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本編
10.【※】
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カチャカチャというベルトを外す音と、衣擦れの音。その音が何処となく遠く感じられて、朱夏がゆっくりと閉じていた目を開ければ、視界に入ったのは――巽の熱杭だった。それはそそり立っており、これでもかというほど興奮しているのが朱夏にもよく分かった。
(あ、あんなの、挿るの……?)
しかし、朱夏はそこを心配してしまう。多分だが、巽のモノは平均よりも大きいだろう。元々たくましい身体つきをしているので、ある程度の大きさは覚悟していた。けれど、さすがにそれは想像の範疇を超えている。
そんな風に思い腰を引いてしまう朱夏に対し、巽はベッドの近くにある棚を漁る。
何をしているのだろうか? そう思いきょとんとする朱夏を他所に、巽は何かを取り出す。それがゴムだとわかったのはそれから数秒後だった。
「……あ、あの、巽、くん……?」
「どうしました?」
「わ、私のほかに……女の子、抱いたことあるの……?」
巽は女性慣れしていない。が、ゴムを持っているということはそういうことをした可能性があるということだ。朱夏がそんな嫌な想像をしていると、彼は「そんなわけ、ないですよ」と答える。
「これはあいつが……ほら、幼馴染が酔ってふざけて置いて行ったんですよ」
だが、どうやら朱夏の想像はあくまでも想像だったらしい。それにほっと一息をついていれば、朱夏の蜜口に熱いモノが押し付けられる。それはとても硬く、尚且つ大きい。その所為で恐ろしさが勝ってしまい、朱夏が腰を引けば巽は「……いいですか?」ともう一度問いかけてくる。……もう、覚悟を決めるしかない。
「い、いい、よ」
小さな声でそう返事をすれば、ゆっくりと朱夏の蜜口に熱杭が挿ってくる。
入念に慣らされているとはいえ、処女の蜜壺など大層狭い。そのため、朱夏は顔を歪めてしまう。
痛い、苦しい。そう言おうとするのに、巽の顔を見てしまうとその言葉は何処かに飛んで行ってしまう。彼のその何かを我慢するような表情が、どうしようもなく好きだったためだ。
「ぁ、あっ」
「朱夏、さん。……苦しい、ですよね」
そう言われ、朱夏はためらったのち頷く。が、我慢するしかないのだ。そう思う朱夏を他所に、巽は朱夏の腕をつかむと、自身の背に回させた。その瞬間、朱夏の目が大きく見開かれる。
「その……しがみついていて、ください」
遠慮気味にそう言われる。それはきっと、彼なりの気遣いだった。それがわかるからこそ、朱夏は腕に力を込め、巽にしがみつくような体勢を取る。
そうしていれば、巽が熱杭を押し進めるのを止める。それに驚いていれば、巽は「……すみません」と謝った後、一気に腰を押し進めてきた。その所為で、朱夏の身体には形容しがたい痛みが襲ってくる。
「――っつ⁉」
身体を引き裂かれるような痛みに思わず涙がこぼれる。身体中が痛くて、苦しくて。肩を揺らして呼吸を整えようとするものの、呼吸は浅いまま。その胸を揺らして浅い呼吸を繰り返していれば、朱夏の目元を伝う涙を巽が拭ってくれていた。
「……痛かった、ですよね」
彼が眉を下げてそう言ってくる。だからこそ、朱夏は「……うん」と素直に返事をする。しかし、
「でも、嬉しい、の。……こうやって、気遣ってくれるの」
そう言って朱夏が巽の背に回した腕に力を込めれば、彼の身体が一瞬だけ震えた。
「……そ、その」
「……うん」
「あんまり、そういうの、されたら……」
巽がそう言って顔を真っ赤にする。多分だが、彼としては相当我慢しているのだろう。それに気が付き、朱夏は笑う。
