長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

文字の大きさ
39 / 149
溺れる人魚

39

しおりを挟む
『じゃあ、僕のマンションに来て』

一夜の声に反応して、指が動き出す。

「うん」

一夜にバレないように、言葉を短くする。スウェットのパンツと下着を脱いだ。
弄るたびに、グチュグチュ音がする。


 一夜にバレたら恥ずかしい。でも、バレてもいい。


ドキドキしながらさらに弄る。

『あれから、一人でした?』

一夜の質問に栞は息が止まりそうになった。
まさか今、電話しながら触ってると言えない。

「ご、ごそーぞーに、お任せします」

栞の言い方に、一夜は栞が恥じらってるんだと勘違いした。
栞はさらに興奮が増す。
膨らんだ敏感な部分を擦る。厭らしい音が耳に響く。

『やっぱりしてたんだね。じゃあ、今度は……」

一夜は言いかけて言葉を止めた。
栞が喘ぎ声を出していた。

『栞?』

栞の激しい息遣いに一夜は驚きを隠せなかった。


 まさか、今してたのか?
 そう言えば、さっきから声がおかしかったけど、まさか。


一夜は何が起きているのか理解できなかった。
栞がそんなに性欲が強いとは正直思っていなかった。

「一夜ぁ。あたし、気持ちいいの」

栞の声に一夜は何も答えられなかった。

「ねぇ、聞いて」

栞が弄って鳴る音が電話越しに聞こえる。
一夜は正直怖くなった。

「あたし、もう、イくぅ」
    
栞はイったのか、何も声が聞こえない。

『もしもし?』

一夜は冷静に栞に声をかけた。

「……あたし、最近どんどん変なの。自分でも止められないくらい、厭らしくなってる。一夜の声だけで、すごく感じちゃうの」

自分のせいだと一夜も自覚した。
栞の開けてはいけない鍵を開けてしまった気がした。
今まで抑圧していた不満が爆発してると思った。
もちろん、もともと性欲が強くてこう言うタイプだったのかも知れないが。

「毎日毎日、しちゃうの。前はこんな事なかったのに。一夜に今会いたいよ」

甘えてくる栞。こんなに厭らしい事に忠実な子は初めてだった。

『日曜日まで僕のこと我慢してね。栞をそんな風にしてしまったから、日曜日はいっぱい可愛がってあげる』


 僕も、相当だな。


焦らした一夜は苦笑した。
今の栞はただ独りよがりの快楽に溺れてるだけ。怖いとさえ思った。正直魅力はなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...