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82 公爵令嬢は花見をする
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前世を思い出して5年が経った。
あれから多くのものを作ってきた。
でもまだまだやってみたい事が沢山ある。
それに、この世界じゃ見た事ないものも盛り沢山。
それを作っていくのもまた一興。
そしてこの春、やってみたい事を一つ思いついた。
それは、花見。
ただ、私はこの世界で未だ桜を見た事がない。
サクランボを食べた事がなかったから、この世界には桜がないのかと思ってたけど、旅商人から最近噂を聞いた。
なんでも、極東の島国には山一面を桃色に埋め尽くす花木があり、しかも一斉に花が散る姿はまるで吹雪のようだと言っていた。
絶対桜に決まってる。
てか、極東の島国に桜って、異世界あるあるというか、ベタだよなぁ。
あぁ、桜が見たい。 花見がしたい。
これ程までに植物魔法を使いたいと思う日が来ると思わなかった。
よくよく考えなくても、植物魔法って便利だよなぁ。
俺の知識を使えば、日本の食べ物のかなりを再現させる事が出来るんだもん。
いや、錬金魔法もあり得ないほど便利なんだよ?
でもやっぱり、隣の芝は青く見えてしまう。
はぁ、ポスカ君に説明するだけで桜を咲かせてもらうとか出来れば良いのになぁ。
「フランちゃん、何作ってるの?」
一度思い込んでしまうとどうしても頭から離れなくなってしまい、遂に錬金魔法で金属製の桜を作ってしまった。
しかも、男爵邸の中庭にドーンとデカいのを。
「無機質な植物って、キレイだけど温かみがなくて何となく寂しいね。」
わかってるよレベッカちゃん!
最初は色味を似せようと石で作ろうとしたんだけど、枝や花びらがか弱くてすぐ折れちゃうから、必然的にこうなっちゃったんだよ!
「見たことのない木ですが、これは何という植物をモチーフにされたのですか?」
「これはサクラという植物よ。
ちょうど今くらいの季節に花を咲かせて、この木が薄ピンクの花で埋め尽くされるの。
咲いてすぐに散ってしまうんだけど、その散る花びらがとてもキレイなんだから。」
「へぇー、そんなにキレイな花、見たことないわ。
どうして知ってるの?」
「先日、極東の島国から来られた旅商人の方に聞いたの。
私もサクラが見たくなって。」
「そうでしたか、まるで実物を見たかのような言いぶりですね。」
おぉう、リッカ鋭い。
と言うか、そういやリッカは俺の事知ってたんだったわ。
俺の事秘密にしたいクセに詰めが甘いと言いたげな目線が痛い。
「フラン様、何書かれてるんですか?」
あ、しまった、桜が見た過ぎて書類の隅っこに桜が散る様子をパラパラ漫画で落書きしまってた。
「へぇ、面白い。
こうすると絵が動くのですな!」
ケンとアデンがパラパラ漫画に反応した。
そういや、アニメーションなんかもない世界だもんな。
「しかし、なぜ重要書類に落書きなぞされたのですか?」
はい、本当にごめんなさい。
今度からは本の隅っこに描くようにします。
「フランって絵が描けるんだな。」
男子3人が男爵邸へ遊びに来ていた。
3人が子ども園の先生を辞めてから、揃ってここへ来るのはかなり久しぶり。
そして、私が描いた桜の絵を見た感想がこれ。
今やもう私は、桜への想いが募り過ぎて、自分で桜の文献や絵を描いてしまうほどになっていた。
「すごく綺麗な絵ですね。
これは何と言う花ですか?」
「サクラと言う極東の島国に咲く花です。
見てみたいのですが、この国には生息していないんです。」
「へー、資料は何もないの?」
「私が書いた文献と、中庭に金属で作ったサクラならあるけど、どうしたの?」
「僕にそれ見せて。」
ポスカ君の要望で、私が作り上げた桜のありとあらゆる資料を見せてあげた。
まさか、資料だけで桜を生やす気!?
