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混乱
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クロードが屋敷に戻って行き、私は残りの仕事を終えると部屋に戻った。
「あのね、フィリシア」
同じ部屋のマリエッタが、寝る準備を始める私に声を掛けた。
「どうしたの?」
「今日、トゥーリスさんが、クロード様を招待するのにお屋敷に行ったでしょ。その時、シュナイダーさんから聞いたみたいなんだけど」
向こうの屋敷の話か。
「明日あたり、エリーズ様の侍女が到着するんですって」
いよいよ来るのか。
エリーズの面倒を見るとなると、メグとモニカ辺りかしら。
2人ともエリーズの言いなりで、フィリシアのことを虐めていたのよね。
「お屋敷の方はどうなるのかしら。クロード様もお屋敷に帰るのが嫌だったみたいだし」
その原因の半分は私だな。
帰る時も、私と離れるのが寂しいと顔に書いてあったし。
「お屋敷は大丈夫よ。クロード様の侍女達が言ってたじゃない。辺境伯家の侍女はヤワじゃないって」
「それはそうなんだけど」
はっきりは言わないけど、マリエッタもエリーズが嫌いなのは分かる。
「大丈夫よ。皆んながクロード様を守るわ。いざとなっなら、私がエリーズ様の好きな様にはさせない」
そう。
いざとなれば、エリーズをこの世から消して、私はクロードの前から去れば良い。
私がフィリシアとして生き返った意味があるとすれば、私は死の直前のフィリシアに託されたのかもしれない。
自分の代わりに、エリーズを殺てくれと。
エリーズの侍女達が到着したのをクロードから聞いたのは、ジョージがクロードと一緒に東の館で夕食を終えた後だった。
連日私は、クロードとジョージに書斎に呼ばれた。
「メグとモニカという、エリーズと年の近い侍女が2人到着したのだけど、フィリシアも知っている侍女達かい?」
やっぱりメグとモニカか。
「はい。私がミュルゲール家でお世話になっていた時に、2人と一緒にエリーズ様のお世話係をしていました」
フィリシアは男爵夫人の世話までさせられていたから、ミュルゲール男爵が家にいる時以外は、働かされっぱなしだったけどね。
「シュナイダーから、今日辺り到着するとは前から聞いていたんだけどすっかり忘れていてね。仕事から戻ったら見知らぬ侍女達が居て驚いたよ」
クロードは本当にエリーズに全く興味がないんだな。
それなのにエリーズが必死になって、クロードに気に入られようとしてると思うと笑える。
「近々、エリーズ主催のパーティーもする事になっているので、少しは私への執着が無くなればと思うんだけどね」
ああ、例の招待状がどうのと言う話か。
「それとこれとは別な様な気もするけどな」
ジョージが水を差すと、クロードはムッとしてジョージを見る。
「確かに昨日も、帰るなりエントランスで待ち構えていて、クドクドとフィリシアと会っているのが面白く無い様な事を言われたよ」
「お疲れ様でした」
ゲンナリするクロードを私は労った。
「フィリシアがここにいる間は、エリーズはフィリシアに近づけないから安心なんだけどね」
クロードは優しい笑顔を私に向ける。
「おい。その番犬役を僕にやらせてると聞こえるぞ」
その甘い空気に、番犬、いや、ジョージが吠えた。
でもクロードはそのつもりだった様で、ジョージに何も言い返せなくてただ笑って誤魔化している。
「あーあ、まさかクロードがエリーズと婚約すると聞いた時は、こんな事になるとは思ってなかったよ」
「そうだな。まさか、フィリシアと出会うとは思ってなかった」
ジョージは惚気を聞かされてると言った顔になる。
でも、本当にそうよね。
私がフィリシアの体に入り込まなかったら、フィリシアじゃなくて他の人間がクロードの夜伽相手になっていたんだもの。
でも、もしその世界線だったら、クロードはその侍女を抱いていたのかしら?
その相手は、メグかモニカだったのかしら?
それとも、私の時の様に誰も抱く事は無かったのかしら。
あー!
何を私は考えてる?
自分の気持ちも分かってないくせに、クロードが他の女を抱いたとしても、私が考える事じゃないじゃない!
「どうした?フィリシア。顔をブンブンと振って」
やだ。
無意識に私、顔を振ってたのかしら。
「いえ、何でもないです」
なんか、めっちゃ恥ずかしい。
「クロードがフィリシアを可愛がるから、混乱してるんじゃないのか?」
おいッ!ジョージ!
冷静に確信に触れないでよッ!
「仕方ないだろ。私はフィリシアが可愛いんだ。私の事を1番大切にしてくれる女性なんだから」
うわッ!
