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Episode01:You should marry with him
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銀座にあるSKYという名前のイタリアンレストランは、六十階建ての高層ホテルの五十一階に入っている。
スカイツリー、東京タワー、レインボーブリッチの夜景が見えるレストランは、シックなつくりとなっていて、お見合いというよりはデートに向いているような場所だ。
「座敷は足が痺れるでしょう。ロメーヌのことを考えて、ここにしたのよ」
「祖母のことを考えてくださって、ありがとうございます」
「ずっと思っていたけれど、ジャンは日本語が上手なのね」
ジャンと対面してから、絹江はすっかりご機嫌だ。
お見合いするのは萌衣ではなく、絹江なのではないかというほど、ジャンとの会話が
盛り上がっている。
「日本が好きですから。日本支社への出向も、わざわざ志願したくらいですし」
ジャンの意外な発言に、萌衣は驚いた。
てっきり萌衣はイギリスで何かやらかした為、日本に出向する羽目になったのだと思っていたのだ。
日本が好きだとは知らなかった。
初めて知る上司のプライベートな情報が、まさかこんな場所だとは夢にも思わなかったが。
ウエイターに案内された席には、既に創始者であるロメーヌ・ブラウンが座っていた。
洗練された空気を纏い、シャンパンを片手に夜景を楽しんでいる姿は、年齢を感じさせない何かを醸し出していた。
本社がイギリスにあるため、動画や雑誌などでは何度も見たことはあったが、本人に会うのは初めてだ。
「ロメーヌ!」
「キヌエ!」
二人は抱き合って抱擁を交わしている。
祖母の絹江が土地を貸しているのだから、知り合いでも何の不思議でもないのだが、萌衣からすればすごい人物と知り合いだったのだと改めて驚いてしまう。
「あなたの顔を久々に見ることができてうれしいわ」
「私もよ」
祖母が流暢な英語を話しているのを初めて聞いた。
そういえば、結婚した後、祖父にお願いをして一年の遊学期間があったと教えてもらった記憶が、ぼんやりと脳裏によぎる。
それに、萌衣の知る絹江は厳格な女性で、まるで少女のようにはしゃぐような人ではない。
「ロメーヌ。私の孫の萌衣よ。あなたの会社の東京支社で働いているの」
「あら、モエ。よろしくね。ジャンから時々話は聞いていたわ。と言っても、初めましてではないけれどね」
ロメーヌと会ったことがあるのなら、記憶に残っているはずだと、萌衣が困惑していると「会ったのは、君が赤ん坊のころだよ」とジャンが助け船を出してくれた。
それなら記憶に残っているはずがない。
失礼を働いたのかと思い、一瞬焦ってしまった。
「そうだったんですね。よろしくお願いいたします」
拙い英語で返事をすると、ロメーヌは優しく微笑んで萌衣の手を取った。
スカイツリー、東京タワー、レインボーブリッチの夜景が見えるレストランは、シックなつくりとなっていて、お見合いというよりはデートに向いているような場所だ。
「座敷は足が痺れるでしょう。ロメーヌのことを考えて、ここにしたのよ」
「祖母のことを考えてくださって、ありがとうございます」
「ずっと思っていたけれど、ジャンは日本語が上手なのね」
ジャンと対面してから、絹江はすっかりご機嫌だ。
お見合いするのは萌衣ではなく、絹江なのではないかというほど、ジャンとの会話が
盛り上がっている。
「日本が好きですから。日本支社への出向も、わざわざ志願したくらいですし」
ジャンの意外な発言に、萌衣は驚いた。
てっきり萌衣はイギリスで何かやらかした為、日本に出向する羽目になったのだと思っていたのだ。
日本が好きだとは知らなかった。
初めて知る上司のプライベートな情報が、まさかこんな場所だとは夢にも思わなかったが。
ウエイターに案内された席には、既に創始者であるロメーヌ・ブラウンが座っていた。
洗練された空気を纏い、シャンパンを片手に夜景を楽しんでいる姿は、年齢を感じさせない何かを醸し出していた。
本社がイギリスにあるため、動画や雑誌などでは何度も見たことはあったが、本人に会うのは初めてだ。
「ロメーヌ!」
「キヌエ!」
二人は抱き合って抱擁を交わしている。
祖母の絹江が土地を貸しているのだから、知り合いでも何の不思議でもないのだが、萌衣からすればすごい人物と知り合いだったのだと改めて驚いてしまう。
「あなたの顔を久々に見ることができてうれしいわ」
「私もよ」
祖母が流暢な英語を話しているのを初めて聞いた。
そういえば、結婚した後、祖父にお願いをして一年の遊学期間があったと教えてもらった記憶が、ぼんやりと脳裏によぎる。
それに、萌衣の知る絹江は厳格な女性で、まるで少女のようにはしゃぐような人ではない。
「ロメーヌ。私の孫の萌衣よ。あなたの会社の東京支社で働いているの」
「あら、モエ。よろしくね。ジャンから時々話は聞いていたわ。と言っても、初めましてではないけれどね」
ロメーヌと会ったことがあるのなら、記憶に残っているはずだと、萌衣が困惑していると「会ったのは、君が赤ん坊のころだよ」とジャンが助け船を出してくれた。
それなら記憶に残っているはずがない。
失礼を働いたのかと思い、一瞬焦ってしまった。
「そうだったんですね。よろしくお願いいたします」
拙い英語で返事をすると、ロメーヌは優しく微笑んで萌衣の手を取った。
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