そんなバカな、この国で一番の植物魔法使いのダニエル先生ですら、そんな事は不可能なんだから。
そして、中庭でブツブツ独り言を言いながら、資料や絵やパラパラ漫画、金属製の桜を睨めっこするポスカ君。
あ、パラパラ漫画はちゃんと別の本に書き直したヤツだから、重要書類じゃないよ!
独り言を止めて、目を閉じたポスカ君。
何してるんだろう?
すると、金属製の桜と対称になるように、中庭に植物が生えてきた。
どんどん大きくなるその植物はやがて大木になって蕾を付け、そして薄ピンクの花が咲いた。
……うそ、資料だけで本当に桜咲かせちゃった……
「ポスカ君……すごい……どうしてこんな事が出来るの……」
「へへーん、僕ってすごいでしょ……」
未知の花を咲かせた事で魔力を使い果たしたポスカ君は、そのまま倒れてしまった。
元私の部屋のスプリングがよく効いているベッドで寝かせていたポスカ君は、しばらくすると目を覚ました。
「ポスカ君、サクラを咲かせてくれた事は本当にありがとう!
でも、私のせいで倒れてしまう程魔力を使わせてしまってごめんなさい!」
「ああ、もう大丈夫だよ。
フランちゃん先生が喜んでくれると思ったから、頑張っちゃった。」
「すごく嬉しかったわ!
でも、それ以上にとても心配したの!
これからは無茶をしないで!」
「うん、わかった。
でも、フランちゃん先生のためだったら、無理しちゃうかもなー。」
いや、本当に焦ったんだから!
初錬金魔法の時のダニエル先生も、こんな気持ちだったんだろうと思って、めっちゃくちゃ反省したくらい心配したんだよ!
「くそー、今回はポスカにいい所取られたな。」
「次は僕の番ですからね。」
2人とも、倒れるほどの事されても、私喜ばないからね!?
元々魔力量がすごく多いせいか、ポスカ君はあの後けろっと元気になった。
もうこうなったら、私がお礼しなきゃいけないでしょう!
と言う事で、お花見の準備をしてまいりました。
花見といえば、レジャーシートやゴザを敷いた地べたの上に直に座って、ご飯やお酒やおつまみを食べながら桜を楽しむんでしょうが!
そして、花見にちなんで作ったのが、三色団子もどき。
ただの三色パンを串で刺しただけですが、何か?
だって、白玉粉がないんだもん、仕方ないじゃん。
同じ理由で、みたらし団子も作れませんでした。
みたらし団子は、醤油がないのもデカい。
流石に魚醤で作るのはクセが強いんじゃ。
皆んなを中庭に呼んで、日本式花見を楽しみましょう!
時間的に日が暮れ掛けてきたので、夜桜になった。
サラッと皆んな一泊するつもりらしいし、まぁいいけど。
あぁー、リリーちゃんがいれば、桜のライトアップがキレイだったんだろうなー。
「サクラの花って、すごいね。
たった一本の木が、丸々花になっちゃうんだもの。」
「地面に座って、花を見上げながら料理を食べるって、なんだか少しだけ背徳感がありますが、そこがまた良いですね。」
「桜の花びらが散ると桜吹雪になるんですよね?
俺、それも見てみたいです。」
「サクラの花は、雨や風ですぐに散ってしまうほど儚いんですよ。」
「ふーん、じゃあちょっとやってみるか。」
ロナウド王子が、風魔法で桜の枝を揺すった。
すると、ヒラヒラと桜の花びらが降ってきた。
わぁっと皆んなが見上げる。
まだ咲いて直ぐの木だったからそんなに散ってはなかったけど、それでも花びらの降る様子はとても綺麗だった。
ワインで花見酒をするロマンスグレーのグラスに、一枚の花びらが舞い降りた。
「ほほ、ワインに注がれる桜の花びらとは、中々オツですな。」
「サクラは毎年咲くんだよね、また来年もお花見しようね。」
「そうね、ポスカ君のおかげでサクラが見られたんですもの。
今年だけに留めるのはもったいないわ!