「……いいよ、動いて」
「で、ですが」
「いいの。……もう、大丈夫だから」
実際、処女を散らされてすぐよりは痛みがマシになっている。そういう意味を込めてそう言えば、巽が「……わかりました」と言ってゆっくりと腰を動かし始める。
その動きはゆるゆるとしたものであり、朱夏の身体を労わってくれているのだろう。それがよく分かるからこそ、朱夏は巽の好きにしてくれたらいいのにと思ってしまう。
(さっきまで、私ばっかり気持ちよくしてもらってたから……)
そう言ったところで、巽は朱夏の身体を労わるのだろう。それがわかるからこそ、朱夏はただ身体を揺らされ続けた。
しかし、その動きは徐々に余裕のないモノに変わり、朱夏も快感を感じ始めてしまう。快楽とまでは言わない。ただ、どうしようもない愉悦が身体の中に生まれてくる。その所為で息を荒くしていれば、巽がゴム越しに欲を放ったのが朱夏にも分かった。……どうやら、彼も達したらしい。
「……あや、か、さん」
「……どうしたの?」
彼は朱夏の蜜壺から自身のモノを引き抜きながら朱夏の名前を呼ぶ。それに疑問符を浮かべていれば、彼は「……ずっと、あこがれていたんです」とボソッと言葉を告げてくる。
「……ずっとずっとあこがれていました。……こんな時に何なんですけれど、俺と付き合ってくれますか?」
……どうして、彼はこんな時に言うのだろうか。
一瞬だけそう思ったものの、朱夏は重苦しい身体を起こし、巽の胸に抱き着く。その瞬間、彼の身体がぶるりと震えたのがよく分かった。
「わ、私も、付き合いたい……」
その胸に頬を寄せながらそう返事をすれば、彼は「……よかった」と言葉を呟く。
「お、俺、その、めちゃくちゃ重いですけれど……」
遠慮がちにそう言われるものの、朱夏は怯まない。それどころか、朱夏は「私もすごく重いから!」とやはりというべきか張り合ってしまう。
「すごく好きなの。だから……一緒に、いてね」
「……はい」
朱夏の言葉に巽がうなずく。そして、どちらともなく不器用に唇を重ねた。
(あ、あんなの、挿るの……?)
しかし、朱夏はそこを心配してしまう。多分だが、巽のモノは平均よりも大きいだろう。元々たくましい身体つきをしているので、ある程度の大きさは覚悟していた。けれど、さすがにそれは想像の範疇を超えている。
そんな風に思い腰を引いてしまう朱夏に対し、巽はベッドの近くにある棚を漁る。
何をしているのだろうか? そう思いきょとんとする朱夏を他所に、巽は何かを取り出す。それがゴムだとわかったのはそれから数秒後だった。
「……あ、あの、巽、くん……?」
「どうしました?」
「わ、私のほかに……女の子、抱いたことあるの……?」
巽は女性慣れしていない。が、ゴムを持っているということはそういうことをした可能性があるということだ。朱夏がそんな嫌な想像をしていると、彼は「そんなわけ、ないですよ」と答える。
「これはあいつが……ほら、幼馴染が酔ってふざけて置いて行ったんですよ」
だが、どうやら朱夏の想像はあくまでも想像だったらしい。それにほっと一息をついていれば、朱夏の蜜口に熱いモノが押し付けられる。それはとても硬く、尚且つ大きい。その所為で恐ろしさが勝ってしまい、朱夏が腰を引けば巽は「……いいですか?」ともう一度問いかけてくる。……もう、覚悟を決めるしかない。
「い、いい、よ」
小さな声でそう返事をすれば、ゆっくりと朱夏の蜜口に熱杭が挿ってくる。
入念に慣らされているとはいえ、処女の蜜壺など大層狭い。そのため、朱夏は顔を歪めてしまう。
痛い、苦しい。そう言おうとするのに、巽の顔を見てしまうとその言葉は何処かに飛んで行ってしまう。彼のその何かを我慢するような表情が、どうしようもなく好きだったためだ。
