだ女性に見惚れながら、セレーナは手のひらをぎゅっと握りしめる。
この女性の名前はクラリス・ピトル。このリネル王国で『大聖女』という立場を持っており、王妃の次に権威を持つ女性。
セレーナも対面するのは初めてだが、何度も何度も彼女を描いた肖像画を見たことがある。……まさに、肖像画そのものの人物だ。
「私は、クラリス・ピトル。この度、セレーナさんにお話がありまして、こちらにやってきました」
軽く会釈をしたクラリスが、そう告げてくる。
しかし、セレーナからすれば寝耳に水状態である。もう、彼女がなにを言っているのかさえ理解できない。
「え、えぇっと……」
「緊張しなくても、大丈夫よ」
可愛らしくころころと笑いながら、クラリスがそう告げてくる。それはセレーナの緊張を解こうとしてのものだったのだろう。けれど、セレーナからすれば余計にがちがちになってしまう要因だった。
「クラリス様。こちらとしても、もうあまり時間がありませんので……」
不意にクラリスの隣に腰掛けていた神官らしき男性がそう声を上げる。
そうすれば、クラリスは「あら、そうなのね」とわざとらしく声を上げていた。
「では、セレーナさん。そちらに腰掛けてくださらない?」
「あ、は、はい……」
クラリスに促された通り、セレーナはソファーに腰掛ける。それを見たクラリスは、セレーナに向かって手をかざした。
「……やっぱり、間違いないわ」
クラリスが、こくんと首を縦に振って真剣な声音でそう言う。……意味が、わからない。
「あ、あの……」
彼女が一体なにをしているのかがわからず、セレーナはぎこちない笑みを浮かべてそう声をかける。
すると、クラリスは「おめでとう、セレーナさん」とにっこりと笑って祝福の言葉を述べてきた。
「……え?」
なにがおめでとうなのだろうか。
そう思い混乱するセレーナを他所に、クラリスは「あなたは、今年の聖女に選ばれたわ」と教えてくれる。
……今年の、聖女。
(え、えぇええっ!?)
だから、セレーナは心の中で大絶叫だった。
「……本当、ですか?」
まるでセレーナの心の中を読んだかのように、アッシュがクラリスに確認する。
そのためだろう。クラリスは「えぇ、私の力がそう告げているわ」と言いながら笑っていた。
「というわけよ、セレーナさん。あなたは今年の聖女として、お務めを果たしてもらうわ」
そう言われても、全く頭がついていかない。
「ちょ、ま、待ってください……!」
慌ててセレーナは手を横に振りながらそう告げた。
でも、そんなことはお構いなしとばかりにクラリスの隣に控えていた神官が口を開く。
「これは、決定事項です」
冷たくも聞こえる声音で、神官はそう言い切った。……それを聞くと、セレーナもアッシュもなにも言えない。
「こら、ルベーグ神官。とりあえず、自己紹介をなさい」
「はい。私は神官のルベーグと申します。以後、セレーナさんのお付きの神官となります」
……いやいやいや、話について行けないんですけれど!?
頬を引きつらせながら、セレーナはそう思う。助けを求めるようにアッシュに視線を向けるものの、彼は唖然としているようだ。
「ということよ、セレーナさん。二週間後にお屋敷のほうに迎えに行きますので、準備をしておいてください」
「……え、えぇっと」
「いいですね?」
ルベーグ神官にすごまれ、セレーナはこくんと首を縦に振ることしか出来なかった。
応接間の前に立つと、不意にアッシュがセレーナを止めた。
「先に俺が入ってきます。俺が呼んでから、来てください」
「は、はい」
アッシュの言葉にセレーナはこくんと首を縦に振る。
その後、アッシュは扉をノックして応接間の中に入っていく。それとほぼ同時に、室内から数人の声が聞こえてきた。どうやら、応接間の中にいるのはほとんどが男性のようだ。
(……アッシュ隊長は王国の重鎮とおっしゃっていたけれど……そんな人が、私に一体どういう用事?)
