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63 人のことより自分のこと
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友人と遊ぶことも非行に走ることもしなかった真面目な俺は今回の試験も余裕だった。勉強と料理しかしてこなかったとも言える。
「エル、試験はどうだった?」
「ぼちぼちかな」
「なら今回も上位だね」
「フリードもまた1位かな。忙しいのに頑張ってるな」
フリードと親しくなる前は元々優秀で何でも出来る完璧人間だと思っていたが、実は弟が大好きな故に立派な公爵を目指す努力家だったことを知り、同い年ながら尊敬の念を抱くようになった。実の弟を囲おうとしていることと、レオの内通者になったことは如何かと思うが。
着席したまま、机を挟んで前に立つフリードを見上げて今思い出したことを聞く。
「レオンのスパイであるフリードさん。黒い小悪魔とはなんぞや」
「ふはっ! あ、聞いた? すごく面白いよね。この三ヶ月でエルの印象が様変わりして、実際狙ってる子もいるけど、レオンさんの睨みが効いてるから相変わらず私たち以外は誰もエルに近寄って来てないでしょ」
「なんでそんなことに」
「そりゃー無愛想無表情無口友人無しの怖い男かと思ったら、顔よし家柄よし友人との付き合い良しで、親しい人には愛嬌があってノリも良いことが一気に周知され、みんながエルに好印象を抱いたその時には既にラブラブな恋人がいて、あえなく撃沈。今なお、たくさんの人を振り回してるから小悪魔」
「黒髪だからとか色々と理由付けてみんなが先に避けてたのに勝手だな」
「それはまぁ理由は違えど私も君に接触しなかったから耳が痛いな……。ここに通っている子息令嬢の親世代が我が子にエルのことを悪く言ってたんだよ。キールくんもそうだったでしょ? 幼い頃の親の言葉って影響力強いからね。でもここに入学した年齢である10歳くらいになると、ある程度自分で見て考えて判断出来る子はいるし、年が経つ毎に噂と違うなって思ってた人も多いと思うよ。ただ、さっきも話したように無い無い尽くしのエルにわざわざ近付いて余計な波風立てたくない・巻き込まれたくない派が過半数以上いたというだけだよ」
「うーん客観的に考えるとその気持ちは分かる。公爵家のフリードと侯爵家のキールは俺も含め周りの生徒より家格が高いから、そういう波風問題は影響少ないだろうけど、リアムは大丈夫なのか? 一緒にいて圧力かかったりしない? 今も変わらず俺にマイナスイメージ持ってる人に虐められたりとか」
「リアムくんは昔からあんな感じだし、キールくん以外には興味無いことはご家族も王家も知ってるから、大丈夫じゃないかな。そもそも学内でリアムくんをどうこうしようと思う人いないでしょ、怖くて」
リアムのキール好きは家族と王家もご存知なのか。まぁ隠してないしな。リアムが周りを威嚇していたおかげで俺に嫌がらせをするような人はほとんどいなかったし、幸運だったと思おう。キールにとって幸運かは知らないけど。
そこへ、並び立ってトイレに行っていた二人が教室へと戻ってきて俺たちの方へ向かってくる。リアムの想いとか関係性を知ってから観察してみると、本当に二人はずっと一緒にいる。
「キールもリアムも、試験お疲れ様」
「お疲れ様。僕は毎朝エルたちを叱りに行く係になって大変だよ。試験の順位が落ちたら責任を取ってエルの家でお茶会開いてね」
「順位関係なく、お礼を兼ねて皆を家に誘うよ。休み中いつ出来るかは分からないけど」
「ほんと!? 楽しみにしてる」
キールには時間も手間もかけさせてるので、喜ばせてご機嫌を伺いたいところ。
「それにしても学校いる間以外は付きっきりなのか? 過保護すぎないか」
リアムのその言葉にそのまま同じ言葉を返したいが、面倒臭いので素直に返答する。
