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番外編
番外2 素直な尻尾と、秘密の性感帯
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休日の昼下がりの賑やかな食堂のテーブルの上には、様々な料理が並べられている。
小魚のオイル漬けをトマトと一緒にバゲットの上に乗せている料理の皿に、小さな白い毛に覆われた手が伸びる。オコジョのポロの手だ。
「人間って尻尾がないから何考えてるのかわかんなくね?」
ポロはもちゃもちゃと咀嚼しながら、向かいに座るリゲルに問いかける。
今は冬毛で真っ白な彼はこの街のトール・ボールチームの選手の一匹であり、リゲルのチームメイトだ。
「そうかな?」
リゲルは首を傾げた。
ポロに言われて気付いたが、人間であるラナの感情が他の獣人や獣に比べて、分からないと思ったことはない。
尻尾など見なくても、狼の血の混じるリゲルには彼女の発する匂いだけで、自然と体調や感情がわかる。
そもそも尻尾のある者に対しても尻尾で感情を見るということを意識していなかったかもしれない。
そう言うとポロは「まじか」と意外そうな顔をした。
「だってお前とか他のイヌ科の奴等は、めちゃくちゃ感情が尻尾に出るだろ」
「イヌ科の知り合いあんまりいないからなぁ」
リゲル以外のチームメイトたちはイヌ科ではない者が殆どで、あまり尻尾で感情表現をしない。
それに加えてリゲルはその身長の高さから目線も当然高く、低い位置にある他人の尻尾は視界に入らないことが多い。
しかし言われてみると、リゲルの両親も狼の姿の時は尻尾に感情が出ていたかもしれない。視覚で視認する前に嗅覚による理解が強かったため、意識して注目したことがなかったのだが。
「逆に言うとそんなにオレ、尻尾に感情出てる?」
「ああ」
特にラナと一緒に居る時は――ポロにそう言われ、リゲルは目を丸くして驚いた。
*
食事の後にポロや街の人たちと腹ごなしにトール・ボールをして、家に帰るとラナが夕食を作っていた。
こうして一緒に住む様になってから、リゲルは仕事を昼のものに変えた。――と言っても、職場は相変わらず監督の酒場で、昼間は食堂として営業を始めたのを手伝っているのだが。
ラナと生活リズムが一緒になり、一緒に居られる時間が増えて嬉しい。
食事の後、リゲルはベッドに脚を投げ出して座って本を読んでいるラナの脚の上に寝そべった。ベッドからその長い足がはみ出ているが気にしない。
「ラナはいつもオレの尻尾見てる?」
「どうしたの突然」
「なんだか気になって」
ラナは何故突然リゲルがそんなことを聞くのか首を傾げながらも、「見てるよ」と素直に答えた。
「え」
聞いておいてなんだが、リゲルはラナにも見られていたのは意外だった。
「だって今もほら、表情豊かに揺れてる」
リゲルが振り向くと、自らの尻尾はパタパタとごきげんに左右に揺れていた。
「うわ、揺れてる!」
「もしかして無意識?」
てっきり自分で動かしているのだと思っていたラナは、自分のことなのに驚くリゲルにくすくすと笑った。
「意識的に動かしてる時と、今みたいに勝手に動いてる時がある……」
無意識にあんなにもパタパタと尻尾を揺らしていたなんて、狼男として少しプライドが傷付く。リゲルにとって狼とは、常に格好良くいなければならないという矜持があった。
「へえ~、面白いね」
人間には体の外側に勝手に動く部位はない。
無意識に尻尾が動いているとは、どういう感覚なのだろうと、ラナは不思議に思う。
「耳も細かくよく動いてて、いつも可愛いなぁって見てるよ」
「人間の耳は動かせねーの?」
「無理だなぁ」
リゲルが耳を伏せたり向きを変えたりする。
「ああ、可愛い♡ 可愛いお耳♡」
