長い夜、蒼い月

イケナイ乙女たち

５８

優姫はベットの中で、ジェイクに抱きしめられた感触を思い出していた。
男に抱きしめられたのは初めてではなかったが、ジェイクは力強くて温かかった。


　ジェイクと一夜さん、お似合いだったなー。
　やっぱり攻めはジェイクだよね。
　ジェイクの大きいけど、一夜さんのに入るかなー。


優姫の妄想は止まらない。
勝手にジェイクと一夜をカップルにしている。
入る、入らないの心配までする始末。
優姫も、男が苦手とか男とセックスをしたくないと思っているわけではないが、いざとなると怖いのだ。
生まれて間もない時からアメリカで生活していたせいか、性犯罪に巻き込まれない様に両親は細心の注意を払っていた。
日本に帰ってからも、門限は20時。優姫も別に反抗もなかった。もともと外をフラフラする気もなかった。
大学生になりまた渡米したが、ホストファミリーは父の親友で、その家の娘たちとも優姫は仲良くしていた。敬虔なクリスチャンの家庭だったので、大学時代も清く正しく過ごした。
優姫の純潔は、こうして23年間守られてきたのだ。オタク気質も功を奏した。
ジェイクは良い人だと分かっているし、仕事でも尊敬できる。しかし、それ以上となると身構えてしまう。
嫌いではないが、恋愛をしたいと思うほどまだ好きでもない。

「月曜日からまた気持ち切り替えなくちゃ」

優姫はそう思うと、ジェイクと一夜を妄想しながら眠った。