「ちょっとトラブルに巻き込まれそうなのと、レオンが心配性だからこうなってる。明日から休みだからしばらくは家でゆっくりするよ」
「エル、敢えて詳しくは聞かないけど、気をつけてね」
「うん、ありがとうキール」
そろそろ迎えの馬車と共にレオが着く時間なので帰宅の準備をする。背中にリアムを乗っけているような状態のキールを見ると二人の仲も進展しているような気がするが、フリードによると小さい頃からこんな感じらしい。
この間は二人きりで出かけていたし、良い友人関係ではあるんだろうけど……。ススス……とフリードに近付く。
「リアムとキールってどこまで進んでるか知ってる?」
流石に本人たちには聞きづらい。いや、リアムには聞けるけどキールにぴったりへばりついてて必然的にキールの耳にも入るから無理。
「さぁ、私も自分から聞かないからね。ただ、一つ言えることは……」
「言えることは……?」
「エルが初級編で終えた例の参考書は応用編Bまで読み終わってる」
「え、結局借りてたの!? キールが貸してほしいって?」
「それが、二人で読んでるらしいんだよねぇ……」
「あー……ね、それはもう……」
もしかして結ばれて最後まで……。
「二人がいつも通り過ぎて分からない。ただ、そういう関係になったらキールは隠せないと思うから違うと思う」
「うーん。まぁあんなにくっついててもキールは気にしてないし、リアムがじわじわ攻めきりそうだな……」
リアムの囲い込みは終わってるので、あとはキールを捕まえるだけだ。
「人のことより自分のことはどうなの」
「え!」
「レオンさんに実地で教えて貰ってるんでしょ? 家族公認ならさぞかし学習が進んでるんだろうなぁー」
もし人が聞いたら、テスト終わりでも勉強の話をしている優等生の会話に聞こえるが、中身は性生活の話という。高位貴族だろうが若い青少年だから……。自分とレオのあれこれを話す気は無いという意志をフリードから視線を逸らすことでアピールする。
「あ、もう時間だから帰るよ! また連絡する!」
「バイバイ、またねエル」
「じゃあな」
「休み明け楽しみにしてるよ」
何をだ。
実地がどうだって? 性生活がどうなってるか?
充実してるよ!!
「エル、試験はどうだった?」
「ぼちぼちかな」
「なら今回も上位だね」
「フリードもまた1位かな。忙しいのに頑張ってるな」
フリードと親しくなる前は元々優秀で何でも出来る完璧人間だと思っていたが、実は弟が大好きな故に立派な公爵を目指す努力家だったことを知り、同い年ながら尊敬の念を抱くようになった。実の弟を囲おうとしていることと、レオの内通者になったことは如何かと思うが。
着席したまま、机を挟んで前に立つフリードを見上げて今思い出したことを聞く。
「レオンのスパイであるフリードさん。黒い小悪魔とはなんぞや」
「ふはっ! あ、聞いた? すごく面白いよね。この三ヶ月でエルの印象が様変わりして、実際狙ってる子もいるけど、レオンさんの睨みが効いてるから相変わらず私たち以外は誰もエルに近寄って来てないでしょ」
「なんでそんなことに」
「そりゃー無愛想無表情無口友人無しの怖い男かと思ったら、顔よし家柄よし友人との付き合い良しで、親しい人には愛嬌があってノリも良いことが一気に周知され、みんながエルに好印象を抱いたその時には既にラブラブな恋人がいて、あえなく撃沈。今なお、たくさんの人を振り回してるから小悪魔」
「黒髪だからとか色々と理由付けてみんなが先に避けてたのに勝手だな」
「それはまぁ理由は違えど私も君に接触しなかったから耳が痛いな……。ここに通っている子息令嬢の親世代が我が子にエルのことを悪く言ってたんだよ。キールくんもそうだったでしょ? 幼い頃の親の言葉って影響力強いからね。でもここに入学した年齢である10歳くらいになると、ある程度自分で見て考えて判断出来る子はいるし、年が経つ毎に噂と違うなって思ってた人も多いと思うよ。ただ、さっきも話したように無い無い尽くしのエルにわざわざ近付いて余計な波風立てたくない・巻き込まれたくない派が過半数以上いたというだけだよ」
