公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

文字の大きさ
64 / 191

52 公爵令嬢は男爵になる

しおりを挟む
さて、褒賞式が終わった3日後、私はお母様とリッカと一緒に私のもらった領地、フィアンマ男爵領に向かっていた。


学童院はしばらくお休みを頂いてて、1ヶ月ほど領地のことを集中して対応したいとお父様にお話しした所、「卒業式にはちゃんと出るんだぞ」と言ってもらえた。

なので、クラスの皆んなにこの事を伝えてしばらく会えなくなると言うと、お別れパーティーをしてくれた。全校生徒で。

ポスカ君が今にも泣き出しそうな顔をしながら私に抱きついてきて、別れを惜しんでくれた。

いつか帰ってくるまで、ずっと待っていると。

彼はきっと犬属性持ちだ。

そして私は、いつの間にか学童院の名誉教授に任命されていた。



領都へは馬車で朝 公爵領を出発して、休憩を挟みながらでも夕方には到着できるほどの距離だった。

とは言っても、貧しく小さな領地なので、領都も村と言ってもいいくらい小さなものだった。

なので、領主邸もどこにあるかがすぐわかるほど。

その領主邸も、我が家のお屋敷に比べるまでもない程小さなものだった。

領主邸に着くと、この領地を今まで管理していた領主代行の方が出迎えてくれた。

「お待ちしておりました、フィアンマ公爵夫人、フィアンマ女男爵様。
もう日も暮れてしましました、本日はお休みをとって、明日の朝着任のご挨拶をお願いいたします。」

その日の出された夕食はこの地の風土料理のような魚がメインの料理で、貧しい土地ではあるものの男爵邸の食事とあって割と豪華だった。

ただ、その料理を食べてて私は気になる事があった。

コックを呼び出し、質問をする。

「今日の料理には魚醤が使われてなかったようだけど、普段からあまりお使いにならないの?」

「失礼致します、あの…ぎょしょうとは何でしょうか?」

…え?

「魚で作った調味料なんだけど、こちらでは魚醤とは仰らないのかしら?」

「あ、もしかして魚の出汁の事ですか?
でしたら、先程の料理でお使い致しました。」

……は?

「あ、あの、魚醤とは魚を半年ほど塩漬けすると出来る調味料の事ですよ。」

「「「えぇえーーー⁉︎」」」

「お嬢様、半年も放置なんてしてしまったら、腐って食べられませんよ!」

「いくら漁業の盛んな土地だからと言って、そのような食べ物は存在致しません。」

「フラン…貴女、そんな物を私達に食べさせようとしていたの?」

…なん…だと?

魚醤って、地球じゃ豆醤より歴史が古くてメジャーなんだぞ⁉︎

塩漬けした魚をうっかり放置してたら出来てた、とかみたいな事、過去になかったのかよ⁉︎

てか、魚醤がないんだったら、ジャンクフードの代表ともいえるアレが作れねぇじゃんか‼︎

せっかくこの貧しい土地の特産品として広めようと思ってたのに…

食べたかったのに…

てか、前世おれを思い出した日にもこんな事あった気がするなぁ。



この日の夜、すっかり意気消沈した私は、馬車移動の疲れもあっていつもより早く寝た。いや、寝込んだ。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。  発端は彼女の父親が行方不明となり、叔父である父の弟が公爵邸に乗り込んで来たこと。  何故か叔父一家が公爵家の資産に手を付け散財するが、祖父に相談してもコロネに任せると言って、手を貸してくれないのだ。  そもそも父の行方不明の原因は、出奔中の母を探す為だった。その母には出奔の理由があって…………。  残された次期後継者のコロネは、借金返済の為に事業を始めるのだ。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

処理中です...