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友達編
夜風に乗って繋がる糸
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何となく、ほんとに何となくこの場所を訪れたくなる。
私は、いつも学校帰りに梅田駅の前で人が流れていくのを眺めていく。大阪には人が山ほど行き来する駅は難波とか他にもたくさんあるけれど、何故か梅田に行きたくなる。誰も私に目もくれず、自分の家に帰っていく人たちを見るのは飽きない。こんな生活をもう高校に入ってから2年も過ごしている。
「···。」
ふと、誰かに呼ばれた気がした。しかし、周りを見渡しても私に目を止めている人なんていなかった。気のせいかなとも思ったが、また呼ばれた。今度は気のせいじゃない。
私は、声のする方へ向かった。
そこは、少し人だかりができていて、さっきまで聞こえなかった複数の声が聞こえてきた。
「皆さん!!私たちの演奏と歌に立ち止まっていただきありがとうございます!!さっき歌った曲は、僕らが路上ライブをやろうと決めた時に作った『和音(かなで)』と言う曲です!!」
そこでは、5人の男女が路上ライブをやっていた。みんなアコギを持って横一列に並んでいる。さっき呼ばれた気がしたのは、『かなで』って言葉が歌詞に入ってたのかな···。
「ではここで、メンバーの紹介を軽くさせて頂きます!!わたくし、黒崎 圭吾といいます。主に大阪城付近で木曜に路上しているものです。」
司会らしき男性が最初に自己紹介をした。それからみんなの視線が右へ右へと動く。
「先程の『和音』を作曲させて貰った浅坂 仁といいます。奈良の方で活動しています。」
「は、初めまして…。松村 佳恵と申します…。『和音』の作詞をさせて頂きました…。よ、よろしくお願いします。」
「みんな来てくれてありがとうー!!私は那木 雫っていいます♪よろしくお願いします!!路上ライブは今回が初めてですが、ライブを良くやってるので良かったら来てねー♪」
「皆さん初めまして。早坂 晃と申します。よくここで路上ライブをしているので皆さん僕の事知ってる方も多いと思いますが、改めてよろしくお願いします。」
自己紹介が全て終わり、その場にいたみんなの視線が黒崎に向いた。
「では、これから五人それぞれ一曲歌っていきます!!今立ち止まってくださっている方々、最後までお楽しみ下さい。」
それから5人それぞれ一曲ずつ歌っていき、『和音』を作曲した浅坂という人は自分の曲を歌い、早坂という人はいつもここで歌っている曲を歌っていた。
ライブが終わり、聞いていた人達みんなが次々と帰っていく。でも私は、その五人に聞きたいことがあった。
「あ、あの…。」
気づいたのは、自己紹介の時気が弱そうだった松村だった。
「どうかされましたか…?」
「松村さんどうしたの?」
後片付けをしていた那木が、こっちに来た。それに気づいたほかのメンバーもこちらに気づき、五人の目が私に向けられた。
「や、ああの…。皆さんギターうまいなと思いまして。」
「路上ライブ見てくださっていたんですね!ありがとうございます!僕は黒崎と申します。」
「わ、私はみと かなでといいます。美しいに都会の都で、かなでは和音と書いて…」
「『和音』って今日最初に歌った曲と同じ名前じゃん!!これって運命じゃない?」
運命と口にしたのは最後に自己紹介していた早坂だった。
この人自己紹介の時真面目そうだったけど、運命って···。ってそんな事どうでもいい。
「あの。私もギターをやっていて。皆さん見ててすごいなって思って…。ホームの前にいつもいるんですけど、今日和音って聞こえて、来てみたら皆さんがいてって感じで…。」
「「ええ?!」」
五人が声を揃えて叫び、和音は反射的に後ろへ一歩下がってしまった。
ええ、そこまで驚く···?と思っていると黒崎が
「驚かせてしまってすみません。ただ、ここからホームまで結構距離ありますし、我々マイクを使ってましたが人混みの中から私たちの声を聞き取れたことに驚いていて···。」
「ねえねえ!!和音ちゃん!!一緒に路上ライブやらない?!明日もやるんだけ···どっゴツ」
那木が喋っている途中、浅坂に頭を殴られた。
「美都さん···だっけ?ごめんね。那木はすぐ懐こうとするから。」
「いえ···。大丈夫です。」
「でも、今回は那木の案いいかもしれないな」
腕を組んで黒崎が言った。
「何、今回はって!!ゴツ」
那木が口を挟もうとしたがまた浅坂に殴られている。
「美都さん。自分が歌われた音源など今ありますか?」
「ありますけど···。私まだ路上ライブなんて。」
「僕らもまだまだ初心者同然です。僕らの音楽と、僕らに賭けて見ませんか?」
と、黒崎が言った。
私は、少し黙ったあと、スマホに入っている音源を黒崎に渡した。
「ありがとうございます。」
黒崎が私のスマホを受け取り、その周りを四人が囲む形になった。
···。音源を聴き終わったあと、黒崎の手から私の手にスマホが握られる。
「美都 和音さん。僕らのユニットに加入しませんか?」
と、真剣な目を私に向けながら、黒崎が言った。
その後、浅坂が、
「美都さんの歌声は、今の俺らに欠かせないものになると俺は思った。」
「「同じく!!」」
ほかのメンバーが声を揃えて言った。
「わ、私が···皆さんと歌う···?私なんかでいいんですか?」
「「はい!!」」
五人揃って私の目を見ていた。みんなの目は、キラキラしていて私に向けられてるんだと思い知らされる。
「よ、よろしくお願いします」
和音は、深々と頭を下げた。顔を上げると、みんな嬉しそうな笑顔で、私は心から嬉しい気持ちと、未来への楽しみに心が踊っていた。
《続》
私は、いつも学校帰りに梅田駅の前で人が流れていくのを眺めていく。大阪には人が山ほど行き来する駅は難波とか他にもたくさんあるけれど、何故か梅田に行きたくなる。誰も私に目もくれず、自分の家に帰っていく人たちを見るのは飽きない。こんな生活をもう高校に入ってから2年も過ごしている。
「···。」
ふと、誰かに呼ばれた気がした。しかし、周りを見渡しても私に目を止めている人なんていなかった。気のせいかなとも思ったが、また呼ばれた。今度は気のせいじゃない。
私は、声のする方へ向かった。
そこは、少し人だかりができていて、さっきまで聞こえなかった複数の声が聞こえてきた。
「皆さん!!私たちの演奏と歌に立ち止まっていただきありがとうございます!!さっき歌った曲は、僕らが路上ライブをやろうと決めた時に作った『和音(かなで)』と言う曲です!!」
そこでは、5人の男女が路上ライブをやっていた。みんなアコギを持って横一列に並んでいる。さっき呼ばれた気がしたのは、『かなで』って言葉が歌詞に入ってたのかな···。
「ではここで、メンバーの紹介を軽くさせて頂きます!!わたくし、黒崎 圭吾といいます。主に大阪城付近で木曜に路上しているものです。」
司会らしき男性が最初に自己紹介をした。それからみんなの視線が右へ右へと動く。
「先程の『和音』を作曲させて貰った浅坂 仁といいます。奈良の方で活動しています。」
「は、初めまして…。松村 佳恵と申します…。『和音』の作詞をさせて頂きました…。よ、よろしくお願いします。」
「みんな来てくれてありがとうー!!私は那木 雫っていいます♪よろしくお願いします!!路上ライブは今回が初めてですが、ライブを良くやってるので良かったら来てねー♪」
「皆さん初めまして。早坂 晃と申します。よくここで路上ライブをしているので皆さん僕の事知ってる方も多いと思いますが、改めてよろしくお願いします。」
自己紹介が全て終わり、その場にいたみんなの視線が黒崎に向いた。
「では、これから五人それぞれ一曲歌っていきます!!今立ち止まってくださっている方々、最後までお楽しみ下さい。」
それから5人それぞれ一曲ずつ歌っていき、『和音』を作曲した浅坂という人は自分の曲を歌い、早坂という人はいつもここで歌っている曲を歌っていた。
ライブが終わり、聞いていた人達みんなが次々と帰っていく。でも私は、その五人に聞きたいことがあった。
「あ、あの…。」
気づいたのは、自己紹介の時気が弱そうだった松村だった。
「どうかされましたか…?」
「松村さんどうしたの?」
後片付けをしていた那木が、こっちに来た。それに気づいたほかのメンバーもこちらに気づき、五人の目が私に向けられた。
「や、ああの…。皆さんギターうまいなと思いまして。」
「路上ライブ見てくださっていたんですね!ありがとうございます!僕は黒崎と申します。」
「わ、私はみと かなでといいます。美しいに都会の都で、かなでは和音と書いて…」
「『和音』って今日最初に歌った曲と同じ名前じゃん!!これって運命じゃない?」
運命と口にしたのは最後に自己紹介していた早坂だった。
この人自己紹介の時真面目そうだったけど、運命って···。ってそんな事どうでもいい。
「あの。私もギターをやっていて。皆さん見ててすごいなって思って…。ホームの前にいつもいるんですけど、今日和音って聞こえて、来てみたら皆さんがいてって感じで…。」
「「ええ?!」」
五人が声を揃えて叫び、和音は反射的に後ろへ一歩下がってしまった。
ええ、そこまで驚く···?と思っていると黒崎が
「驚かせてしまってすみません。ただ、ここからホームまで結構距離ありますし、我々マイクを使ってましたが人混みの中から私たちの声を聞き取れたことに驚いていて···。」
「ねえねえ!!和音ちゃん!!一緒に路上ライブやらない?!明日もやるんだけ···どっゴツ」
那木が喋っている途中、浅坂に頭を殴られた。
「美都さん···だっけ?ごめんね。那木はすぐ懐こうとするから。」
「いえ···。大丈夫です。」
「でも、今回は那木の案いいかもしれないな」
腕を組んで黒崎が言った。
「何、今回はって!!ゴツ」
那木が口を挟もうとしたがまた浅坂に殴られている。
「美都さん。自分が歌われた音源など今ありますか?」
「ありますけど···。私まだ路上ライブなんて。」
「僕らもまだまだ初心者同然です。僕らの音楽と、僕らに賭けて見ませんか?」
と、黒崎が言った。
私は、少し黙ったあと、スマホに入っている音源を黒崎に渡した。
「ありがとうございます。」
黒崎が私のスマホを受け取り、その周りを四人が囲む形になった。
···。音源を聴き終わったあと、黒崎の手から私の手にスマホが握られる。
「美都 和音さん。僕らのユニットに加入しませんか?」
と、真剣な目を私に向けながら、黒崎が言った。
その後、浅坂が、
「美都さんの歌声は、今の俺らに欠かせないものになると俺は思った。」
「「同じく!!」」
ほかのメンバーが声を揃えて言った。
「わ、私が···皆さんと歌う···?私なんかでいいんですか?」
「「はい!!」」
五人揃って私の目を見ていた。みんなの目は、キラキラしていて私に向けられてるんだと思い知らされる。
「よ、よろしくお願いします」
和音は、深々と頭を下げた。顔を上げると、みんな嬉しそうな笑顔で、私は心から嬉しい気持ちと、未来への楽しみに心が踊っていた。
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