「うーん客観的に考えるとその気持ちは分かる。公爵家のフリードと侯爵家のキールは俺も含め周りの生徒より家格が高いから、そういう波風問題は影響少ないだろうけど、リアムは大丈夫なのか? 一緒にいて圧力かかったりしない? 今も変わらず俺にマイナスイメージ持ってる人に虐められたりとか」
「リアムくんは昔からあんな感じだし、キールくん以外には興味無いことはご家族も王家も知ってるから、大丈夫じゃないかな。そもそも学内でリアムくんをどうこうしようと思う人いないでしょ、怖くて」
リアムのキール好きは家族と王家もご存知なのか。まぁ隠してないしな。リアムが周りを威嚇していたおかげで俺に嫌がらせをするような人はほとんどいなかったし、幸運だったと思おう。キールにとって幸運かは知らないけど。
そこへ、並び立ってトイレに行っていた二人が教室へと戻ってきて俺たちの方へ向かってくる。リアムの想いとか関係性を知ってから観察してみると、本当に二人はずっと一緒にいる。
「キールもリアムも、試験お疲れ様」
「お疲れ様。僕は毎朝エルたちを叱りに行く係になって大変だよ。試験の順位が落ちたら責任を取ってエルの家でお茶会開いてね」
「順位関係なく、お礼を兼ねて皆を家に誘うよ。休み中いつ出来るかは分からないけど」
「ほんと!? 楽しみにしてる」
キールには時間も手間もかけさせてるので、喜ばせてご機嫌を伺いたいところ。
「それにしても学校いる間以外は付きっきりなのか? 過保護すぎないか」
リアムのその言葉にそのまま同じ言葉を返したいが、面倒臭いので素直に返答する。
「ちょっとトラブルに巻き込まれそうなのと、レオンが心配性だからこうなってる。明日から休みだからしばらくは家でゆっくりするよ」
「エル、敢えて詳しくは聞かないけど、気をつけてね」
「うん、ありがとうキール」
そろそろ迎えの馬車と共にレオが着く時間なので帰宅の準備をする。背中にリアムを乗っけているような状態のキールを見ると二人の仲も進展しているような気がするが、フリードによると小さい頃からこんな感じらしい。
この間は二人きりで出かけていたし、良い友人関係ではあるんだろうけど……。ススス……とフリードに近付く。
「リアムとキールってどこまで進んでるか知ってる?」
流石に本人たちには聞きづらい。いや、リアムには聞けるけどキールにぴったりへばりついてて必然的にキールの耳にも入るから無理。
「さぁ、私も自分から聞かないからね。ただ、一つ言えることは……」
「言えることは……?」
「エルが初級編で終えた例の参考書は応用編Bまで読み終わってる」
「え、結局借りてたの!? キールが貸してほしいって?」
「それが、二人で読んでるらしいんだよねぇ……」
「あー……ね、それはもう……」
もしかして結ばれて最後まで……。
「二人がいつも通り過ぎて分からない。ただ、そういう関係になったらキールは隠せないと思うから違うと思う」
「うーん。まぁあんなにくっついててもキールは気にしてないし、リアムがじわじわ攻めきりそうだな……」
リアムの囲い込みは終わってるので、あとはキールを捕まえるだけだ。
「人のことより自分のことはどうなの」
「え!」
「レオンさんに実地で教えて貰ってるんでしょ? 家族公認ならさぞかし学習が進んでるんだろうなぁー」
もし人が聞いたら、テスト終わりでも勉強の話をしている優等生の会話に聞こえるが、中身は性生活の話という。高位貴族だろうが若い青少年だから……。自分とレオのあれこれを話す気は無いという意志をフリードから視線を逸らすことでアピールする。
「あ、もう時間だから帰るよ! また連絡する!」
「バイバイ、またねエル」
「じゃあな」
「休み明け楽しみにしてるよ」
何をだ。
実地がどうだって? 性生活がどうなってるか?
充実してるよ!!
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