少なくともセレーナには用事がない。もしかしたら、この間の事件のことを聞かれるのかも――と思ったが、一人の女性が襲われたくらいで重鎮は動かないはずである。
そう思ってセレーナが思案していると、扉が開いてアッシュが顔を出す。
「セレーナ嬢」
彼が手招きをしたので、セレーナはもう一度首をこくんと縦に振って応接間に足を踏み入れる。
室内にいたのは、男性が三人。それから――中年くらいの年齢に見える女性が一人。
男性のほうは完全に見知らぬ顔であるものの、女性の顔はセレーナも知っていた。……ただ一方的に、だが。
「あなたが、セレーナ・ビーズリーさんね」
女性がそう問いかけてくる。なので、セレーナは上ずるような声で「は、はい」と返事をした。その返事を聞いて、女性は「初めまして」とにこやかな笑みを浮かべて挨拶をしてくれる。が、セレーナからすれば緊張のあまり挨拶の言葉が出てこない。
「……セレーナ嬢」
耳元でアッシュに名前を呼ばれて、ようやくハッとする。
「は、はじめ、まして……」
緊張のあまり、また上ずった声になっているのは自覚している。だって、まさか――。
(大聖女さまが、こんなところにいらっしゃるなんて……!)
聖女の衣装に身を包んだ女性に見惚れながら、セレーナは手のひらをぎゅっと握りしめる。
この女性の名前はクラリス・ピトル。このリネル王国で『大聖女』という立場を持っており、王妃の次に権威を持つ女性。
セレーナも対面するのは初めてだが、何度も何度も彼女を描いた肖像画を見たことがある。……まさに、肖像画そのものの人物だ。
「私は、クラリス・ピトル。この度、セレーナさんにお話がありまして、こちらにやってきました」
軽く会釈をしたクラリスが、そう告げてくる。
しかし、セレーナからすれば寝耳に水状態である。もう、彼女がなにを言っているのかさえ理解できない。
「え、えぇっと……」
「緊張しなくても、大丈夫よ」
可愛らしくころころと笑いながら、クラリスがそう告げてくる。それはセレーナの緊張を解こうとしてのものだったのだろう。けれど、セレーナからすれば余計にがちがちになってしまう要因だった。
「クラリス様。こちらとしても、もうあまり時間がありませんので……」
不意にクラリスの隣に腰掛けていた神官らしき男性がそう声を上げる。
そうすれば、クラリスは「あら、そうなのね」とわざとらしく声を上げていた。
「では、セレーナさん。そちらに腰掛けてくださらない?」
「あ、は、はい……」
クラリスに促された通り、セレーナはソファーに腰掛ける。それを見たクラリスは、セレーナに向かって手をかざした。
「……やっぱり、間違いないわ」
クラリスが、こくんと首を縦に振って真剣な声音でそう言う。……意味が、わからない。
「あ、あの……」
彼女が一体なにをしているのかがわからず、セレーナはぎこちない笑みを浮かべてそう声をかける。
すると、クラリスは「おめでとう、セレーナさん」とにっこりと笑って祝福の言葉を述べてきた。
「……え?」
なにがおめでとうなのだろうか。
そう思い混乱するセレーナを他所に、クラリスは「あなたは、今年の聖女に選ばれたわ」と教えてくれる。
……今年の、聖女。
(え、えぇええっ!?)
だから、セレーナは心の中で大絶叫だった。
「……本当、ですか?」
まるでセレーナの心の中を読んだかのように、アッシュがクラリスに確認する。
そのためだろう。クラリスは「えぇ、私の力がそう告げているわ」と言いながら笑っていた。
「というわけよ、セレーナさん。あなたは今年の聖女として、お務めを果たしてもらうわ」
そう言われても、全く頭がついていかない。
「ちょ、ま、待ってください……!」
慌ててセレーナは手を横に振りながらそう告げた。
でも、そんなことはお構いなしとばかりにクラリスの隣に控えていた神官が口を開く。
「これは、決定事項です」
冷たくも聞こえる声音で、神官はそう言い切った。……それを聞くと、セレーナもアッシュもなにも言えない。
「こら、ルベーグ神官。とりあえず、自己紹介をなさい」
「はい。私は神官のルベーグと申します。以後、セレーナさんのお付きの神官となります」
……いやいやいや、話について行けないんですけれど!?
頬を引きつらせながら、セレーナはそう思う。助けを求めるようにアッシュに視線を向けるものの、彼は唖然としているようだ。
「ということよ、セレーナさん。二週間後にお屋敷のほうに迎えに行きますので、準備をしておいてください」
「……え、えぇっと」
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ルベーグ神官にすごまれ、セレーナはこくんと首を縦に振ることしか出来なかった。
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