1度だけでも会えたなら、私達には天使がいるのだと言いたい

瑠渡

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歩きだした私にまさかリュド様がついてきているとは思わなかった


「モリス嬢?」



ビクッ

「モリス嬢だよね?」

「あら、わかっちゃいましたか?
お久しぶりでございます。
お元気でしたでしょうか?」

「ああ、やっぱり。なんか既視感があったから……久しぶりだね。君は仕事?」

「えぇ。私はこの、王宮で官女として働いています」

「パパ?」

「ちよっと待って。モリス嬢、また会えたら」

「パパ、早く行こう!」


「待ちなさい!助けてくれてありがとう。必ずまた。」

パタパタパタッ


ふっ、リュド様に似て可愛い子。

気がつかれるとは思わなかったな


次の日、回廊の向こう側でリュド様が見えた。
あの男の子がリュド様を引っ張って噴水の方へ行くところだった。
可愛がってるんだなぁ。
そりゃそうだ。息子なんだから。

1カ月の滞在だったか……


また話せたらって……ふっ、社交辞令だわよね


なのに………


エレン王女が一緒に視察へ行くことになり、付き従って国の視察団と合流した。
その時、リュド様がこそっと近づき、「今日話が出きるか?」と聞いてきたので、「夕方には」と答えた。
「じゃあ、この前会ったあそこで夕方の鐘がなったら来て欲しい」と言われた。

私、ドキッとしたのがわかっちゃったかしら?

視察からお帰りになったエレン王女を馬車の所まで迎えに行き、リュド様がいるかと思ったが、いらっしゃらなかった。残念

私ったら、舞い上がってる?
モリス、ダメよ。

でも、少しだけ……少しだけ









「こんばんは」


「こんばんは」

「「…………」」


「すまない、呼んどいて黙ってしまって。時間を作ってもらって感謝する。何年ぶりだろうか?4年?」

「そうですね、そのくらい経ちます。リュド様直ぐに婚姻されたと聞きました。お子様は3歳くらいですか?」


「あぁ……そうだな、
誤解されてるとは思ったんだ。
僕は婚姻していないだ。僕をパパと呼んだ息子は確かに僕の籍に入れてあるが、僕の従兄弟の子供なんだ。いろいろあって僕の子としているが、この国から帰ったら直に母親の所へ巣立つことになっている。その時に僕の籍からも抜けるのだけれど。息子は待ち遠しくね、早く母親のところに行きたくてうずうずしてるんだ。ああ、心配いらないよ。愛情のある人達の所へ行かれるんだ。」


「色々事情があるのですね」


「ああ、辛いことがね。………君と学園を一緒に卒業したかったな」

「えっ?」

「僕はね、君に恋をしていたんだ。女性とは、明るく話しかければ機嫌良くしていてくれる。
自惚れととられるかもしれないが、自国でも女性に追いかけられるに慣れていて、寄って来られたら優しく微笑めば喜んでくれる。まぁ、そんな風に考えていたんだ。でもね、隣の君には声もかけられなかった。おはようと、君から言われると何故かいつものように微笑むことができなかった。そしていつの間にか、君に恋をしていた。だから、最後にヒマワリの絵とか種を送った。花言葉知ってる?」



「後で気がつきました。
私もそうです。
リュド様から紙片が届くようになり、それを喜んでいる私がいました。
貴方がハリオットラ国へ帰って、初めて恋していたことに気がつきました。」



「もう諦めてたんだ。だけどこの国への視察が決まった時、君に会える。君に会いたいと思った。だから、すごく嬉しいよ。視察さえ終われば後は時間がある。君と帰るまで会っていたい」

「私も」

お互いの想いを確かめてから、リュド様と私の許される時間、私達は会い続けた。
朝まで一緒にいることもあった。
リュド様と初めて過ごした夜、「愛してる、君と絶対一緒になるよ」そう言ってもらえて嬉しかった。
「私もリュド様とずっと一緒にいたい。愛しています」そう伝えた。
明日リュド様が国へ帰る。
リュド様は必ず迎えに来るからと言い、私は待ってますと返事した




(両親の恋を盗み見ているようで恥ずかしい。あら、次は日記の日付がだいぶ経ってからだわ)





◯月◯日



リュド様からは、手紙を何回出しても連絡はないし、迎えにも来てくれない

そして半年過ぎた頃、私宛てにリュド様の家から手紙が届き、読んで呆然としてしまった。




「そんなっ」



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