ラナはここぞとばかりに手を伸ばしてリゲルのピンと立ったもふもふの耳を撫で、根本をマッサージするように揉んだ。
そうすると、リゲルが気持ちよさそうに目を閉じるのが可愛くてたまらない。
リゲルはやはり可愛いと言われるのは心外だったが、こうして耳を差し出せばラナが自分に夢中になる。彼女にこうして構ってもらうために、よく触らせた。
「ねぇリゲル、尻尾も触って良い?」
「……いいよ」
本当は尻尾を他人に触られるのは好きではなかったが、愛しいラナの頼みだ。断りたくない。それに彼女に尻尾を触れてもらったらどんな感じになるのか自分でも試してみたかった。
リゲルは起き上がって背中を向けてラナの隣に座った。
「ふさふさ、ふかふかだ~♡」
ラナは恐る恐る尻尾に触れ、その豊かな毛を撫でた。毛の中に手を潜り込ませると尻尾の本体がある。手の中でビクビクと動かしているのが直に伝わってくる。
「いいなぁ、尻尾とか耳。可愛くて」
「そうか?」
獣人にとってはあるのが当たり前過ぎて、可愛いやら羨ましいという感覚にピンと来ない。
「でもラナなら狼女やイヌの獣人でも可愛いだろうな」
「私はネコ科がいいなぁ。可愛いし」
「え」
番の関係だと言うのに、ラナが同じイヌ科を希望してくれないことに、リゲルはショックを覚える。ラナならなんの動物でも可愛いとは思うが――。
「ラナがイヌ科なら子供もすぐできそうなのに……」
リゲルは拗ねたようにポロッと本音が漏れてしまった。
それを見てラナは言う。
「子供が欲しい気持ちも分かるけど、妊娠したらその期間の十ヶ月は交尾出来ないし、子育てが始まったら、たぶん子供が一人立ちするまで殆ど出来ないと思うけどいいの?」
ラナとしてはリゲルがそれでいいならいいが、もう少し二人だけの期間を過ごしたい気持ちもあった。
「人間って十ヶ月も妊娠すんの?」
「逆にどのくらいで産めると思ってたの?」
思ったより知識のないリゲルにラナは驚いた。
「ルーが狼は大体ニヶ月って……」
「二ヶ月なんて無理だから! そんなに早く人の子供が生まれるわけないでしょ!」
「そっか……。じゃあまだ出来なくていいや」
子供は欲しいが、ラナといちゃいちゃ出来なくなるのは困る。
そう思うとこれまで焦っていた気持ちが一気に影を潜めていった。リゲルは振り向いてラナの肩に顔を埋める。まだ、二人きりの生活もいい。
「子供は授かりものなんだから、気長に待ちましょう?」
「そうだ――なっ!?」
ラナの手が尻尾の付け根に触れ、そこを爪でカリカリと引っ掻く。感じたことのない感覚が昇ってきて、リゲルは驚いて声を上げてしまった。
「あっ、ごめん。ここ嫌だった?」
「なんか、変な感じがした……」
「ルーくんたちは尻尾の付け根を撫でられるの好きなんだけど」
「あっ! んうっ!」
ラナがまた爪で尻尾の付け根をカリカリと優しく引っ掻く。またそこから電流のように刺激が背骨を通って上がってきて、リゲルは声を我慢できない。
「ラナ……っ!」
「どうする? 触るのやめる?」
そう言いつつ、ラナはカリカリするのをやめない。リゲルが気持ちよさそうにしているのが面白いのだ。
リゲルは尻尾の付け根を刺激されると勝手に腰が跳ねることを初めて知った。
体中の毛が逆立ち、背中がゾワゾワする。
――気持ちがいい。しかも性的に。ラナと性器で繋がっている時ともまた違った感覚だったが、確かに性的な快楽が昇ってきて、リゲルの脳を蕩けさせる。
声が出るのも、四つ脚のイヌや狼のようにそこを撫でられて悦がるのも恥ずかしいのに、気持ちが良すぎてやめてと言えない。
「ん、くぅ……んんっ……、はぁ、ラナ……っ」
「リゲルもここ気持ちいいのね。ほら、前も元気になってる」
指摘されて下を見ると、性器が膨らんでズボンの下で窮屈そうにしていた。
ラナの手がズボンの上からペニスを掴む。彼女のしなやかな手に撫られると、射精したくて堪らなくなってしまう。
