1度だけでも会えたなら、私達には天使がいるのだと言いたい

瑠渡

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学園を卒業する日が近づいて来た

リュド様達はあれから戻っては来なかった

そして……無事に婚姻されたと風の便りで聞いた

学生のうちに婚姻することは珍しくもない

リュド様のように容姿端麗だと言い寄ってくる令嬢が沢山いるので、何かあったらいけないと、婚姻を早めたと言う話も聞こえてきた。

初めて恋をして、あっという間に失恋した。

これは、いくら仲の良いキディにも秘密にした。


私へも卒業前に釣書が沢山届き、困った状態になった。
その中には公爵家からもあり、断るのが難しいと父様に言われたが、
その前に官女の試験を受け受かっていたこともあり、公爵閣下が嫡男を説き伏せ、釣書は無かったことになった。
うまく嫡男へ諦める口実ができ、安心したとも言われた。
公爵子息は、簡単に諦めた。
それは、私という人を見ているのではなく、お飾りのような妻が欲しかったのだな………なんか、私って軽く見られてるのだな。と、改めて思ったと同時に、リュド様が早くに婚姻されたことも何となくわかるような気がした。

私は頑張って、上を目指し総官女になるんだからっ!

そんなこともあり、仕事へ行くときは伊達メガネをかけていくことにした。
両親からも、あなたの瞳の色は素敵だから雲って見えた方が良いと、薄ら色のあるメガネを用意してくれた。


卒業後、1年たち、2年たち……
リュド様にもらったヒマワリの花は邸の裏の丘で沢山咲いている

リュド様、今年も沢山咲きましたよ。


そう皇太子だが、あの足ひっかけ令嬢とは婚姻しなかった。

皇太子には、隣国から第一王女との縁談が急に持ち上がり、政治的な事もあり彼女とは婚約候補も解除になった。

彼女には悪いが、官女を続けられることになって良かったわ。
じゃなかったら、私は仕事を辞めなきゃいけなくなるところだった。


足ひっかけ令嬢は、王宮から遠い領地を持つ、侯爵家へ嫁いで行った。





リュド様の国、ハリオットラ国から視察団が来ている

皇太子の婚姻式もあり、今は大忙しだ

回廊を歩いていたら、小さな男の子が私の方へ走ってきて、そして転んだ

心の中で(あーあ)と思ったが、

「ボク、大丈夫?」と声をかけ、
立たせた。

少しグズっていたが、ちょうど王女様からもらったクッキーが、あったので「食べますか?」と渡そうと袋から出していたら、男の人の手が伸びてきた。
「助けて頂き、ありがとうございます。お菓子は遠慮しておきます」

そう言って抱き上げようとした人の袖口に見慣れたカフスボタンが見えた。


(えっ?ヒマワリ)


「パパ~!」

「シュン、1人で行ってはダメだろう」

チラッとその人の顔を見た

(リュド様だ……)

私は咄嗟に何故か下を向いてしまった

「子供を助けて頂いて」

「いえ、怪我がなくて良かったです。では、失礼致します」


(彼だ。お子様もいらっしゃるのね)

そうよね、なんか心が痛い

婚姻されているのだから子供がいてもおかしくない。
歩きながら、何故か私は泣けてきた。


2度目の失恋だ





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