121 / 191
102 公爵令嬢は秋祭りで演劇をする
しおりを挟む
さて、遂に秋祭りの日がやってきてしまった。
この日のために、目一杯練習はしてきたけど、やっぱり緊張するし、何より恥ずかしい……
「大丈夫。
フランならやり遂げられるって。」
「そうですよ。
フランさんの晴れ舞台を特等席でみられるなんて、本当に感激ですよ。」
そりゃそうでしょうね。
なんだって、王子たち四人も出演するんだからね、間近どころじゃない距離だよね。
てか、ロナウド王子、セシル様、ポスカ君はともかく、リリーちゃんまで自分から舞台に上がりたいとか、なんか段々ヒロインキャラじゃなくなってきたね。
「フラン様とずっと一緒にいると約束したじゃないですか!」
一緒ってそういう意味じゃないでしょうが!
「でも、結局フランちゃん先生は演技やばすぎて、演出書き直しになっちゃったね。」
くっ、言うな!
だから私はステージに上がりたくなかったんだヨォ!
今回の私達の演目は、メインステージで参加せず、劇場で三日間、午前午後の二部公演。
メインステージだと、入場客の整理が上手くいかないだろうからとのこと。
その予想は的中し、劇場もお客さんで溢れかえり、入場できなかったお客さんには整理券を配って来場日時を変更してもらうようになった。
舞台裏で最終確認をした私達は、円陣を組む。
「今日から三日間、みんな頑張るぞ!」
「「「オォー!」」」
掛け声とに合わせて気合を入れているが、なぜ掛け声を団長でなくロナウド王子が?
【大変長らくお待たせいたしました。
これより、演目を開始いたします。】
ブザー代わりの鐘が鳴り、段幕が上げられた。
さぁ、ここから私達の戦いが始まる!
【ここはとある王国の森の中、王子様と家来は森の中を歩いていた。】
『ほんとうに ここにまものがでたのか?』
『はい、目撃者によると、この辺りで襲われて被害にあったと申しておりました。
個体数がかなり多く、その群れのトップの魔獣は他のものよりかなり強いと。』
この王子様役、開演前に募集をかけていた観客の少年。
立候補者はかなりの数いたそうな。
『くらえ!』
チャンバラ剣を適当に振り回して、魔物を退治していく王子様。
『えーっと……ひがくれるまえに はやくとうばつしておこう!』
途中で演者達にセリフを教えてもらいながら演技をする少年。
そこに現れた魔物の群れ。
王子様の攻撃も虚しく、家来を人質にとられた。
『くそ、どうしたらいいんだ!』
そこへ、
『『『『『俺達、私達に任せろ!』』』』
登場したのがロナウド王子、セシル様、ポスカ君、リリーちゃん、そして私。
『あ、あなたたちは?』
『俺たちが来たからにはもう大丈夫だ!』
そう言って魔物に攻撃を始める。
ロナウド王子は大剣(どでかいチャンバラ剣)、セシル様は双剣(チャンバラ剣二本)、ポスカ君は鞭(鞭部分がリボン)、リリーちゃんは弓(弓のみ。弦、矢なし)、そして私はボクシンググローブをはめている。
みんなが素晴らしいスタントで激しいアクションや殺陣をくりなす中、そんなものが出来るわけない私はみんなの影に隠れてシャドーボクシング。
途中、何もないところでガチでズッコケる。超恥ずかしい。
私がこけたのを切っ掛けに、私達は劣勢に追い込まれる。
『みんな、変身だ!』
そして五人の超早着替え。
最後にヘルメットを被り、
『雷の戦士、サンダーレンジャー!』
『音の戦士、サウンドレンジャー!』
『植物の戦士、プラントレンジャー!』
『光の戦士、ホーリーレンジャー!』
『鋼の戦士、アイアンレンジャー!』
『『『『『五人揃って、魔法戦隊マジカルレンジャー!!』』』』』
観客席に向かって決めポーズ。
観客席が湧き上がる!
