長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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小悪魔

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「僕を思って身体を弄るのは栞の自由だけど、僕に分からないところでやって欲しい。盛りのついた雌に興味はない」

栞は我慢できなかった自分に後悔した。
一夜は厭らしい女が好きなわけではないんだって良く分かった。
盛りのついた雌と酷いことを言われても一夜を嫌いになれない。

「本当はこんな話しないで、ただ栞を抱こうって思ってた。でも、僕の気持ちの整理が付かなかった。嫌になったなら帰ってくれていいよ。こんな身勝手な男に栞が付き合うことはない」


 冷たくて、平気で酷いことを言う人。
 脅してもすかしても効果のない人。
 でも好き。
 触れられたい。


栞は一夜に囚われている。
もうどうしてもこの媚薬から逃れられない。

「約束するわ。一夜が求めるオンナになる」

何を言っているのか、栞でさえも感覚が狂っていた。
一夜を失うことの方が怖かった。

「おいで」

一夜が栞に両手を開いた。
魔王に逆らえない姫は、その腕の中に導かれた。
もう堕ちるしかなかった。
ベッドの上で白い肢体を曝け出し、全てを隠すことなく一夜に捧げる。
臍のあたりまで落ちてきた舌が向かう先に、栞は期待に胸を膨らませる。
太ももの付け根に舌がうごめく。
また焦らされていることに切なさとはやる気持ちが混在していた。
手を動かさないように枕を力一杯握る。何かを握っていないと、勝手に手が触りたいところに動いてしまいそうだった。
一夜の焦らし方が半端ない。まるで拷問だった。

「お願い……」

堪えきれず栞は声を出した。

「もう許して……」

震える声が愛おしく聞こえる。

「可愛いよ。身体がピンク色になってる」

話をそらす一夜に栞はイヤイヤと首を振る。

「お仕置きしていい?」

栞はビクンと震えた。

「今日はちゃんと挿れてあげる。僕の言うこと聞いてくれる?」

抗えなかった。

「いいわ」

もう我慢の限界の栞は一夜の言うことを聞くことを選んだ。
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