本当にありがとう、ポスカ君!」
余談。
私の金属製の桜で桜吹雪をさせた所、凶器になった。
あれから多くのものを作ってきた。
でもまだまだやってみたい事が沢山ある。
それに、この世界じゃ見た事ないものも盛り沢山。
それを作っていくのもまた一興。
そしてこの春、やってみたい事を一つ思いついた。
それは、花見。
ただ、私はこの世界で未だ桜を見た事がない。
サクランボを食べた事がなかったから、この世界には桜がないのかと思ってたけど、旅商人から最近噂を聞いた。
なんでも、極東の島国には山一面を桃色に埋め尽くす花木があり、しかも一斉に花が散る姿はまるで吹雪のようだと言っていた。
絶対桜に決まってる。
てか、極東の島国に桜って、異世界あるあるというか、ベタだよなぁ。
あぁ、桜が見たい。 花見がしたい。
これ程までに植物魔法を使いたいと思う日が来ると思わなかった。
よくよく考えなくても、植物魔法って便利だよなぁ。
俺の知識を使えば、日本の食べ物のかなりを再現させる事が出来るんだもん。
いや、錬金魔法もあり得ないほど便利なんだよ?
でもやっぱり、隣の芝は青く見えてしまう。
はぁ、ポスカ君に説明するだけで桜を咲かせてもらうとか出来れば良いのになぁ。
「フランちゃん、何作ってるの?」
一度思い込んでしまうとどうしても頭から離れなくなってしまい、遂に錬金魔法で金属製の桜を作ってしまった。
しかも、男爵邸の中庭にドーンとデカいのを。
「無機質な植物って、キレイだけど温かみがなくて何となく寂しいね。」
わかってるよレベッカちゃん!
最初は色味を似せようと石で作ろうとしたんだけど、枝や花びらがか弱くてすぐ折れちゃうから、必然的にこうなっちゃったんだよ!
「見たことのない木ですが、これは何という植物をモチーフにされたのですか?」
「これはサクラという植物よ。
ちょうど今くらいの季節に花を咲かせて、この木が薄ピンクの花で埋め尽くされるの。
咲いてすぐに散ってしまうんだけど、その散る花びらがとてもキレイなんだから。」
「へぇー、そんなにキレイな花、見たことないわ。
どうして知ってるの?」
「先日、極東の島国から来られた旅商人の方に聞いたの。
私もサクラが見たくなって。」
「そうでしたか、まるで実物を見たかのような言いぶりですね。」
おぉう、リッカ鋭い。
と言うか、そういやリッカは俺の事知ってたんだったわ。
俺の事秘密にしたいクセに詰めが甘いと言いたげな目線が痛い。
「フラン様、何書かれてるんですか?」
あ、しまった、桜が見た過ぎて書類の隅っこに桜が散る様子をパラパラ漫画で落書きしまってた。
「へぇ、面白い。
こうすると絵が動くのですな!」
ケンとアデンがパラパラ漫画に反応した。
そういや、アニメーションなんかもない世界だもんな。
「しかし、なぜ重要書類に落書きなぞされたのですか?」
はい、本当にごめんなさい。
今度からは本の隅っこに描くようにします。
「フランって絵が描けるんだな。」
男子3人が男爵邸へ遊びに来ていた。
3人が子ども園の先生を辞めてから、揃ってここへ来るのはかなり久しぶり。
そして、私が描いた桜の絵を見た感想がこれ。
今やもう私は、桜への想いが募り過ぎて、自分で桜の文献や絵を描いてしまうほどになっていた。
「すごく綺麗な絵ですね。
これは何と言う花ですか?」
「サクラと言う極東の島国に咲く花です。
見てみたいのですが、この国には生息していないんです。」
「へー、資料は何もないの?」
「私が書いた文献と、中庭に金属で作ったサクラならあるけど、どうしたの?」
「僕にそれ見せて。」
ポスカ君の要望で、私が作り上げた桜のありとあらゆる資料を見せてあげた。
まさか、資料だけで桜を生やす気!?