リゲルはラナの手にズボン越しのペニスを押し付けるように腰を揺らす。
「待って、服が汚れちゃうから脱いじゃおっか」
ラナがリゲルの首筋に顔を埋めて甘い声で囁く。
彼女の白い手がズボンの前を寛げ、下着からリゲルのペニスを取り出す。リゲルはズボンと下着を脱ぎ捨てると、飛び出した欲望は既に血管を浮かび上がらせて硬くなり、先走りを滲ませていた。
「おちんちんも苦しそう……。触った方がいい?」
ラナがツ……と指先でペニスを下から先端に向けてたどると、ビクビクと跳ねるように上下した。リゲルは衝動的にラナの手を取り、自らのペニスを握らせた。そして手を添えたまま上下に扱かせる。
「ラナ……っ、もっと強く握って……っ」
「こう?」
ラナは握る力を強め、先走りでぬるぬるになっているペニスを扱く。リゲルの体液はラナの手の動きに合わせてにちゅにちゅと卑猥な音を立てた。
「尻尾の方も強く……っ! ぐぅ、……っあ、はぁっ、ふ……っ!」
尻尾の付け根をカリカリされながらペニスを扱かれ、二つの刺激にリゲルは目をぎゅっと瞑って背を仰け反らせた。格好悪い姿なんて見せたくないのに、気持ち良すぎて腰もヘコヘコと勝手に動くのが止められない。
「んぁ、は……あう……っ、出そう……っ!」
「いいよ。いっぱい出して」
ラナはリゲルのペニスの脈動を感じながら、幾度も根本から絞り上げるように手を動かす。
リゲルはそんなラナの手の動きに促されるまま精を吐き出した。ビュルビュルと大量に迸る、長い射精だった。ラナの服に白濁した体液が飛び散る。
「いっぱい出たね♡」
ラナは服に飛び散った分と、手の平に付いた精液を見た。そのまま手の平に付いたものをペロリと舐めると、独特の匂いがあったが、リゲルの体液だと思うと抵抗なく口に含めた。
その様子にリゲルはまたすぐに自らの欲望が硬く頭をもたげるのを感じた。甘い声に、子種を舐めるラナが挑発的過ぎてクラクラする。
リゲルは肩で息をしながら、ラナの隣に倒れ込むように横たわる。少し放心したようにぼんやりと天井を見つめた。すぐにでも抱き潰したいが、少し頭を冷やさないとラナに無理をさせてしまいそうだったからだ。
尻尾の付け根への刺激と、彼女の手淫がこんなに気持ちいいとは知らなかった。だが、こんな姿を見せるのはどうなのだ。愛する番の前では、どんな時も格好良く威厳を保っていたいのだ。
「……ラナ、もう尻尾の付け根触るの禁止な」
リゲルは手をタオルで拭いているラナに聞こえるように呟く。
「えーっ!? 嫌だった!?」
「そうじゃないけど……」
リゲルは気まずそうに目線を泳がせる。
むしろ普通に交尾した時より、気持ちが良かったかもしれない。――だから困るのだ。これでは狼男の面子が立たない。
ラナはリゲルを気持ちよくさせられて嬉しかったのに、そう言われて肩を落とす。
でもそれが不服なリゲルの気持ちもわかり、微笑う。そんな意地っ張りなところも可愛い。
「尻尾で気持ちよくなりたかったらいつでも言ってね――わっ」
ラナは身を乗り出し、リゲルの額に口付けると腰に腕を回され、上に乗りあげさせられる。
「ラナの好きなところも教えてくれよ」
細く柔らかなラナの喉元に唇を寄せながら、リゲルが言う。狼の姿ならひと噛みでどうにかしてしまえそうな、か弱い首だ。この首が彼女の頭と胴体を繋ぎ、生かしていると思うと、愛おしくてどうにかなりそうだ。
リゲルはラナの柔らかな首を甘く食んだ。
「ええ~? 私はそういうの無いかも」
「じゃあ探さねえとな」
「――っ、くすぐったいよぉ」
リゲルに服の下を大きな手で体をまさぐられ、ラナはくすぐったさに身を捩る。
きゃあきゃあと愛らしい声を上げてくすぐったさから逃げようとしているラナに触れながら、リゲルは彼女に覆い被さる。
熱い視線でリゲルを見上げるラナは番であり、極上の獲物だ。彼女を身体全部で食べ尽くし、骨の髄までとろけさせてこそいっぱしの狼だ。
