極悪令息と呼ばれていることとメシマズは直接関係ありません

ちゃちゃ

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2 メシマズの自覚

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 あれから6年が経ち、俺の料理への関心は高まり、研究に研究を重ねている。
 
 俺の料理が比較的美味しくない(オブラートを何層にも包んだ表現)ことは流石に自覚した。俺が調理場に入ろうとすると空気がピリつき、両親もやんわりと「料理以外にも趣味を見つけたらどうかな?」的なことを言っていた。みんな普段優しいのに、料理だけはめさせようとするのが不思議だった。こんなに美味しくできたのに……。
 
 俺のメシマズをハッキリ自覚したのは、12歳の頃。過去一番と言って良い、渾身の出来となった自家製スープを誰かに飲んで欲しくて、目を輝かせながら周りを見渡した。だが皆一様に俺から目を逸らされしょんぼりと落ち込んでしまった。
 
 そんな中見るに見兼ねたのか、俺に長年仕えている仲の良い侍従の一人が試食を買って出てくれた。一口食べた。倒れた。
 彼が翌日目を覚ました開口一番に『天国の祖父が笑っていた。』と話した。亡くなった人にひと目会えるラッキーフードとして流通出来ないだろうか。
 


 自覚した。大いに自覚した。
 だがメシマズと料理が好きだと言うことは共存出来ないのか? ようは、料理が上手くなるまで人に食べさせなければ良いのだ。俺は美味しく頂けるので、料理作成から食事、片付けまでソロプレイすれば良いのだ。自習だけだと中々上手くならないので、なんとか料理人の元で修行させてくれないだろうか。うちで働く料理人たちは『包丁さばきが素晴らしい!』『沸騰させる水の温度が丁度良い!』と絶妙に嬉しくない褒め方をするので外部の師匠が欲しい。沸騰したら丁度良い温度ってなんだ。100℃だろ。

 
 メシマズ発覚と同時に、2年前に友人たちが倒れた原因が自分の料理にあることにも気付いた。気付いたが……。
 
 俺は傷付けるつもりも、ましてや殺すつもりも無かった。否定したけど耳を貸してくれなかった。そして俺の黒を否定し、悪だと言った。あれは本心だった。うとんでいた。今も俺のことを悪だと思っているのだろう。数日前まで仲の良かった友が、自分に憎悪を向け始めたショックは大きかった。もう仲直りすることは諦め、誤解を解こうとはしなかった。
 
 後から聞いたが、両親は2人が倒れた際、両家にその原因(俺のクッキー)を伝えたそうだがろくに信じなかったそうだ。まぁ信じがたいことは分かる。だからって10歳の子供が友人に毒を盛るって考えにはならないと思うが……。

 今更必死で否定したところで俺の悪い噂は払拭出来ないし、何ならたまに突っかかってくる奴に俺が倍に言い返してるもんだから悪い噂を上塗りしている気がする。それに卒業後は他国で兄と貿易業の手伝いをする予定だから友人がいなくても困らない。

 今後の方針を再確認すると、将来に役立てる語学と経営学を修得するため、今日も一人、休み時間に教室の隅で復習をしていた。

 現在既に貿易を行っている外国の語学から勉強しようと本を読み進めていると、前が急に暗くなった。
 
 ……また来た……。
 
「また一人で本を読んでるの? たまには休憩時間を友人と過ごしたらどうなんだ?」
 
 キールとリアムには申し訳ないと思っている。だがもう完全に関係修復は出来ない状態だと思っているし、関わりたくない。だがたまにこうやって嫌味を言いながら勉強の邪魔をしてくる。

 いつもキールが絡んでくるが、その際はリアムも共にいて、あまり話さない代わりにじっとこちらを見てくる。リアムは昔からキールと一緒にいて、小さい頃から口数は少なかったが、年々無口になっている気がする。リアムから俺に罵詈雑言を浴びせられることは一度もないが、そもそもあまり話さないし、キールの発言に否定もしないため、俺はキールと一括りにして関わらないようにしている。
 
「もうあと2年で卒業だって言うのにずっと1人だもんね。少しくらい愛想良く出来ないの?」
「……いらないから」
「え?」
「俺のことを嫌ってる人と、頑張って親しくなろうとは思わない。そんな風に無理やり作る友達なんてもう・・いらないから。勉強の邪魔だ。他に用がないならどっか行けよ」
 
 
 そう吐き捨て、再び本に目を向ける。話しかけては来ないが視線を感じる。それも無視してページをめくる。
 
 ジリジリと刺さるような視線と共に本に映していた2つの影は無くなった。
 
 離れようと思った。6年前に、もう2人とは関わらないと決めた。なのに……。
 
 ずっと同じクラスなんだよなぁー!! 何でかなあー!? 神様、俺何か悪いことしたー? いや、まぁちょっとだけ悪いことしたかなぁ? 時効はまだですか?
 
 噂に加え、俺とキールが頻繁にやり合ってるからか、ほとんどの学生たちから遠巻きに見られている。たまに怖い噂の真偽を確かめようとする強者がいて、口で負けると手を出してきて俺の護身術で倒れて運ばれている。あぁ……不本意だ。
 
 それに、人が寄り付かないのは都合が良かった・・・・・・・
 友達が出来ないのはちょっとだけ、寂しいことは寂しい。けど、今となっては皆俺に近付きたいとは思わないだろうし、基本的には怖がられている。
 俺君たちのこと実験体にしないよ……黒魔術なんて使えないよ……。とは思いつつ自分から話しかけたり、笑顔を振りまいたりせず、誤解を解こうと努力していないのだから、一人が寂しいとか言うのはお門違いだ。
 
 俺は友人との楽しい学校生活は諦めて勉強と料理の研究を頑張るんだ。
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