長い夜、蒼い月

溺れる人魚

４２

優姫を心配した一夜がジェイクに電話をした。

『あー、ちょうど良かった。ユキコに頼みがあるんだけど』

ジェイは一夜に昨日の出来事を話すと、一夜は由紀子に電話をかけた。

「僕だけど。実は……」

由紀子は優姫が着れそうな洋服と下着を買ってきてくれた。ジェイのリビングには一夜も来ていた。

「すみません」

優姫は恐縮する。

「いいえ。下着はサイズ良く分からなかったんだけど、ジェイクが言う通り買ってきました」

優姫はちゃんと自分のサイズだったので赤面した。

「おいくらですか？」

優姫は財布を開ける。

「それは俺が払うよ。俺がユーキをこんなにしたし」

ジェイクは由紀子にお金を渡した。

「待って、多いわ。今、領収書を」

由紀子の手を一夜が止めた。

「良いよ。ジェイクは金持ちだから。差額は迷惑料」

と、ウインクした。
一夜に触れられた手が熱くて由紀子はドキドキした。

「あと、胃に優しい物買ってきたから温めて食べて」

至れり尽くせりの由紀子に、さすが社長秘書の貫禄を見て、優姫は由紀子に憧れてしまった。

「さすが気がきくね。サンキュー」

ジェイも喜んだ。