やはり狼はこうでなくてはと、リゲルの尻尾は楽し気に揺れていた。
小魚のオイル漬けをトマトと一緒にバゲットの上に乗せている料理の皿に、小さな白い毛に覆われた手が伸びる。オコジョのポロの手だ。
「人間って尻尾がないから何考えてるのかわかんなくね?」
ポロはもちゃもちゃと咀嚼しながら、向かいに座るリゲルに問いかける。
今は冬毛で真っ白な彼はこの街のトール・ボールチームの選手の一匹であり、リゲルのチームメイトだ。
「そうかな?」
リゲルは首を傾げた。
ポロに言われて気付いたが、人間であるラナの感情が他の獣人や獣に比べて、分からないと思ったことはない。
尻尾など見なくても、狼の血の混じるリゲルには彼女の発する匂いだけで、自然と体調や感情がわかる。
そもそも尻尾のある者に対しても尻尾で感情を見るということを意識していなかったかもしれない。
そう言うとポロは「まじか」と意外そうな顔をした。
「だってお前とか他のイヌ科の奴等は、めちゃくちゃ感情が尻尾に出るだろ」
「イヌ科の知り合いあんまりいないからなぁ」
リゲル以外のチームメイトたちはイヌ科ではない者が殆どで、あまり尻尾で感情表現をしない。
それに加えてリゲルはその身長の高さから目線も当然高く、低い位置にある他人の尻尾は視界に入らないことが多い。
しかし言われてみると、リゲルの両親も狼の姿の時は尻尾に感情が出ていたかもしれない。視覚で視認する前に嗅覚による理解が強かったため、意識して注目したことがなかったのだが。
「逆に言うとそんなにオレ、尻尾に感情出てる?」
「ああ」
特にラナと一緒に居る時は――ポロにそう言われ、リゲルは目を丸くして驚いた。
*
食事の後にポロや街の人たちと腹ごなしにトール・ボールをして、家に帰るとラナが夕食を作っていた。
こうして一緒に住む様になってから、リゲルは仕事を昼のものに変えた。――と言っても、職場は相変わらず監督の酒場で、昼間は食堂として営業を始めたのを手伝っているのだが。
ラナと生活リズムが一緒になり、一緒に居られる時間が増えて嬉しい。
食事の後、リゲルはベッドに脚を投げ出して座って本を読んでいるラナの脚の上に寝そべった。ベッドからその長い足がはみ出ているが気にしない。
「ラナはいつもオレの尻尾見てる?」
「どうしたの突然」
「なんだか気になって」
ラナは何故突然リゲルがそんなことを聞くのか首を傾げながらも、「見てるよ」と素直に答えた。
「え」
聞いておいてなんだが、リゲルはラナにも見られていたのは意外だった。
「だって今もほら、表情豊かに揺れてる」
リゲルが振り向くと、自らの尻尾はパタパタとごきげんに左右に揺れていた。
「うわ、揺れてる!」
「もしかして無意識?」
てっきり自分で動かしているのだと思っていたラナは、自分のことなのに驚くリゲルにくすくすと笑った。
「意識的に動かしてる時と、今みたいに勝手に動いてる時がある……」
無意識にあんなにもパタパタと尻尾を揺らしていたなんて、狼男として少しプライドが傷付く。リゲルにとって狼とは、常に格好良くいなければならないという矜持があった。
「へえ~、面白いね」
人間には体の外側に勝手に動く部位はない。
無意識に尻尾が動いているとは、どういう感覚なのだろうと、ラナは不思議に思う。
「耳も細かくよく動いてて、いつも可愛いなぁって見てるよ」
「人間の耳は動かせねーの?」
「無理だなぁ」
リゲルが耳を伏せたり向きを変えたりする。
「ああ、可愛い♡ 可愛いお耳♡」
ラナはここぞとばかりに手を伸ばしてリゲルのピンと立ったもふもふの耳を撫で、根本をマッサージするように揉んだ。
そうすると、リゲルが気持ちよさそうに目を閉じるのが可愛くてたまらない。
リゲルはやはり可愛いと言われるのは心外だったが、こうして耳を差し出せばラナが自分に夢中になる。彼女にこうして構ってもらうために、よく触らせた。
