長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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小悪魔

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その夜、一夜はジェイクのマンションで飲んでいた。

「あれからユキコ、お前の部屋寄って行ったんだろ」

バレバレだった。

「優姫にもバレてる?」

一夜が聞くとジェイは首を振った。

「ユーキは子供だ。男と女のことなんて何も分かってないよ。お前が未開発と言っていた子よりもっと子供だな」

楽しそうな顔をジェイクはした。

「ジェイクがオンナにしたいとは思わないのか?」

一夜の言葉にジェイクは首を振った。

「仕事の妨げになる。あいつはプロの金融ディーラーになりたがってる。オンナとして育てるより、そっちで育てる方が俺も楽しい」

真面目に言うジェイクに一夜は笑った。

「な、なんだよッ」

赤面するジェイク。

「男にも女にもだらしない癖に、そう言う時だけズルイと思ってね。こっちきてから、まだどっちも抱いてないだろ?」

セクシーな眼差しで一夜は聞くと、ジェイクが一夜の頬を触る。

「そろそろ、俺と寝てみる?」

ジェイクが射るような目で一夜を見つめる。
次の瞬間、二人同時に吹き出した。

「なかなか俺の触手が伸びる相手がいない。俺の好みは知ってるだろう?」

「ああ。男ならか弱い美少年。女ならダイナマイトボディ」

一夜が答えると、ジェイクは良く出来ました。と頷いた。
    
「ユキコがお前の女じゃなきゃ俺も手を出してたな。美人で気遣いできて、日本人の割に良い身体してたしな」

ジェイクが言うと一夜が睨んだ。

「由紀子は絶対ダメだ」

一夜の真剣な顔にジェイクは睨み返す。

「お前……ユキコに本気になるなよ。人妻だ」

一夜がフッと笑った。

「分かってる。ちゃんと自制してる。それに由紀子は僕としばらく会わないと言った」

一夜の顔を見て心配になってきた。由紀子に一夜も揺らいでいるのをジェイクは感じたからだ。

「僕に溺れて家庭を壊さないためなんだろう。落ち着いたら連絡してくれと言ったがもう終わりさ、きっと。栞には僕から連絡できるけど、由紀子にはできない」

由紀子が腕からすり抜けて行ってしまって、一夜は寂しくなったんだな。とジェイは思った。

「由紀子との事も気まぐれだった。もう栞との関係も始まってたし。と言っても、まだ栞と最後までしてないけどね」

「最後までって?」

ジェイクは意味が分からない。一夜は栞との関係を全て話した。

「シオリとは深入りしないようにしているって事か」

ジェイクは複雑な話だなと頬杖をつきながら一夜を見る。
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