サンダーレンジャーが雷撃を浴びせ、サウンドレンジャーの奏でる音色で混乱させ、プラントレンジャーの花吹雪光線で弱らせ、ホーリーレンジャーの光の矢で魔物にとどめを刺し、最後にアイアンレンジャーが魔物を檻に閉じ込める。
家来を助け、王子様のもとへ。
『ありがとう、マジカルレンジャー!』
『俺たちの事は秘密にしていてくれ。
困った時はまた助けに来るさ。』
【こうして、マジカルレンジャーと共に魔物を倒した王子様はお城へ戻り、英雄として後世に名を残し、世界は平和になりました。
めでたしめでたし。】
最後にカーテンコールで全員ステージへ。
観客席からは拍手喝采が鳴り止まない。
お辞儀をして、ステージから降りる。
舞台は大成功に終わった。
そして反省会。
「なんであんな何にもない所でこけるの?」
出演者全員にツッコミ入れられた。
残りの公演では気を付けます……
この日のために、目一杯練習はしてきたけど、やっぱり緊張するし、何より恥ずかしい……
「大丈夫。
フランならやり遂げられるって。」
「そうですよ。
フランさんの晴れ舞台を特等席でみられるなんて、本当に感激ですよ。」
そりゃそうでしょうね。
なんだって、王子たち四人も出演するんだからね、間近どころじゃない距離だよね。
てか、ロナウド王子、セシル様、ポスカ君はともかく、リリーちゃんまで自分から舞台に上がりたいとか、なんか段々ヒロインキャラじゃなくなってきたね。
「フラン様とずっと一緒にいると約束したじゃないですか!」
一緒ってそういう意味じゃないでしょうが!
「でも、結局フランちゃん先生は演技やばすぎて、演出書き直しになっちゃったね。」
くっ、言うな!
だから私はステージに上がりたくなかったんだヨォ!
今回の私達の演目は、メインステージで参加せず、劇場で三日間、午前午後の二部公演。
メインステージだと、入場客の整理が上手くいかないだろうからとのこと。
その予想は的中し、劇場もお客さんで溢れかえり、入場できなかったお客さんには整理券を配って来場日時を変更してもらうようになった。
舞台裏で最終確認をした私達は、円陣を組む。
「今日から三日間、みんな頑張るぞ!」
「「「オォー!」」」
掛け声とに合わせて気合を入れているが、なぜ掛け声を団長でなくロナウド王子が?
【大変長らくお待たせいたしました。
これより、演目を開始いたします。】
ブザー代わりの鐘が鳴り、段幕が上げられた。
さぁ、ここから私達の戦いが始まる!
【ここはとある王国の森の中、王子様と家来は森の中を歩いていた。】
『ほんとうに ここにまものがでたのか?』
『はい、目撃者によると、この辺りで襲われて被害にあったと申しておりました。
個体数がかなり多く、その群れのトップの魔獣は他のものよりかなり強いと。』
この王子様役、開演前に募集をかけていた観客の少年。
立候補者はかなりの数いたそうな。
『くらえ!』
チャンバラ剣を適当に振り回して、魔物を退治していく王子様。
『えーっと……ひがくれるまえに はやくとうばつしておこう!』
途中で演者達にセリフを教えてもらいながら演技をする少年。
そこに現れた魔物の群れ。
王子様の攻撃も虚しく、家来を人質にとられた。
『くそ、どうしたらいいんだ!』
そこへ、
『『『『『俺達、私達に任せろ!』』』』
登場したのがロナウド王子、セシル様、ポスカ君、リリーちゃん、そして私。
『あ、あなたたちは?』
『俺たちが来たからにはもう大丈夫だ!』
そう言って魔物に攻撃を始める。
ロナウド王子は大剣(どでかいチャンバラ剣)、セシル様は双剣(チャンバラ剣二本)、ポスカ君は鞭(鞭部分がリボン)、リリーちゃんは弓(弓のみ。弦、矢なし)、そして私はボクシンググローブをはめている。
みんなが素晴らしいスタントで激しいアクションや殺陣をくりなす中、そんなものが出来るわけない私はみんなの影に隠れてシャドーボクシング。
途中、何もないところでガチでズッコケる。超恥ずかしい。
私がこけたのを切っ掛けに、私達は劣勢に追い込まれる。
『みんな、変身だ!』
そして五人の超早着替え。
最後にヘルメットを被り、
『雷の戦士、サンダーレンジャー!』
『音の戦士、サウンドレンジャー!』
『植物の戦士、プラントレンジャー!』
『光の戦士、ホーリーレンジャー!』
『鋼の戦士、アイアンレンジャー!』
『『『『『五人揃って、魔法戦隊マジカルレンジャー!!』』』』』
観客席に向かって決めポーズ。
観客席が湧き上がる!