「ねぇリゲル、尻尾も触って良い?」
「……いいよ」
本当は尻尾を他人に触られるのは好きではなかったが、愛しいラナの頼みだ。断りたくない。それに彼女に尻尾を触れてもらったらどんな感じになるのか自分でも試してみたかった。
リゲルは起き上がって背中を向けてラナの隣に座った。
「ふさふさ、ふかふかだ~♡」
ラナは恐る恐る尻尾に触れ、その豊かな毛を撫でた。毛の中に手を潜り込ませると尻尾の本体がある。手の中でビクビクと動かしているのが直に伝わってくる。
「いいなぁ、尻尾とか耳。可愛くて」
「そうか?」
獣人にとってはあるのが当たり前過ぎて、可愛いやら羨ましいという感覚にピンと来ない。
「でもラナなら狼女やイヌの獣人でも可愛いだろうな」
「私はネコ科がいいなぁ。可愛いし」
「え」
番の関係だと言うのに、ラナが同じイヌ科を希望してくれないことに、リゲルはショックを覚える。ラナならなんの動物でも可愛いとは思うが――。
「ラナがイヌ科なら子供もすぐできそうなのに……」
リゲルは拗ねたようにポロッと本音が漏れてしまった。
それを見てラナは言う。
「子供が欲しい気持ちも分かるけど、妊娠したらその期間の十ヶ月は交尾出来ないし、子育てが始まったら、たぶん子供が一人立ちするまで殆ど出来ないと思うけどいいの?」
ラナとしてはリゲルがそれでいいならいいが、もう少し二人だけの期間を過ごしたい気持ちもあった。
「人間って十ヶ月も妊娠すんの?」
「逆にどのくらいで産めると思ってたの?」
思ったより知識のないリゲルにラナは驚いた。
「ルーが狼は大体ニヶ月って……」
「二ヶ月なんて無理だから! そんなに早く人の子供が生まれるわけないでしょ!」
「そっか……。じゃあまだ出来なくていいや」
子供は欲しいが、ラナといちゃいちゃ出来なくなるのは困る。
そう思うとこれまで焦っていた気持ちが一気に影を潜めていった。リゲルは振り向いてラナの肩に顔を埋める。まだ、二人きりの生活もいい。
「子供は授かりものなんだから、気長に待ちましょう?」
「そうだ――なっ!?」
ラナの手が尻尾の付け根に触れ、そこを爪でカリカリと引っ掻く。感じたことのない感覚が昇ってきて、リゲルは驚いて声を上げてしまった。
「あっ、ごめん。ここ嫌だった?」
「なんか、変な感じがした……」
「ルーくんたちは尻尾の付け根を撫でられるの好きなんだけど」
「あっ! んうっ!」
ラナがまた爪で尻尾の付け根をカリカリと優しく引っ掻く。またそこから電流のように刺激が背骨を通って上がってきて、リゲルは声を我慢できない。
「ラナ……っ!」
「どうする? 触るのやめる?」
そう言いつつ、ラナはカリカリするのをやめない。リゲルが気持ちよさそうにしているのが面白いのだ。
リゲルは尻尾の付け根を刺激されると勝手に腰が跳ねることを初めて知った。
体中の毛が逆立ち、背中がゾワゾワする。
――気持ちがいい。しかも性的に。ラナと性器で繋がっている時ともまた違った感覚だったが、確かに性的な快楽が昇ってきて、リゲルの脳を蕩けさせる。
声が出るのも、四つ脚のイヌや狼のようにそこを撫でられて悦がるのも恥ずかしいのに、気持ちが良すぎてやめてと言えない。
「ん、くぅ……んんっ……、はぁ、ラナ……っ」
「リゲルもここ気持ちいいのね。ほら、前も元気になってる」
指摘されて下を見ると、性器が膨らんでズボンの下で窮屈そうにしていた。
ラナの手がズボンの上からペニスを掴む。彼女のしなやかな手に撫られると、射精したくて堪らなくなってしまう。
リゲルはラナの手にズボン越しのペニスを押し付けるように腰を揺らす。
「待って、服が汚れちゃうから脱いじゃおっか」
ラナがリゲルの首筋に顔を埋めて甘い声で囁く。
