長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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溺れる人魚

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栞は自分の部屋でスマホを見てはため息を吐いた。
一夜から連絡が一切かかって来なくなった。
あの朝不自然な帰り方をしたので、一夜に嫌われたのかも。と思った。
ジェイクの噂はもちろん人事部の栞にもしっかり聞こえていた。一夜並みのイケメン。メガネが似合うインテリタイプとみんなが騒いでいた。


 一夜に会いたい。でも、会っても結局身体だけ。それも中途半端。


グジグジ栞が悩んでいるとスマホが鳴った。
相手が一夜だったので、栞は慌てて出た。

「もしもし」

『もしもし』

一夜の声に胸が熱くなる。

『元気?どうしてるか気になって電話した』

一夜のセクシーな声だけで感じてしまう。身体の芯が熱くなる。

『栞?』

心配そうな一夜の声。

「元気よ。ただ、一夜に嫌われたかと思った」

栞の言っていることが一夜には理解できなかった。一夜は自分が引かれたと思っていたから。

『嫌いじゃないよ』

一夜の声に泣きそうになる。

「じゃあ、好き?」

栞の問いに、一夜は答えない。

「好き?」

もう一度栞は聞く。

『栞の言う好きが恋愛に結びついてるなら違う好きかな』

一夜のズルい答え。

「じゃあ、どんな好き?」

『可愛がりたい、好き』

即答に栞は笑った。

「それってあたしペットみたい。そんなのイヤ」

栞がきっぱり言うと、一夜は返事を返した。

『分かった。もう連絡しない。じゃあ』

一夜は栞の言葉を聞かず電話を切った。


 冷たいなー。
 そんな簡単なことだったんだ。
 あたしはペットで、それだけだった。
 もう、本当におしまいなんだ。


栞はそう思うと切なくて悔しくて、一夜に電話を掛けてしまった。

『……どうした?』

一夜はすぐ出た。

「ペットでもいい。一夜にもっと触られたい」

自分でも何を言ってるか、栞は分からなくなっていた。

『僕は君に恋しないよ』

期待を持たせないように一夜は言った。

「分かってる。一夜は冷たいもん」

栞の言葉に一夜は笑った。

『今、何してた?』

「ずっとスマホ見てた。一夜と会いたくて」

栞が素直に言うと一夜が優しく笑った。

『次はいつ会う?』

一夜の誘いに栞は胸が高鳴る。一夜の顔を浮かべるだけで感じてしまう。
栞は我慢できなくなってきて、右手をスウェットのパンツの中に入れてしまった。

「いつ会える?」

聞きながら栞の手は下着の中に入った。

『そうだなー。日曜日は?』

耳元で囁かれてるようで、栞はさらに感じる。もう露があふれている。

「う、うん。大丈夫よ」

抑えても声が少し上擦った。中指で入り口を弄る。
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