そんなバカな、この国で一番の植物魔法使いのダニエル先生ですら、そんな事は不可能なんだから。
そして、中庭でブツブツ独り言を言いながら、資料や絵やパラパラ漫画、金属製の桜を睨めっこするポスカ君。
あ、パラパラ漫画はちゃんと別の本に書き直したヤツだから、重要書類じゃないよ!
独り言を止めて、目を閉じたポスカ君。
何してるんだろう?
すると、金属製の桜と対称になるように、中庭に植物が生えてきた。
どんどん大きくなるその植物はやがて大木になって蕾を付け、そして薄ピンクの花が咲いた。
……うそ、資料だけで本当に桜咲かせちゃった……
「ポスカ君……すごい……どうしてこんな事が出来るの……」
「へへーん、僕ってすごいでしょ……」
未知の花を咲かせた事で魔力を使い果たしたポスカ君は、そのまま倒れてしまった。
元私の部屋のスプリングがよく効いているベッドで寝かせていたポスカ君は、しばらくすると目を覚ました。
「ポスカ君、サクラを咲かせてくれた事は本当にありがとう!
でも、私のせいで倒れてしまう程魔力を使わせてしまってごめんなさい!」
「ああ、もう大丈夫だよ。
フランちゃん先生が喜んでくれると思ったから、頑張っちゃった。」
「すごく嬉しかったわ!
でも、それ以上にとても心配したの!
これからは無茶をしないで!」
「うん、わかった。
でも、フランちゃん先生のためだったら、無理しちゃうかもなー。」
いや、本当に焦ったんだから!
初錬金魔法の時のダニエル先生も、こんな気持ちだったんだろうと思って、めっちゃくちゃ反省したくらい心配したんだよ!
「くそー、今回はポスカにいい所取られたな。」
「次は僕の番ですからね。」
2人とも、倒れるほどの事されても、私喜ばないからね!?
元々魔力量がすごく多いせいか、ポスカ君はあの後けろっと元気になった。
もうこうなったら、私がお礼しなきゃいけないでしょう!
と言う事で、お花見の準備をしてまいりました。
花見といえば、レジャーシートやゴザを敷いた地べたの上に直に座って、ご飯やお酒やおつまみを食べながら桜を楽しむんでしょうが!
そして、花見にちなんで作ったのが、三色団子もどき。
ただの三色パンを串で刺しただけですが、何か?
だって、白玉粉がないんだもん、仕方ないじゃん。
同じ理由で、みたらし団子も作れませんでした。
みたらし団子は、醤油がないのもデカい。
流石に魚醤で作るのはクセが強いんじゃ。
皆んなを中庭に呼んで、日本式花見を楽しみましょう!
時間的に日が暮れ掛けてきたので、夜桜になった。
サラッと皆んな一泊するつもりらしいし、まぁいいけど。
あぁー、リリーちゃんがいれば、桜のライトアップがキレイだったんだろうなー。
「サクラの花って、すごいね。
たった一本の木が、丸々花になっちゃうんだもの。」
「地面に座って、花を見上げながら料理を食べるって、なんだか少しだけ背徳感がありますが、そこがまた良いですね。」
「桜の花びらが散ると桜吹雪になるんですよね?
俺、それも見てみたいです。」
「サクラの花は、雨や風ですぐに散ってしまうほど儚いんですよ。」
「ふーん、じゃあちょっとやってみるか。」
ロナウド王子が、風魔法で桜の枝を揺すった。
すると、ヒラヒラと桜の花びらが降ってきた。
わぁっと皆んなが見上げる。
まだ咲いて直ぐの木だったからそんなに散ってはなかったけど、それでも花びらの降る様子はとても綺麗だった。
ワインで花見酒をするロマンスグレーのグラスに、一枚の花びらが舞い降りた。
「ほほ、ワインに注がれる桜の花びらとは、中々オツですな。」
「サクラは毎年咲くんだよね、また来年もお花見しようね。」
「そうね、ポスカ君のおかげでサクラが見られたんですもの。
今年だけに留めるのはもったいないわ!
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