長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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恋する乙女の悦び

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一夜は、由紀子と愛し合うことに飽きることがなかった。
離したくなくてずっとことのまま自分のものにしたかった。
由紀子も一夜の激しさに、ただ受け入れ悦びを実感する。
由紀子の肌に触れるたびに一夜の中が燃えたぎるように熱い。その熱をそのまま由紀子にぶつける。

「もう、だめ……!」

ぐったりとなりながらも感じすぎる身体は、由紀子の意思と反して、一夜からの攻めに反応してしまう。一夜に突かれる場所が熱を帯び、何度もイってしまう。自分の身体じゃ無いような錯覚に襲われる。由紀子の身体が一夜以外受け付けないようであった。

「由紀子、気持ち良すぎて、もっと欲しい」

キツく締め付ける由紀子に一夜も悶える。狂おしい激情に由紀子を壊してしまいたいと思ってしまう。
由紀子のあふれかえる露に包まれ、締め付けられ、一夜は張り裂けそうになる。


 このまま、由紀子の中で果ててしまいたい。


つい危険な発想を一夜はしてしまう。それほど由紀子が好きでたまらない。
しかし、それは叶わないと思っている。
万が一でも無い。由紀子を傷つけてまで得るものなど欲しくなかった。
一夜は由紀子から抜き出すと切ない思いで果てた。
事が終わり、一夜は由紀子に腕枕をして身体を包む。
由紀子のすべすべの肌を愛おしく指で撫でる。このまま二人で溶けてしまいたいと思った。

「そう言えば、まだ言ってなかったね」

一夜は天井を見ながら口を開いた。

「僕ね、バツイチなんだよね」

一夜の言葉を由紀子は聞いて一夜を見る。

「25で結婚して一年で別れた。まだディーラーとしては下っ端で、それでも結婚すれば彼女と一緒にいる時間が増えると思ってた。彼女が僕を求めても、僕は応えてあげる余裕がなかった。だんだん見えない溝が出来ていた」

一夜は由紀子の胸を揉みながら顔を胸に埋める。
柔らかい感触が落ち着く。

「いつからか彼女は外に安らぎを見つけてしまった。相手は、ずっと僕の妻の事が好きだった男。僕が彼女と結婚して諦めたはずだったのに、彼女はその男に走った。それを知って僕は別れた。浮気が許せなかったんじゃなく、彼女の寂しさを分からなかった自分を許せなかった。そしてそれからしばらくして、仕事のストレスもあって不眠症になった」

一夜が自分を求めた後に、よく眠れそうだと言った言葉を由紀子は思い出した。
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