366日

じゃがマヨ

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7月7日

第5話

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 彼は知ってるだろうか?

 私がもうこの世界にはいないんだということを。

 彼と出会った1年前から、世界が止まっているんだということを。


 「キスしてええ?」

 「だめ」

 「なんで?」

 「時間ないじゃん」

 「キスするだけやし」

 「嘘ばっかり」

 「嘘つきはお前やん」

 「は?」

 「昨日10時には帰ってくる言うて、帰ってこんかったやん」

 「それは…」


 彼に内緒にしていることがある。

 話そうか話すまいか、ずっと悩んでた。

 でも、話したところで、この秘密が歩ける場所がないことも知っていた。

 私はただ、彼と一緒にいたかった。

 何気ない時間を過ごしていたかった。

 それは「彼女」の願いでもあった。

 私の体の中にいる、「石神未玖」という、——少女の。


 影の外に出なきゃいけない。

 閉じ込められた時間の外に、出なきゃいけない。

 彼に話したくても、話せないことがある。

 何かを隠すつもりはないんだ。

 いっそ洗いざらい全部話して、胸のうちにあるすべてのことを打ち明けてもいいと思ってた。


 …でも、もう時間がないんだ。

 影が迫ってるんだ。

 せめて今だけは、彼と触れ合っていてもいいかもしれない。

 目を閉じていてもいいかもしれない。

 不意にそう思う自分もいた。

 まるで夢みたいな、無くしたはずの日常の前で。

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