119 / 149
散りゆく想い
119
しおりを挟む
その夜、一夜のキッチンで夕飯を作っていると由紀子のスマホが鳴った。
電話は実家からだった。
「はい、私よ」
由紀子が電話に出ると相手は母親だった。
『由紀子に預けてたお祖母さんの相続の書類、お祖母さんの通帳が見つかったものだから、それ銀行に持って行きたいのよ。金額は大したことないんだけど放っておくのもまた忘れそうだし。悪いけど明日持ってきてくれない?』
由紀子の祖母は2年前に亡くなったが、タンスの整理をしていたら、まだ通帳が出てきた。
相続の書類は、たまたま由紀子が相続手続きをしたのでそのまま持っていたのだった。
「分かったわ。明日の午後までには行けると思うから」
由紀子は電話を切るとため息を吐いた。
「一夜ごめんなさい。明日の朝帰るわ。一度マンションに戻って、実家に行くことになったの」
由紀子の電話の受け答えでなんとなく分かっていた。
「仕方ないよ。でも明日の朝までは僕の物だよ」
一夜が由紀子を抱きしめてキスをする。
「いけない!忘れてた!」
間一髪で、料理は焦げはしなかったが由紀子は照れ笑いをした。その笑顔が愛おしくて、本当はもう一夜は由紀子を夫の元に帰したくなかった。
電話は実家からだった。
「はい、私よ」
由紀子が電話に出ると相手は母親だった。
『由紀子に預けてたお祖母さんの相続の書類、お祖母さんの通帳が見つかったものだから、それ銀行に持って行きたいのよ。金額は大したことないんだけど放っておくのもまた忘れそうだし。悪いけど明日持ってきてくれない?』
由紀子の祖母は2年前に亡くなったが、タンスの整理をしていたら、まだ通帳が出てきた。
相続の書類は、たまたま由紀子が相続手続きをしたのでそのまま持っていたのだった。
「分かったわ。明日の午後までには行けると思うから」
由紀子は電話を切るとため息を吐いた。
「一夜ごめんなさい。明日の朝帰るわ。一度マンションに戻って、実家に行くことになったの」
由紀子の電話の受け答えでなんとなく分かっていた。
「仕方ないよ。でも明日の朝までは僕の物だよ」
一夜が由紀子を抱きしめてキスをする。
「いけない!忘れてた!」
間一髪で、料理は焦げはしなかったが由紀子は照れ笑いをした。その笑顔が愛おしくて、本当はもう一夜は由紀子を夫の元に帰したくなかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる