次男は村を出る

恩陀ドラック

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一日目 夜

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 あれからピウニは集会所で村の代表数人と夜まで話し合いをし、酒席に招かれ親睦を深めた。フォーダーと共に帰宅したのは夜の九時過ぎ。村ではぼちぼち寝る時間だ。ダルネはもう寝ている。トゥーエは一人で起きて待っていた。


「おう、トゥーエ、準備はしておいただろうな」

「したよ」


 いちいちうるさい父親に腹が立って、トゥーエはぷいとそっぽを向いた。彼はこれからピウニに抱かれる。ピウニが望んで、またフォーダーが勝手に安請け合いをしたのだ。


「トゥーエ君」


 優しく呼び掛けられてトゥーエははっとした。ピウニの穏やかな声で話されるとどうにも弱い。全面降伏したくなる。


「俺……僕、嫌なわけじゃないんです!  ただ初めてだから心配で……もし上手くできなくてピウニさんにがっかりされたら……」


 昔ダルネが入れようとしたけどうまくいかなかった。ピウニを喜ばせたいから余計に不安だった。いつも元気なトゥーエだけど、ピウニの前では引っ込み思案になってしまう。


「失敗したときのことを心配しているんだね。私はそんな事で君を責めたりしないよ。もし気持ちよくなれなかったとしたら私たちの相性が悪かっただけで、どっちかのせいではないんだ。いや、君は初めてだから私のせいになるかな。どうしても気乗りしないなら、今断ってくれてもいいんだよ」

「さっきピウニさんがトゥーエの話をしたら、みんなうちのも使ってくれって言い出してな。代わりはいくらでも居るんだ」


 ピウニの口から出た「相性が悪い」「断って」という言葉に、トゥーエはとても悲しくなってしまった。例え話でもそんな冷たいことを言ってほしくない。弟より自分が選ばれて本当は嬉しかった。もしここで自分が断ったら、ピウニは他所の子のところに行ってしまう。そんなのは想像するのも嫌だ。


「やります。僕を抱いてください。僕、頑張ります。ちゃんとピウニさんを気持ちよくしますから」

「ありがとう、トゥーエ君。一緒に気持ち良くなろうね」



 三人は客間に移動した。初めてのときは保護者が同伴する決まりとなっている。普通は子供同士で行うことなので、事故がないようにと、やり方を教えるためだ。トゥーエとピウニは十四歳と二十八歳。見守りが必要な年齢ではない。しかしフォーダーは彼らをいきなり二人きりにしたくなかった。ピウニは誠実で穏やかで気配り上手だが、セックスもそうとは限らない。つい雑に扱ってしまうがトゥーエも大事な息子だ。痛い思いやつらい思いはさせたくない。

 トゥーエとピウニは全ての衣類を取り去って全裸になった。ピウニはがっちりはしていないけれどしっかり筋肉がついていて、日に焼けていない肌は白く艶めかしくて、トゥーエはなんだかどきどきしてしまった。

 ベッドに上がると、トゥーエはピウニに背中を支えられてちんぐり返しにされた。ベッドサイドのフォーダーからも、尻を弄るところがよく見える。


「きれいなお尻だね、トゥーエ君。本当に初めてなんだねえ」


 指でつつかれるたび、慣れない刺激にトゥーエはびくびくと震えた。男の処女性など気にしたこともなかった。村のみんなもそうだ。でもピウニが喜んでくれるから、トゥーエは自分が特別なもののような気がしてきた。唾液で濡れた指でくるくると撫でられると、ようやく快楽を感じ始める。


「あっ、ああっ、ピウニさん……!」


 突然の強い快感につぶっていた目を開けると、ピウニが肛門をれろれろと舐めていた。時折尖らせた舌先が悪戯するように窄まりをこする。トゥーエのまだ小ぶりな男根が一気に固さを持つ。やがて舌は窄まりの中心ばかりを狙うようになった。


「ぁひっ」


 トゥーエが肛門に集中していると、不意に乳首を弾かれた。トゥーエは今まで乳首なんて弄ったことはない。自分の嬌声に驚いてしまった。


「乳首もトゥーエ君のいいところなんだね」

「ち、違いまああんっ、やっ、なんで!?  ああっ」

「本当に違う?  約束は憶えているかな?」


 始める前にした約束。セックス中は正直に、感じたことは言葉にすること。ピウニは濡らした指で乳首をこねた。お尻の穴も舌先でつつき続ける。


「ちくびっ、ひぐぅ……乳首気持ちいいよぉ……お尻もピウニさんに食べられちゃう、はうぅんっ、舌が、舌がっ、ああっ、お尻気持ちい!」


 ついに舌が直腸を舐めた。だがすぐに離れて行き、代わりに人差指と中指が入れられた。ダルネのときは指一本から始めて、二本入るまで一週間かかっている。フォーダーは悶えるトゥーエの頭を撫でた。


「大丈夫かトゥーエ、痛くないか?」

「父さん……痛くない、けど、なんか変な感じ……ああんっ」


 ピウニは指で円を描くように尻を広げ、たまに舌をぬぷぬぷと抜き差ししてトゥーエをリラックスさせた。充分に解されたトゥーエは四つん這いにさせられた。いよいよ挿入だ。我慢汁で濡れた亀頭が肛門を撫でまわす。焦らされたトゥーエは後ろを振り返った。


「ピウニさん……」

「そんなに欲しそうな顔をして……今あげるからね」


 むちゅっと亀頭が収まった。わずかに前後させながら、少しずつ奥へと進む。休み休み、たっぷり時間をかけて男根の全部を入れることが出来た。ピウニはトゥーエの背に覆い被さって息を整える。トゥーエは何とも言えない異物感とピウニの重みに耐えるので精いっぱいだった。上体を起こしたピウニは、ゆっくり優しく、トゥーエの様子を見ながら律動を開始した。


「トゥーエ君の中はすごいよ……なんて気持ちのいい締め付けなんだ……トゥーエ君はどう?  初めてだからまだ気持ちよくはないかな?」

「すみません、よくわからないです……でもピウニさんが気持ちいいなら俺は嬉しいです」

「なんて健気なんだ!」


 律動が早まった。しかしまだ激しさには程遠いゆったりしたテンポと一定のリズム。徐々に伸ばされるストロークと比例して、トゥーエが甘い吐息を零し始める。


「ちょっと気持ちいいかも……ピウニさんのちんちんが行ったり来たりすると、俺のちんちんもぞくぞくってします……」

「くっ、今そんなこと……ごめんよもういきそうだ」

「トゥーエ、どこに出してほしいかちゃんと言いなさい」

「わかった……んっ、ピウニさん中に、はんっ、中にくださいっ」

「トゥーエ君……!」


 射精したピウニはトゥーエを、小さな子供におしっこをさせるときのように持ち上げた。軽く振って流れ出てきた精液を切る。フォーダーは残った精液を拭きとって、息子のまだ閉じてない肛門をじっくり検分した。一つの傷も見つからなかった。


「ピウニさん、息子を大切に扱ってくれてありがとうございます。今後は好きに使ってください」

「こちらこそありがとうございます。夢のような時間でした」


 二人は固い握手を交わした。


「ほら、ぼんやりしてないでシーツと尻を洗ってこい。朝寝坊は許さんぞ」

「はぁーい」


 トゥーエは汚れたシーツをまとめて部屋を出て行った。フォーダーも自室に引き上げる。しばらくして戻ってきたトゥーエは、脱いだ服を手早く身に着けていった。


「トゥーエ君はまだ出してないよね?  つらいだろう?」

「大丈夫です。俺、セックスではいけないんです。だから今ついでに出してきました」

「な、なんだって?  どういうこと?」

「じゃあ俺も戻ります。おやすみなさい」


 混乱していたピウニは我に返り、ぺこりと頭を下げて退室しようとするトゥーエをすんでのところで捕まえた。

 引き寄せたトゥーエの顔は真っ赤だった。何がそんなに恥ずかしいのか、困ったように眉尻を下げて目を潤ませている。あまりの可愛らしさにピウニはキスをした。驚きに見開かれたトゥーエの目は、キスの気持ち良さにとろけてゆっくり閉じられていった。


「どうしたの?  急に恥ずかしがり屋さんになっちゃったね」

「だって俺、あんなにあんあん喘ぎ声を出して……」

「トゥーエ君のあんあんは、気持ちいいって意味だよね?  トゥーエ君が気持ちいい気持ちいいってたくさん声に出して言ってくれたから、フォーダーさんは安心して最後まで見守れたんだ。私も嬉しくなって頑張れた。今日私たちが楽しく過ごせたのは、トゥーエ君の喘ぎ声のおかげだよ。だから恥ずかしがらないで?  慣れないことをして疲れただろう。さ、今日はもう寝よう。一緒に……いいでしょ?」


 こくこくと頷く。ピウニに手を引かれ、二人はベッドに横になった。トゥーエの心は優しい言葉で温まり、背後から抱き締める男の体温で身体も温められた。長距離移動で疲れていたピウニはすぐに眠りに落ちた。トゥーエは人の寝息がこんなにも心地良いものだとは知らなかった。

 目を閉じてもピウニの顔が浮かぶ。優しい眼差し、汗ばんでしっとりした筋肉、翻弄する指先、少しざらついた舌、熱くて固いちんちん。勃起がおさまらなくて、トゥーエはなかなか眠れなかった。






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