サンダーレンジャーが雷撃を浴びせ、サウンドレンジャーの奏でる音色で混乱させ、プラントレンジャーの花吹雪光線で弱らせ、ホーリーレンジャーの光の矢で魔物にとどめを刺し、最後にアイアンレンジャーが魔物を檻に閉じ込める。
家来を助け、王子様のもとへ。
『ありがとう、マジカルレンジャー!』
『俺たちの事は秘密にしていてくれ。
困った時はまた助けに来るさ。』
【こうして、マジカルレンジャーと共に魔物を倒した王子様はお城へ戻り、英雄として後世に名を残し、世界は平和になりました。
めでたしめでたし。】
最後にカーテンコールで全員ステージへ。
観客席からは拍手喝采が鳴り止まない。
お辞儀をして、ステージから降りる。
舞台は大成功に終わった。
そして反省会。
「なんであんな何にもない所でこけるの?」
出演者全員にツッコミ入れられた。
残りの公演では気を付けます……
1
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
神様 なかなか転生が成功しないのですが大丈夫ですか
佐藤醤油
ファンタジー
主人公を神様が転生させたが上手くいかない。
最初は生まれる前に死亡。次は生まれた直後に親に捨てられ死亡。ネズミにかじられ死亡。毒キノコを食べて死亡。何度も何度も転生を繰り返すのだが成功しない。
「神様、もう少し暮らしぶりの良いところに転生できないのですか」
そうして転生を続け、ようやく王家に生まれる事ができた。
さあ、この転生は成功するのか?
注:ギャグ小説ではありません。
最後まで投稿して公開設定もしたので、完結にしたら公開前に完結になった。
なんで?
坊、投稿サイトは公開まで完結にならないのに。
聖女の代行、はじめました。
みるくてぃー
ファンタジー
「突然だけどこの家を出て行ってもらえるかしら」
ホント突然だよ!
いきなり突きつけられた金貨100枚の借用書。
両親を失い家を失った私は妹を連れて王都へ向かおうとするが、ついつい騙され見知らぬ領地に取り残される。
「ちょっとそこのお嬢さん、あなたのその聖女の力、困っている人たちを助けるために使いませんか?」
「そういうのは間に合っていますので」
現在進行形でこちらが困っているのに、人助けどころじゃないわよ。
一年間で金貨100枚を稼がなきゃ私たちの家が壊されるんだから!
そんな時、領主様から飛び込んでくる聖女候補生の話。えっ、一年間修行をするだけで金貨100枚差し上げます?
やります、やらせてください!
果たしてティナは意地悪候補生の中で無事やり過ごす事が出来るのか!?
いえ、王妃様の方が怖いです。
聖女シリーズ第二弾「聖女の代行、はじめました。」
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
私の風呂敷は青いあいつのよりもちょっとだけいい
しろこねこ
ファンタジー
前世を思い出した15歳のリリィが風呂敷を発見する。その風呂敷は前世の記憶にある青いロボットのもつホニャララ風呂敷のようで、それよりもちょっとだけ高性能なやつだった。風呂敷を手にしたリリィが自由を手にする。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる