私を信じてはくれなかった婚約者の事なんて忘れたい。

瑠渡

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ロイスと何年かぶりに2人で会った

懐かしい、恥ずかしい、恋をしていた時なら嬉しい気持ちで舞い上がっていただろうが、今は少し違う気持ち

なんか私も自然と受け入れていたのだな


ロイスはずっと私を探していたんだと言った。

自分が愚かだったことが、両親の調べた事からわかり、マリィ様と距離を置くこととなったが、私へ間違った仕打ちをしてしまった事をずっと悔いていたそうだ。

マリィ様が修道院へ送られた事には驚いたが、それほどの事をしていたからと、ロイスに言われ納得してしまった。

「ずっと探していたんだセシィ。もう一度僕にチャンスが欲しい。
もし、この国にいたいと言うなら、僕を婿として受け入れて欲しい」


びっくりした

だって、ロイスは嫡男よ。私なんかのために今まで築いていた地位を捨てるなんて……


そう伝えたら

「僕はセシィと一緒にいられるなら、どんなことも耐えられるよ。なに、また頑張る」

そういって笑っていた

「今、お付き合いしている人がいるの。まだ友人としてだけど、友人以上の気持ちが芽生えてきてるの」
 
そう伝えた



「そうか……うーん。
でも、まだ諦めきれない。だって、その人ともまだ結婚の約束まではいってないのだろう?僕は元婚約者だけど、これからは友人として側にいさせてくれないか?」


ロイスの押しの強さにビックリした。



だからと言って、その後は一定の距離をもって接してくれたので、あの言葉は社交辞令?私の聞き間違いかとも思えるくらい、何にもなく月日は過ぎていった。



最初は私も緊張していたのか、王族を相手にすることで毎日がいっぱいいっぱいだったが、それも段々と慣れて気がつけば半年も経っていた。




ラウル殿下は金髪に、空よりも青い瞳の美男子だ。
ミュウル国にいた時も、確か噂で綺麗な王子様だと聞いたことがある。
第二王子だが、臣下には降りず王太子を支えてゆくことになっているそうだ。
まだ婚約者を決めかねているそうで、国には5人の候補がいるらしい。

そして、その横には側近のロイスがいる。 
ロイスも振り返ってしまうほどの美男子なので、2人が並んで会話をしていると、そこだけ違う世界のようだ。
ロイスも婚約破棄してから邸には釣書が沢山届いているらしいが、私を探すことに重きを置いていたらしい。


遠目に見ていたクラスの子達が、どんどん慣れて浮かれてきてしまっているし、廊下にも他クラスの子達が休み時間になると殿下が通るのを待っている。


授業時間は流石に高位貴族の令嬢達なので、キチンとしていることが救いだ。



ロイスとはその後、何度か殿下の事や、ハーサン国の話を聞きたいと、一緒に学園の応接室でお茶をしたりしている。もちろん、副担任の先生も一緒にいることが多い。

我が家にもロイスは何回か来て両親と再会し、懐かしさから円満に話ができるようになっていた。

アベンさんともロイスは話す機会があるらしく、学校で話しているのを何回か見かけた。



それより、アベンさんの元彼女、マリエッタ様をよく学園の側で見かけるようになった。
それも、アベンさんと話しているのを。
胸がチクっとするのだが、家庭教師をしているから悩みを相談されることがあると、アベンさんが言っていたので、どんどん恋心が芽生えて来ている私は嫌な気持ちはあるが、何も言えなかった。

そんな中、令嬢達の殿下を取り合うような姿が学園で問題になり、学園長から釘を刺された私は、その対処に時間がかかり、なかなかアベンさんと話をする機会があまり無くなっていた。

休みの日にはアベンさんと出かけたいな。と思って、週末に声をかけようと思うのだが、教務室に戻る頃にはアベンさんは既に帰っている事が多く、会えずじまいだ。


今日も休みなのに約束出来ず、お母様から頼まれた刺繍糸を店に取りに行こうと1人で隣町まで向かい、いろんな店をブラっと見てまわっている。

帰ろうと停めてある馬車まで歩いている時、レストランのテラスに仲良く楽しそうに笑いあいながら食事をするカップルが見えた。その2人がアベンさんとマリエッタ様だと気がついた瞬間、足が鉛のように重くなった。


「……っ」


なんで?なんで?もうつきあっていない!私に誤解させるようなことはしないってアベンさん言ってたのに………


2人はいつのまに?


なんで?アベンさんは私を嫌いになったの?


そんな風に考えてしまっていた私は立ち尽くし、楽しそうな2人を、呆然と見てしまっていた。


そんな時……笑いながらアベンさんが私に気がついたようだった。


ビックリして顔色を変えたアベンさん


そして………私から目を剃らした


あっ………もしかしたら私は今………ふられた?


「うっ………」涙が頬を伝う



私は、自分でもわかる程、動揺しながら慌ててその場から重くなった足を動かし走るように逃げた



アベンさんが私を追いかけて来ることは……………なかった





そして次の日学校でも、アベンさんが私に話しかけることも、目を合わせることもなかった。































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