彼女の白い手がズボンの前を寛げ、下着からリゲルのペニスを取り出す。リゲルはズボンと下着を脱ぎ捨てると、飛び出した欲望は既に血管を浮かび上がらせて硬くなり、先走りを滲ませていた。
「おちんちんも苦しそう……。触った方がいい?」
ラナがツ……と指先でペニスを下から先端に向けてたどると、ビクビクと跳ねるように上下した。リゲルは衝動的にラナの手を取り、自らのペニスを握らせた。そして手を添えたまま上下に扱かせる。
「ラナ……っ、もっと強く握って……っ」
「こう?」
ラナは握る力を強め、先走りでぬるぬるになっているペニスを扱く。リゲルの体液はラナの手の動きに合わせてにちゅにちゅと卑猥な音を立てた。
「尻尾の方も強く……っ! ぐぅ、……っあ、はぁっ、ふ……っ!」
尻尾の付け根をカリカリされながらペニスを扱かれ、二つの刺激にリゲルは目をぎゅっと瞑って背を仰け反らせた。格好悪い姿なんて見せたくないのに、気持ち良すぎて腰もヘコヘコと勝手に動くのが止められない。
「んぁ、は……あう……っ、出そう……っ!」
「いいよ。いっぱい出して」
ラナはリゲルのペニスの脈動を感じながら、幾度も根本から絞り上げるように手を動かす。
リゲルはそんなラナの手の動きに促されるまま精を吐き出した。ビュルビュルと大量に迸る、長い射精だった。ラナの服に白濁した体液が飛び散る。
「いっぱい出たね♡」
ラナは服に飛び散った分と、手の平に付いた精液を見た。そのまま手の平に付いたものをペロリと舐めると、独特の匂いがあったが、リゲルの体液だと思うと抵抗なく口に含めた。
その様子にリゲルはまたすぐに自らの欲望が硬く頭をもたげるのを感じた。甘い声に、子種を舐めるラナが挑発的過ぎてクラクラする。
リゲルは肩で息をしながら、ラナの隣に倒れ込むように横たわる。少し放心したようにぼんやりと天井を見つめた。すぐにでも抱き潰したいが、少し頭を冷やさないとラナに無理をさせてしまいそうだったからだ。
尻尾の付け根への刺激と、彼女の手淫がこんなに気持ちいいとは知らなかった。だが、こんな姿を見せるのはどうなのだ。愛する番の前では、どんな時も格好良く威厳を保っていたいのだ。
「……ラナ、もう尻尾の付け根触るの禁止な」
リゲルは手をタオルで拭いているラナに聞こえるように呟く。
「えーっ!? 嫌だった!?」
「そうじゃないけど……」
リゲルは気まずそうに目線を泳がせる。
むしろ普通に交尾した時より、気持ちが良かったかもしれない。――だから困るのだ。これでは狼男の面子が立たない。
ラナはリゲルを気持ちよくさせられて嬉しかったのに、そう言われて肩を落とす。
でもそれが不服なリゲルの気持ちもわかり、微笑う。そんな意地っ張りなところも可愛い。
「尻尾で気持ちよくなりたかったらいつでも言ってね――わっ」
ラナは身を乗り出し、リゲルの額に口付けると腰に腕を回され、上に乗りあげさせられる。
「ラナの好きなところも教えてくれよ」
細く柔らかなラナの喉元に唇を寄せながら、リゲルが言う。狼の姿ならひと噛みでどうにかしてしまえそうな、か弱い首だ。この首が彼女の頭と胴体を繋ぎ、生かしていると思うと、愛おしくてどうにかなりそうだ。
リゲルはラナの柔らかな首を甘く食んだ。
「ええ~? 私はそういうの無いかも」
「じゃあ探さねえとな」
「――っ、くすぐったいよぉ」
リゲルに服の下を大きな手で体をまさぐられ、ラナはくすぐったさに身を捩る。
きゃあきゃあと愛らしい声を上げてくすぐったさから逃げようとしているラナに触れながら、リゲルは彼女に覆い被さる。
熱い視線でリゲルを見上げるラナは番であり、極上の獲物だ。彼女を身体全部で食べ尽くし、骨の髄までとろけさせてこそいっぱしの狼だ。
やはり狼はこうでなくてはと、リゲルの尻尾は楽し気に揺れていた。
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