クロードが開き直った。
「でも、私はフィリシアを縛りたい訳じゃない。もしフィリシアがここから出て行きたいと思ったら、私はフィリシアを旅立たせるよ」
クロードはそう言ってくれるけど、そう言う時はいつも悲しそうな目をするんだもんなぁ。
私は……。
私はどうしたいんだろう。
1人で生きていくと思ったり、クロードから離れたくないと思ったり。
私の気持ちは、自分でも分からないほどコロコロ変わる。
でもこの気持ちの意味が、私には分からない。
分からないけど、こんな気持ちになるのは、何となく悪くないと思ってしまう。
「あのね、フィリシア」
同じ部屋のマリエッタが、寝る準備を始める私に声を掛けた。
「どうしたの?」
「今日、トゥーリスさんが、クロード様を招待するのにお屋敷に行ったでしょ。その時、シュナイダーさんから聞いたみたいなんだけど」
向こうの屋敷の話か。
「明日あたり、エリーズ様の侍女が到着するんですって」
いよいよ来るのか。
エリーズの面倒を見るとなると、メグとモニカ辺りかしら。
2人ともエリーズの言いなりで、フィリシアのことを虐めていたのよね。
「お屋敷の方はどうなるのかしら。クロード様もお屋敷に帰るのが嫌だったみたいだし」
その原因の半分は私だな。
帰る時も、私と離れるのが寂しいと顔に書いてあったし。
「お屋敷は大丈夫よ。クロード様の侍女達が言ってたじゃない。辺境伯家の侍女はヤワじゃないって」
「それはそうなんだけど」
はっきりは言わないけど、マリエッタもエリーズが嫌いなのは分かる。
「大丈夫よ。皆んながクロード様を守るわ。いざとなっなら、私がエリーズ様の好きな様にはさせない」
そう。
いざとなれば、エリーズをこの世から消して、私はクロードの前から去れば良い。
私がフィリシアとして生き返った意味があるとすれば、私は死の直前のフィリシアに託されたのかもしれない。
自分の代わりに、エリーズを殺てくれと。
エリーズの侍女達が到着したのをクロードから聞いたのは、ジョージがクロードと一緒に東の館で夕食を終えた後だった。
連日私は、クロードとジョージに書斎に呼ばれた。
「メグとモニカという、エリーズと年の近い侍女が2人到着したのだけど、フィリシアも知っている侍女達かい?」
やっぱりメグとモニカか。
「はい。私がミュルゲール家でお世話になっていた時に、2人と一緒にエリーズ様のお世話係をしていました」
フィリシアは男爵夫人の世話までさせられていたから、ミュルゲール男爵が家にいる時以外は、働かされっぱなしだったけどね。
「シュナイダーから、今日辺り到着するとは前から聞いていたんだけどすっかり忘れていてね。仕事から戻ったら見知らぬ侍女達が居て驚いたよ」
クロードは本当にエリーズに全く興味がないんだな。
それなのにエリーズが必死になって、クロードに気に入られようとしてると思うと笑える。
「近々、エリーズ主催のパーティーもする事になっているので、少しは私への執着が無くなればと思うんだけどね」
ああ、例の招待状がどうのと言う話か。
「それとこれとは別な様な気もするけどな」
ジョージが水を差すと、クロードはムッとしてジョージを見る。
「確かに昨日も、帰るなりエントランスで待ち構えていて、クドクドとフィリシアと会っているのが面白く無い様な事を言われたよ」
「お疲れ様でした」
ゲンナリするクロードを私は労った。
「フィリシアがここにいる間は、エリーズはフィリシアに近づけないから安心なんだけどね」
クロードは優しい笑顔を私に向ける。
「おい。その番犬役を僕にやらせてると聞こえるぞ」
その甘い空気に、番犬、いや、ジョージが吠えた。
でもクロードはそのつもりだった様で、ジョージに何も言い返せなくてただ笑って誤魔化している。
「あーあ、まさかクロードがエリーズと婚約すると聞いた時は、こんな事になるとは思ってなかったよ」
「そうだな。まさか、フィリシアと出会うとは思ってなかった」
ジョージは惚気を聞かされてると言った顔になる。
でも、本当にそうよね。
私がフィリシアの体に入り込まなかったら、フィリシアじゃなくて他の人間がクロードの夜伽相手になっていたんだもの。
でも、もしその世界線だったら、クロードはその侍女を抱いていたのかしら?
その相手は、メグかモニカだったのかしら?
それとも、私の時の様に誰も抱く事は無かったのかしら。
あー!
何を私は考えてる?
自分の気持ちも分かってないくせに、クロードが他の女を抱いたとしても、私が考える事じゃないじゃない!
「どうした?フィリシア。顔をブンブンと振って」
やだ。
無意識に私、顔を振ってたのかしら。
「いえ、何でもないです」
なんか、めっちゃ恥ずかしい。
「クロードがフィリシアを可愛がるから、混乱してるんじゃないのか?」
おいッ!ジョージ!
冷静に確信に触れないでよッ!
「仕方ないだろ。私はフィリシアが可愛いんだ。私の事を1番大切にしてくれる女性なんだから」
うわッ!
クロードが開き直った。
「でも、私はフィリシアを縛りたい訳じゃない。もしフィリシアがここから出て行きたいと思ったら、私はフィリシアを旅立たせるよ」
クロードはそう言ってくれるけど、そう言う時はいつも悲しそうな目をするんだもんなぁ。
私は……。
私はどうしたいんだろう。
1人で生きていくと思ったり、クロードから離れたくないと思ったり。
私の気持ちは、自分でも分からないほどコロコロ変わる。
でもこの気持ちの意味が、私には分からない。
分からないけど、こんな気持ちになるのは、何となく悪くないと思ってしまう。
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