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深淵からの使者
第196話
しおりを挟む『ファイアーアロー』のメンバーの1人、緑間桔平。
彼は夜月の指示の後、本丸御殿の屋根の上で待機していた。
ロゴスウェットを使ったカジュアルコーデに、緑色のデニムパンツ。
「スライム使い」こと水無月モモカも、彼と同じ位置で待機していた。
配置はそれぞれ四つ。
坂本は後方に陣取り、夜月と深雪は西側に場所を移していた。
「あー、さっさと帰りて~」
「ダメだよ。仕事しなきゃ」
「それお前が言う?ってか、さっきから何読んでんの?」
「図書館で借りたの。『魔女魔法使い大図鑑』。面白いよ?」
「…なんだそのインチキ臭いタイトルは。内容は?」
「魔女の道具や歴史、仲間、魔女学校の全国図とかが詳しく載ってるの」
「それのどこが面白いんだ?」
「魔女には古い歴史があるんだよ。今よりもずっとずっと昔、彼女らの祖先は、薬草の種類や人体の仕組みに豊富な知識を持ち、人々を治療したり癒しを与えたりしていた存在だったみたい。日本でも「僧侶」や「巫女」なんかが、似たような役割りを果たしていた歴史があるんだよ?」
「…あのな。お前アニメの見過ぎ」
「む。決めつけはよくない」
「お前が何かに興味を持つのって、大概そっち系だろ?それにこの前見たしな」
「何を??」
「ツタヤでレンタルしてただろ。「世紀末のワルキューレ」ってタイトルのアニメ」
「それがどうかした?」
「あんまりのめり込むなって話だ。前みたいに衝動買いしたグッズが溜まり過ぎて、部屋が大変なことになる可能性も…」
「別にいいじゃん。減るもんじゃないんだから」
「掃除を手伝わされたのは誰だったっけ?」
「えーっと、あんまりよく覚えてないなぁ」
「…コノヤロウ」
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