1度だけでも会えたなら、私達には天使がいるのだと言いたい

瑠渡

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◯月◯日

入学してから………

私はまだ皇太子から逃げている

何故ほっといてくれないのだろうか?

何故いつもランチに誘うの?

逃げるのが大変なんだけど!

生徒会室?行くわけないでしょ!

「モリス嬢、今日も美しいね。
今度の休み、王宮へ来ないかい?
バラが綺麗に咲いていてね。」

「殿下、お誘いありがとう存じます。今度の休みは、領地の方へ行っております。」

「そうなのかい?だが、バラが見ごろでね。ぜひモリス嬢に見てもらいたいのだ。日にちを変えられないのかい?」


(しつこいな!皇太子、お前にはバラを見せる婚約者候補がいるだろうがっ!)

「申し訳ありません。弟と必ず行くと領民の子供に話してありまして。申し訳ありません。」

「そうか………領地で困ったことがあるならば、いつでも私が相談に乗ることにしよう」

「あ、ありがとうございます」

(まさか?私を側妃にでもするつもりじゃないでしょうね?)


「では、失礼いたします」

やっと教室へ入れる

「モリス嬢」

「はい?」

「あの……今度のお休み「すみません、用事がありまして」えっ?そう?チッ」


(チッって舌打ちする人は苦手よ)



そして、またあの女性に足をかけられた。

「痛っ」

「あら、ごめんなさい。歩いてきたのがわからなくて~。あっ、殿下~お待ちになって~」



「………」


彼女は、皇太子の婚約者候補なのだ。
だからずっと私を敵対視している。
そりゃー、婚約者候補の目の前で、他の女性に話しかけてれば気分も悪いってものよね。


私はスッと立ち上がり、歩を進める。

(うぅ~、痛いじゃねーか)


「キディ、ついてきて頂戴。」

「はいよ!また足かけられてたわね」


「あの人、嫌い」


「あの人を好きな人なんている?」

「皇太子」

「そうだったわね。」

「「ふふっ」」

「キディ、あの人が皇太子妃になり、皇妃になったのなら、私は国を出るわ。だって、夜会で会うたびに足をかけられちゃうもの」


「そうね、その方が良いわ」


「「ふふっ」」





授業も終わり、帰ろうと席を立つ時にスッと隣から小さな畳まれた紙が置かれた。

「………何?」


だがその問いかけに答えることもなくリュド様は立ち去った。

小さな紙を握りしめ暫しボーッとする。

(ゴミ?まさかね)

その小さなゴミのような紙をポケットにしまい、キディの側へ慌てて行く。
そして女五人衆のように、今日も学園から帰る。

楽しい帰り道。

でも私の心の中は………

ポケットに入れた小さな畳まれた紙片。

ポケットに手を入れて確認する

(ゴミ?……何?)



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