「ぁ、あっ」
「朱夏、さん。……苦しい、ですよね」
そう言われ、朱夏はためらったのち頷く。が、我慢するしかないのだ。そう思う朱夏を他所に、巽は朱夏の腕をつかむと、自身の背に回させた。その瞬間、朱夏の目が大きく見開かれる。
「その……しがみついていて、ください」
遠慮気味にそう言われる。それはきっと、彼なりの気遣いだった。それがわかるからこそ、朱夏は腕に力を込め、巽にしがみつくような体勢を取る。
そうしていれば、巽が熱杭を押し進めるのを止める。それに驚いていれば、巽は「……すみません」と謝った後、一気に腰を押し進めてきた。その所為で、朱夏の身体には形容しがたい痛みが襲ってくる。
「――っつ⁉」
身体を引き裂かれるような痛みに思わず涙がこぼれる。身体中が痛くて、苦しくて。肩を揺らして呼吸を整えようとするものの、呼吸は浅いまま。その胸を揺らして浅い呼吸を繰り返していれば、朱夏の目元を伝う涙を巽が拭ってくれていた。
「……痛かった、ですよね」
彼が眉を下げてそう言ってくる。だからこそ、朱夏は「……うん」と素直に返事をする。しかし、
「でも、嬉しい、の。……こうやって、気遣ってくれるの」
そう言って朱夏が巽の背に回した腕に力を込めれば、彼の身体が一瞬だけ震えた。
「……そ、その」
「……うん」
「あんまり、そういうの、されたら……」
巽がそう言って顔を真っ赤にする。多分だが、彼としては相当我慢しているのだろう。それに気が付き、朱夏は笑う。
「……いいよ、動いて」
「で、ですが」
「いいの。……もう、大丈夫だから」
実際、処女を散らされてすぐよりは痛みがマシになっている。そういう意味を込めてそう言えば、巽が「……わかりました」と言ってゆっくりと腰を動かし始める。
その動きはゆるゆるとしたものであり、朱夏の身体を労わってくれているのだろう。それがよく分かるからこそ、朱夏は巽の好きにしてくれたらいいのにと思ってしまう。
(さっきまで、私ばっかり気持ちよくしてもらってたから……)
そう言ったところで、巽は朱夏の身体を労わるのだろう。それがわかるからこそ、朱夏はただ身体を揺らされ続けた。
しかし、その動きは徐々に余裕のないモノに変わり、朱夏も快感を感じ始めてしまう。快楽とまでは言わない。ただ、どうしようもない愉悦が身体の中に生まれてくる。その所為で息を荒くしていれば、巽がゴム越しに欲を放ったのが朱夏にも分かった。……どうやら、彼も達したらしい。
「……あや、か、さん」
「……どうしたの?」
彼は朱夏の蜜壺から自身のモノを引き抜きながら朱夏の名前を呼ぶ。それに疑問符を浮かべていれば、彼は「……ずっと、あこがれていたんです」とボソッと言葉を告げてくる。
「……ずっとずっとあこがれていました。……こんな時に何なんですけれど、俺と付き合ってくれますか?」
……どうして、彼はこんな時に言うのだろうか。
一瞬だけそう思ったものの、朱夏は重苦しい身体を起こし、巽の胸に抱き着く。その瞬間、彼の身体がぶるりと震えたのがよく分かった。
「わ、私も、付き合いたい……」
その胸に頬を寄せながらそう返事をすれば、彼は「……よかった」と言葉を呟く。
「お、俺、その、めちゃくちゃ重いですけれど……」
遠慮がちにそう言われるものの、朱夏は怯まない。それどころか、朱夏は「私もすごく重いから!」とやはりというべきか張り合ってしまう。
「すごく好きなの。だから……一緒に、いてね」
「……はい」
朱夏の言葉に巽がうなずく。そして、どちらともなく不器用に唇を重ねた。
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