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27話
しおりを挟むチヨは自室に戻ったが、未だに頭の中はぐるぐると回っていた。
帰るかどうかの選択に加え、もうひとつ悩みが増えてしまったのだ。
恋愛など卒業どころか殿堂入りの気分である。
...経験ではなく、年齢的に。
そもそも男性なんて夫しか知らないチヨだ。
ルーカスのような綺麗な外国人の見た目はハードルが高すぎるとかいう次元ではない。
「.........」
腕を組み、しかめ面で考えこむチヨをエマとモニカはそっとハーブティーを出し。
ふわりと鼻腔をくすぐる香りに気付き、表情を緩めた。
「...ありがとう」
チヨがお礼を言うとエマは微笑んだ。
それにつられてチヨも笑顔になる。
そこでようやくルーカスに貰った小箱の存在を思い出した。
それくらいそのあとの出来事が衝撃的だったのだ。
「あ、そういえば...これ、頂いたの」
そう言って蓋を開けてみせれば2人から感嘆の声が漏れる。
「すごい...素敵ですね!!」
「本当に。宝箱のようですね」
「ええ、本当にそうなの。飾っておきたいんだけど...」
「そうですね...では折角ですからテーブルの上はいかがでしょうか」
チヨは同意し、テーブルの上に蓋やリボンなどと一緒に設置する。
これがあるだけで随分違って見えるものだ。
「...ルーカス様からですよね?」
モニカが問いかける。
「ええ、そうよ」
「ルーカス様はチヨ様のこと、よくご覧になっているんですね」
「そう、かしら」
「白いお花ってさすがです!ぴったりです!でもこういうのって、その人のことをきちんと見ていないと分からないものだと思うんです。だから...」
よく見ているのかなあって。
そう言ってモニカは少し笑った。
最近、モニカは砕けた口調で接してくれることも多くなってきていた。
そのたびにエマは注意しているようだったが、チヨは問題ないし、なんなら友達感覚で楽しい部分もあった。
こういうところもこの世界から離れがたい要素の一つなのだ。
心細かったチヨは、最近の生活が楽しい。
本当は街も歩いてみたい。異世界とはどんな街並みなのだろうか。
旅もしてみたい。どんな景色が広がっているのだろうか。
また物思いに耽るチヨを見たエマとモニカは静かに退室していった。
———————
翌日。
今度は王に呼び出されていた。
向かうは前回と同じ応接室だ。
「お待たせしました」
入室すると相変わらず、くつろぐ姿がある。
「いや、突然すまない」
「いいえ、特に何かあるわけではないので」
「...街に行ってみたくはないかと思ってな」
「え!!」
まさに昨日考えていたところだ。
チヨは即答した。
「行きたいです!!」
「そうか、よし。では行けるようにしておこう。しかし必ず護衛は連れていくように」
「分かりました!」
街に行けることが嬉しく、浮かれていると王が静かに口を開いた。
「それと、もうひとつ」
「? なんですか?」
「先日、ソンツァル神とあった件についてだがな...私に何か隠していることはないか?」
思わずごくりと喉を鳴らしてしまう。
まさかここで聞かれるなんて...そう思いながらも平静を装って答えた。
「...ありません」
「ふむ、そうか。...まあ、いつでも相談には乗るからな」
「は、い」
その後少しの間、世間話をして王は帰っていった。
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